Kei-Net

河合塾の大学入試情報サイト

Kei-Netトップ  >  大学入試情報  >  2021年度入試以降の情報  >  こう変わる!大学入試  >  各大学で実施する入試の変化

各大学で実施する入試の変化

各大学が実施する入試で、今回の入試改革で求められているのは、多面的・総合的に能力を評価する入試への転換です。学力の3要素と呼ばれる「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」をバランスよく評価することが促されています。

各大学には、取り組みが可能なものから実施していくことが求められています。共通テストや大学入試英語成績提供システムが導入される2021年度入試からは、大学入試のルールブック「大学入学者選抜実施要項」も見直されます。

大学入試のルール変更

各大学の入試は、文部科学省が公表する「大学入学者選抜実施要項」に則って実施されます。実施要項は、いわば大学入試のルールブックといえるものですが、共通テストが実施される2021年度入試から新たなルールを設定したものに見直されます。

現在の大学入試は、一般入試、AO入試、推薦入試の大きく3つの入試区分が設定されていますが、一般入試は一般選抜に、AO入試は総合型選抜に、推薦入試は学校推薦型選抜へと、それぞれ呼称が変更されます。

内容面では、学力の3要素を多面的・総合的に評価するという観点から、それぞれの選抜について次のような方向性が示されました。

教科試験が中心だった一般選抜では、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価するため、調査書や志願者本人が記載する書類、面接、集団討論、プレゼンテーションなどを積極的に活用することが促されています。また、出題科目が1〜2科目に限定されているケースや、記述式問題の出題が実施されていないケースが見受けられることから、「出題科目の見直し・充実」「共通テストの積極的な活用」「国語を中心とした記述式問題の充実・導入」に取り組むことが促されています。

総合型選抜と学校推薦型選抜では、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」の評価が不十分で、事実上「学力不問の入試」となっているケースがみられたことを受け、各大学が実施する評価方法(小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、教科・科目に係るテスト、資格・認定試験の成績など)や共通テストの活用を必須化することが示されました。

各選抜の実施スケジュールの規定にも変更があります。総合型選抜と学校推薦型選抜は、入試のスケジュールが早く高校教育や受験生本人の学習意欲に及ぼす影響が懸念されていたことから、全体的に後ろ倒しのスケジュールとなるよう規定が変更されます。総合型選抜の出願時期は9月(現行8月)以降、合格発表時期は11月以降(現行:規定なし)、学校推薦型選抜の出願時期は11月以降(現行と同様)、合格発表時期は12月以降(現行:規定なし)となります。また、一般選抜は4月以降に試験を行うことも可能でしたが、3月中に合格発表まで終えることとなりました。

ページの上部へ戻る


アドミッション・ポリシーの公表

改革の1つとして各大学で義務化されたのが、3ポリシーの策定とその公表です。3ポリシーとは、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方式)、ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)のことです。どのような学生を受け入れ、学ばせ、卒業させるのか、入口から出口までの方針を一体的に策定し、明確にすることで、各大学の教育の方向性を可視化しようとしています。

かつてより各大学は「求める学生像」としてアドミッション・ポリシーを学生募集要項等で示してきました。しかし、読んでみると抽象的な表現が多く、大学間で大きな違いが見られない内容となっていることが少なくありませんでした。

今回義務化されたアドミッション・ポリシーは、これまでとは意味合いが少し異なります。ほかの2つのポリシーと一体的な内容となっていることに加え、前述の「学力3要素」について具体的に求める学力(能力)とその力を測る評価方法・比重などを提示することが求められています。

すでに国立大学を中心にアドミッション・ポリシーの記載方法に変化が見られます。例えば、「個別試験で課す『総合問題』では『知識』『思考力』を評価、『集団面接』では『主体性・協働性』を評価する」といったように、選抜方法に対して評価する学力の関係性を明示する大学が増えました。今後はこうした動きとともに、その内容も「どのような水準を求めるのか」「どのような比重を置いて評価するか」といった点など、より具体的に明示されるようになっていくと考えられます。

ページの上部へ戻る


国公立大学 入試改革への対応

推薦・AO入試の活用の動き

多面的・総合的な選抜が重視される方向性が示されるなかで、国立大学では推薦・AO入試が年々拡大しています。かつて一般入試のみを実施していた東京大学と京都大学が、2016年度からそれぞれ推薦入試、特色入試(推薦・AO等)を導入するといった動きもありました。両大学とも、それぞれの入試の募集人員は入学定員のごく一部ですが、東京大学は「多様性」、京都大学は「最適なマッチング」をテーマに、教科学力以外のさまざまな要素を含めて評価する新たな入試の導入に踏み切りました。

国立大学の団体である国立大学協会は、現在2割に達していない推薦・AO入試の募集人員の割合を、最終的には3割まで拡大するという方向性を示しています。私立大学の入学者数の半数が推薦・AO入試で入学している現状と比較すると、まだまだ一般入試中心の入試であることには変わりはありません。しかし、多面的・総合的な選抜へ転換していくなかで、徐々に推薦・AO入試の募集枠を拡大していく動きは今後も続きそうです。

新入試での基本方針

国立大学協会は、2020年度以降に実施される入学者選抜について、基本方針を示しています。

一般選抜では、原則すべての国立大学の1次試験として共通テストの5教科7科目を課すとともに、英語については共通テストの英語試験と英語認定試験を併せて課す方針を示しています。また、論理的思考力・判断力・表現力を評価する高度な記述式試験の実施や、調査書や志願者本人が記載する資料等の活用などが示されました。

志願者本人が記載する資料の活用については、実施可能なものから順次導入することとしており、教育系、医療系、新設学部・学科等を中心に、すでに志望理由書等の提出を求める大学が見られます。学力試験では測ることのできない能力や態度を評価する取り組みは始まっているのです。

ページの上部へ戻る


私立大学 入試改革への対応

国立大学のように各大学が同じ枠組みで入試を実施しているわけではない私立大学は、それぞれで入試の工夫・改革を進めています。

この間、目立つ動きとして挙げられるのが、英語の資格・検定試験を活用した入試方式の導入です。一般入試では、複数ある入試方式の1つに資格・検定試験の成績を出願要件とする入試方式を設定したり、成績に応じて個別試験の英語等の成績に加点したりするといった活用が拡がっています。

2021年度入試については、徐々に各大学が入試の予告をはじめています。方向性としては、既存の入試の継続をベースとして考えている大学が多いようですが、これを機に入試を大きく変える大学も出てきています。例えば、これまでセンター試験を活用していなかった上智大学や学習院大学が、共通テストを活用する入試方式を設定します。また、早稲田大学では、2021年度入試より、政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部の3学部の一般入試で、共通テストを必須にすることを公表しました。このうち政治経済学部では、独自試験として記述式の解答を含む日英両言語による長文読解を新たに課すとして、大学のホームページにはサンプル問題が公表されています。

2021年度入試での、もう1つ注目される点としては、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の扱いです。私立大学の一般入試では、受験者数が数万人となる大学もあり、面接やプレゼンテーションを実施するのは現実的ではありません。こうしたなかで、慶應義塾大学や早稲田大学をはじめとする都市部の私立大学では、出願時に「高校時の主体性・多様性・協働性に関する経験」の提出を求める動きが出てきています。ただし、これらの内容については合否判定には使わず、大学入学後の参考資料とする大学が多いようです。


ページトップへ