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一橋大学 学習アドバイス

河合塾講師からの学習アドバイス

教科別の学習対策について、河合塾講師がアドバイスします。
 (※出題範囲は募集要項、大学ホームページ等で必ず確認してください。)

英語

最近の出題傾向

 長文読解2題、文法問題、自由英作文、リスニングの大問5題構成である。

①長文読解問題
 論説文・エッセイが多く、設問形式は説明問題、和訳問題、空欄補充問題が中心。語数は1題600~800語程度。

②文法問題
 正誤判定と語句整序が中心。2016~2018年度においては、短文中の部分語句整序問題が出題され、2019年度においては短文中の正誤判定問題が出題された。

③自由英作文
 3つのなかからひとつの題材を選び、100~130語で英作文をする。従来、社会や文化などに関するトピックが出題されてきたが、2016年度は画像(写真・イラスト・絵画)について書く形式、2017年度は与えられた状況からひとつを選びその当時者に手紙を書く形式、2018年度は与えられた見出しからひとつを選びその新聞記事を創作する形式、2019年度は再び画像について書く形式が出題された。英作文の出題傾向は近年、流動的である。

④リスニング
 A・Bの2問構成。A・Bとも200語前後の英語のモノローグを聴き、質問に答える。従来、英語の音声を聴き、テスト冊子に書かれた問いに、英語で書いて答える記述形式であったが、2018年度は、英語の音声と質問を聴き、テスト冊子に書かれた選択肢からひとつを選ぶ選択形式に変わった。2019年度は従来の記述式が1問、2018年度に出題された選択式が1問という融合型であった。

2020年度入試予想・対策

①長文読解問題:具体的内容や理由を日本語でまとめる練習を積もう
 教育・政治・経済・社会・環境などに関する論説文が出題される。設問は例年、日本語による記述問題(説明問題・和訳問題)が中心で、それに空欄補充問題、語句整序問題、内容一致問題などが加わる。
 説明問題は、解答の根拠となる箇所が広範囲に及び、まとめるのに苦労する場合もある。普段の英文読解の学習のなかで、抽象的説明と具体的説明の関係、筆者の主張が拠って立つ根拠、問題提起と解決策の提案、指示語が指す内容、などに注意して読み、それらを整理しながら日本語でまとめる練習を積む必要がある。

②文法問題:早期に一通り学習し、英作文や読解練習に応用しよう
 文法の全分野を早い時期に一通り学習し、文法問題集などで十分な練習を積んでおきたい。これまで正誤問題と語句整序問題が出題されてきたが、いずれにしても英文が文法的に成立しているかどうかの判定力が問われている。普段の読解問題の学習のなかでも、常に文法構造を意識するようにしたい。

③自由英作文:様々なトピックに対応できるよう答案作成の経験を積もう
 2015年度までに出題されてきたように、社会や文化などに関するトピックを英文で書く場合、自分の主張を支える根拠を整理して書くことが求められる。2016年度および2019年度のように画像(写真・イラスト・絵画)について書く場合、視覚情報を的確に英語で表現できなければならない。2017年度のようにある状況における当事者に宛てた手紙を書く場合、与えられた状況に至る経緯や自分の気持ちを冷静に表明できるようにならなければならない。2018年度のように見出しから新聞記事を書く場合、想定された「事実」(5W1H)を簡潔に書き、背景の分析を加えるような書き方をしなければならない。今後、英作文問題がどのような形で出題されようと、自分の言いたいことを正確な英語で自由に述べられるように訓練を積むことが重要となる。過去問や後期の問題を含め、全国の国公立大学の自由英作文問題を活用し、数多くの問題を解くようにしたい。

④リスニング:ディクテーションの練習が必須
 2019年度は従来の記述式問題と新たな記号選択式問題の両方の形式からの出題であった。対策としては、まず従来型の記述式問題に対応できる力を身につけることが必要となる。この形式では、聴き取った表現を使えばそのまま解答になることがほとんどである。市販のCD教材や模試などを利用してディクテーション(書き取り)の練習をすることが有効な対策となるだろう。

数学

最近の出題傾向

①文系では最高度の難しさ
 2019年度も本格的な問題が出題されている。問題文を読んで類題を見たことがある、と思えるのは 3 の微積分の問題くらいであろう。
 残りは見慣れない問題であるから、問題の内容を理解し、その場でいろいろと考えて方針を立てなくてはならない。また、2019年度も小問がまったくつかない問題が3題出題されている。思考力・計算力が必要である。空間図形が頻出であるが、2019年度は出なかった。

②数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bから幅広く出題される
 数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bから幅広く出題され、複数の分野にまたがることも多い。整数と確率の問題は例年見られる。図形の問題も頻出で、基本的な図形感覚を必要とし、三角比、図形と式、ベクトルと絡めて出題されることが多い。さらにほかの大学と違い、小問のつかない問題の割合が多いので解答の全体像を把握して解かなければならず、相当な実力が必要である。

③計算力・数式の運用力も必要
 微積分、図形と式の問題では、計算量も多くなるので、計算力も鍛えておきたい。実際、2019年度の微積分の問題では、計算の長さ、複雑さで挫折してしまった人が多かったと思われる。また、文字の対称性や循環性などの式の特徴に着目して、式を扱うセンスも必要である。

2020年度入試予想・対策

①難易度を測り、易しい問題から解く
 手強い問題群なので、易しめの問題は確実に解き、難しめの問題はいかに部分点を取るかが重要である。
 難易度の順に並んでいるとは限らない5題から、的確に易しいものを選び取るには、普段から解き始める前に難易度を推し量り、解いた後、その判断が正しかったかどうかを振り返ってみる習慣を身につけるとよいだろう。
 また、確実に得点するには計算力が必要である。計算力は、スポーツでいえば体力のようなものであり、数学の大切な実力のひとつである。普段の勉強でケアレスミスをしたときは、消しゴムで消さず、赤ペンで直すとよい。それを繰り返すと、自分のミスの傾向が把握できる。その傾向を意識するだけで、ミスを減らせるはずである。

②典型的な入試問題をしっかり理解して解く
 出題分野としては、整数、確率、図形が頻出である。
 整数については典型的な手法を教科書の例題や市販の問題集で学んだうえで、過去の一橋大学の入試問題にあたるとよい。
 確率は、一般の個数nで出題されることが多いので、状況を把握するためにnが1、2、3といった最初のいくつかのときを考えておくと、意味もつかめるし、最終値のチェックにもなる。また、数列の内容を使う(漸化式やシグマ計算など)こともあるので数列の力も必要である。
 図形問題については、問題文を読んで図形を描き、さらに図形の動きを把握しよう。そして、初等的に攻めるのか(つまり、幾可的性質を見抜いて解くのか)、あるいは解析的に攻めるのか(つまり、座標やベクトルを設定して計算するのか)を選択する。普段から、平面・空間を問わず図を描いて図形の直観力を磨いてほしい。問題集には、図形の動きを捉えることが主題となる問題はあまり載っていない。一橋大学の過去問(後期にも図形問題が多い)を解いて、図形問題を克服するとよい。
 データの分析も出題の可能性があるので用語の確認をしておこう。定義や基本的な公式の確認には、教科書が役立つ。特に整数、確率、データの分析に苦手意識を持っている人は教科書の内容を確認するとよいだろう。
 そのうえで、ハイレベルな入試問題集を1冊仕上げておくとよい。問題集を利用して、よく使われる考え方・手法を身につけよう。演習する際は、解答の流れを理解して、見た目の異なる問題に応用できるような解法のエッセンスを修得してほしい。最後に、一橋大学の過去の入試問題で実力を高めよう。また、後期試験にも良問が多いので、余裕がある人はここ数年の後期試験の過去問の演習もお勧めである。

③後期の選択問題について
 2019年度は、数列の問題と数学Ⅲの問題の選択であった。近年は、数学Ⅲの問題の方が易しい。

現代文

最近の出題傾向

①2019年度の問題一はエッセイからの出題
 問題一では、1980年代に出版された、なだいなだ『人間、この非人間的なもの』が出題された。その内容は「人間」というものを考える際に、既成の「人間的」という概念を相対化し、より広い視点から人間の赤裸々な姿を見つめることを提唱するものである。文章自体は2018年度より500ほど字数が少なくなったが、最近の受験生は、レトリカルな表現を含む文章や、言葉が多義的に使われているエッセイの読解が苦手である。2019年度の問題文に対しても、わかりづらさを感じた受験生は多いのではないかと推測される。
 最近の出典を見れば、2015年度の齋藤希史の問題文以降、問題一では、最近の著作から出題されており、一橋大学がよく出題していた、現代からすると、すでに古典ともいえる2000年以前の文章からの出題が見られなかった。だが、2019年度の問題文は先にも書いたように、1980年代の文章である。つまり一橋大学特有の古い文体の文章の出題は、やはりなくなってはいなかったのである。そのことは2018年度の問題三で、1982年に出版された藤田省三の文章が出題されていたことが暗示していたともいえる。問題一でも、まだ古い文体の文章が出題される可能性があることを意識すべきである。
 次に難易度についてであるが、問題三を含めた問題文の難易度については、2019年度の問題一は、2018年度に比べやや易化し、問題三の山口裕之『「大学改革」という病――学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する』も、2018年度に比較して易化したといえる。設問についても、2018年度の問題一よりも、記述の総字数は減少している。このことを問題文の易化と合わせれば、全体的に易化の傾向にあるともいえるが、2018年度「15字以内」という、厳しい字数条件の設問が出題された。2019年度はそこまで厳しい字数条件の設問はなかったが、「30字以内」という設問が2問出題されている。短い字数のなかに、必要な要素を十全に含めるというのはなかなか難しく、語彙(ごい)力・表現力が問われることになる。よって記述の総字数が少なくなったことは、必ずしも設問の易化には結びつかない。逆に字数条件を厳しくすることによって、受験生の表現力などを見ようとしているとも考えられる。
 さらに問い四では、「全体をふまえて」という設問条件が付されていた。これは「文章の内容から論理的に推定」することを求めた2018年度の問い四同様、文章を大きく捉えることを求めた設問といえる。
 また傍線を引かない設問も2018・2019年度と続けて出題されている。これらは、本文を広く見渡す視野の有無を見ようとする大学側の意図を感じさせるものだといえよう。

②要約問題は毎年出題
 2015・2016年度の問題三ではエッセイ的な文章が出題されたが、2019年度は、2017年度から続いている評論であった。問題一と問題三でエッセイと評論、古い年代の文章・新しい文章を組み合わせているようにも見えるが、そこに規則性といえるものは見えてこない。とりあえず問題三の要約問題では、エッセイと評論、あるいは古い文章と新しい文章が混在しているといわざるを得ない。
 2018年度の「明治時代」を論じた藤田省三の問題文は、硬質な文章ではあったが、明晰な評論であったため、「主旨」は把握しやすかったと思われる。それに対して2019年度の山口裕之の文章は、比較的読みやすい説明的な文章であった。ただし、本文の情報を的確に整理するのに手間がかかり、情報の軽重を見定め筋の通った解答をつくるのはやや難しかったと思われる。
 文章は易化したが、表現力や解答構成力が求められる設問が目立つというのが、近年の一橋大学の現代文の傾向である、といえるだろう。

2020年度入試予想・対策

①問題文はやや古い著名学者の評論と現代的な文章との二系統。設問では語彙(ごい)力と表現力・解答構成力が要求される
 問題一では、〈古い文体〉の評論・エッセイからの出題があり得ると考え、多様な文体の文章に触れておく必要がある。ただし受験生の立場からすれば、現代から遠い文章ほど文体がなじみにくいだろうから、古い文体の文章に接することを忘れないようにしたい。
 設問では、一橋大学の場合、制限字数を厳しくして簡潔・明快な解答が求められることが多いが、近年は字数条件が、15~90字と幅があり、長短どちらの要求にも応えられる力が求められる。とはいえ、どちらも、必要な要素を十全に入れた簡潔明快な解答を書くという点では変わりない。本文の表現そのままの冗漫な解答を書いていては、解答の要素を十分かつ的確に表せず、高得点は望めない。
 こうした設問に対応するためには、本文の表現を言い換えられる語彙(ごい)力や表現力を身につけなくてはならない。そして同義語や類義語を用いて解答を短くまとめられるようにならなくてはならない。漢字の問題集や評論用語集などを使って語彙(ごい)力を身につけたい。
 また設問に、「全体をふまえて」などの設問条件が付されていることがあるが、傍線部前後だけではなく、文章全体を視野に入れ、設問の要求に対応する、解答に入れるべき要素を探し出し、それをどのように結びつけ解答に仕上げていくかという、視野の広さと解答の構成力も身につけなければならない。
 さらに2018・2019年度は出題されていないが、語句に関する知識問題も出題される可能性があるので、慣用表現などについても知識を増やしておくべきである。

②要約問題の対策
 要約問題は毎年出題される。要約においても、論理的な文章とエッセイ風の文章との両方の出題を念頭に置き、まずは論理的な文章の構造を読み取り要約を行い、要約の基本を身につけ、その後エッセイ風の文章の要約に着手し、双方の文章に対応できる解答構成力を身につける必要がある。教科書や問題集に掲載されている文章などを使って、200字以内で内容をまとめる練習を地道に積み重ねていきたい。
 その際、以下のことに気をつけて書いていくとよい。

  • (1)文章の主旨を確実に押さえること、単に文章内容を短くするだけでなく、何を中心に据えるかを意識すること。
  • (2)文章の構成を論理的につかみ、その文章構成に即して内容を整理する(ただし、ときには文章に出てくる要素の順番を組み替えた方がよい場合もあるので、柔軟に対応する)こと。
  • (3)整理した要点を意味のよく通る、しかも簡潔な文言でまとめること。論理を明確にするために、適宜接続語や指示語などを用いて、文同士のつながりをつくること。
  • (4)繰り返されている内容は簡潔にまとめ、内容の重複がないようにすること。
古文・漢文

最近の出題傾向

●近世(=江戸時代)・近代(=明治時代)文語文もしくは融合文(現古融合・現漢融合・現古漢融合)
 全3題のうち、例年、問題二が古典(古文・漢文)の記述式の説明問題である。
 当初は現古融合文と近代文語文がほぼ2年ごとに出題されていたが、2009年度からは漢文訓読調の近代文語文の出題が優勢である。しかし、2016年度では現古融合文が2005年度以来久しぶりに出題され、また2017~2019年度まで3年続けて近代文語文の出題となった。
 過去の融合文(現古・現漢・現古漢)の出題は、主に江戸時代の文学や思想に関する文章であったが、2016年度は平安時代の清少納言と紫式部という二人の女性作家の人間観を問うという従来とはやや趣を異にする出題であった。古文に関する出題では、ときにこのような新しい視点の出題が見られるので要注意である。
 近世文語文は、2004年度『蘭学事始』・2008年度『日暮硯』・2012度本居宣長『排蘆小船』など江戸時代の文章であるが、これらは一般的な古典の入試問題ではほとんど取り扱われない出典であることを特記しておきたい。
 漢文訓読調の近代文語文は、明治時代に活躍した思想家・学者の評論であり、明治文語文といってよい。2009~2011年度、2013~2015年度、2017~2019年度の各3年度は連続して明治文語文が出題され、過去10年間に8回まで明治文語文が出題された。内容的にも、西洋の文明・文物に触れて新時代に生まれ変わる変革期なればこその文章であることは注目してよい。2019年度は明治時代の代表的思想家たる福沢諭吉の、古い書画の流行を批判する「古書画流行」という文章が出題された。福沢諭吉の文章の出題は2009年度の「学問之独立」に続き、二度目である。従来の硬質な文体から現代語に近づいた文章が出題されるという近年の傾向に沿った比較的読みやすい文章といえよう。
 設問は当初は5問あるいは4問であったが、近年は3問に定着している。設問は記述式の説明問題である。問い一は2018年度は現代語訳の問題であったが、2019年度は2014・2015・2017年度と同様、語句の意味を説明させる問題が出題された。問い二は傍線部の表現の具体的な内容を説明させる問題、問い三は古い書画の流行を批判するという主題に即して批判の要点を説明させる問題が出題された。また問い二には字数制限が設けられている。2019年度は字数制限が課せられたのは1問であったが、過去においては2問の場合もあり、字数制限の設問に対する解答づくりに慣れておきたい。主題に関する設問に関しては、2019年度は「批判の二点を簡潔に」説明させる問題であったが、従来は「問題文全体の内容を踏まえて」「文章全体を踏まえて」というただし書きがつけられることが多かった。すなわち、主題と論理の展開を踏まえた、文意が明確にわかる表現力が問われていたことに注意を喚起しておきたい。

2020年度入試予想・対策

 近年の出題傾向を踏まえると、何といっても近代文語文の出題される確率は高いといえよう。しかし、2016年度に平安時代を取り扱った現古融合文が出題されたことに鑑みれば、2020年度は近世文語文が出題される可能性が高まっているように思われる。近代文語文・近世文語文・融合文(現古・現漢・現古漢)のいずれにしても他大学ではあまり出題されない形式である。1997年度以降の一橋大学の過去問(問題二)を徹底的に研究しておこう。2019年度から順番に遡って研究されることをお勧めする。文語文については、京都大学・奈良女子大学の2002年度以前、上智大学の経済学部などの過去問、また融合文については早稲田大学の文化構想学部・社会学部の過去問を演習するのもよい。

①近世・近代文語文が出題された場合
 (1)解釈・現代語訳の問題、(2)文脈における語の意味の問題、(3)文脈・要旨を踏まえた説明問題などが出題される。(1)は、古文単語・漢語の知識を深めておくこと。近世文語文ではやや長文の解釈が出題されるので、単語・文法の正確な知識はもちろんのこと、場面・文脈を踏まえた表現を工夫する必要がある。(2)は、文脈に合致した意味が問われていることに注意しよう。近代文語文の場合は、一見すると現代語に見えながら、実は明治時代には違う意味で用いられていることが多いから注意したい。(3)は、文語文であっても現代文的な読解や説明が求められている。答えるべき内容を簡潔に説明したり、具体的な内容を要約する、読解力と表現力が要求されている。また、主題を印象づける表現方法である比喩表現が問われる傾向にあるので、比喩と主題との関係を見極める訓練を心がけよう。さらにまた、日頃から、文章全体と関連づけて、本文の主題を的確に要約する練習をおこたらないようにしたい。

②融合文が出題された場合
 (1)解釈や現代語訳の問題、(2)語句の意味、(3)現代文の主題と引用古典の内容とを関連させた主題読解の問題が出題される。(1)は、単なる現代語訳にとどまらず、引用されている古典本文の意図をつかみ、表現を工夫して解答することが必要である。それは(2)にも関わることで、辞書的な意味にとどまらず、場面にふさわしい意味を表現することを心がけよう。(3)は現代文の評論の主題をつかんだうえで、その論旨の展開に引用古典がどのように関連しているかを読解して解答することを意識しよう。その際、主題を印象づける表現としての、対比の構文や言い換え表現に注目しよう。印象づける主題が何かを明確に説明することが、解答の主眼となる。なお、2016年度の現古融合文の問題は、以上の傾向に加えて、古文単語の意味を理解して、その単語を漢字で表すという設問も出た。
 古典(古文・漢文)に関しては、一般的な古典の入試問題ではあまり扱われない出典が多い。だからこそ日頃から様々な文語文に触れて、その内容を深く考え理解する読み方を訓練しよう。通常の古文・漢文の学習による単語・文法の理解はもとより、その文章の表面的な意味だけでなく、そこに読み取れる見方や考え方を理解し、説明できる力をつけることが、一橋大学の入試問題(古典)攻略の必須要素である。
 なお、近年出題が目立つ近代文語文は漢文訓読調の文体だが、やや難解な二字熟語が多く含まれ、表記も現代文・漢文と差異が見られるので、日頃から音読して読み慣れておくことをお勧めする。

日本史

最近の出題傾向

①近世と近現代が出題の中心
 大問3題(各400字以内)の構成が定着している。Ⅰ=近世まで、Ⅱ=幕末~明治・大正期、Ⅲ=昭和期とするのが通例であったが、ⅠとⅢではそうした時期区分から外れた問題も増えつつある。つまり、いわゆる近現代史からの出題が全体の3分の2を占めており、近現代史偏重の出題姿勢は顕著な特徴となっている。

②社会経済史の視点を重視
 いずれの時代においても、社会経済の分野からの出題が多い。Ⅰでは農業や商業の発達、Ⅱ・Ⅲでは資本主義の発達や寄生地主制度などに焦点をあてた問題が目立つ。近現代では政治史や外交史の出題も少なくない。

2020年度入試予想・対策

①頻出テーマの徹底マスター
 重点テーマが繰り返して出題される傾向にあるから、それを確認しておこう。

Ⅰ:古代~近世のテーマ通史の出題が多いが、特に近世に重点を置いた設問が中心である。出題分野別では、社会経済史の問題が圧倒的に多く、文化史がそれに続く。テーマとしては、農業・農民関係が最頻出であるが、商工業や貨幣経済などについても出題が予想される。文化史分野では、学問・思想・教育などが要注意であろう。

Ⅱ:ここでは特定の時期を限定することは難しいが、その代わりに頻出テーマが繰り返して出題される。最も比重が重いのは社会経済史であり、特に“資本主義”と“寄生地主制”に関するものである。政治史では明治憲法体制、外交史では日朝・日中関係、文化史では思想・教育関係が狙われている。なお、近年はグラフ使用の問題や史料問題が多いことにも要注意。

Ⅲ:以前は15年戦争期から戦後史までが集中的に出題されていたのだが、最近ではそうした時期区分に当てはまらない問題も増えつつある。今後は、Ⅱとあわせて、近現代史の範囲から大問2題が出題されると考えるべきであろう。それにしても、出題テーマには大きな変化が見られないから、頻出テーマに注目して学習しておくとよい。

②過去問の研究が効果的
 Ⅰでは、近世に重点を置いたテーマ史的な学習をする。ⅡとⅢでは、特定の時期をターゲットにするのではなく、頻出テーマに沿った知識と理解が必要である。分野別では、社会経済史がメインであるが、近現代史では政治や外交にも注意が必要。また、過去の出題を研究しておくことは絶対条件である。頻出テーマに関しては、自分なりの答案を作成しておくのも有効である。

世界史

最近の出題傾向

 出題形式は、大問3題で、字数は各400字の論述問題であり、長い間不動の出題形式である。各大問は150~250字程度に細分されることはあるが、合計400字、総文字数1,200字は変わらない。内容としては、Ⅰが中世~近世のヨーロッパ史、Ⅱは近世~現代までの欧米史、Ⅲは近代以降を中心としたアジア史で、通常2分割され、片方は中国史が出題される。各大問とも資料文が提示されるのがここのところの通例となっている。
 2019年度はⅠで「身分制議会の展開」、Ⅱで「第2次英仏百年戦争とその影響」、Ⅲで「中国国民党・共産党関係史」が出題され、分量・テーマとも従来の傾向を継承していたが、各大問とも分割されることなく400字3題の出題となった。長い間200字2題のⅢは、これで5年連続400字1題の出題となり、もはや定着したものといえるだろう。ⅠとⅢには史料文がついている。

2020年度入試予想・対策

Ⅰヨーロッパの中世・近世
 2019年度は「身分制議会の展開」が出題された。同様のテーマは2005年度に出題実績がある。13世紀末、盛期中世が終わる頃、封建諸勢力を招集した国王によってつくられた身分制議会は、国家の輪郭の形成を促進し、やがて封建諸勢力の没落とともに国家主権の存在が明らかになっていく。近代国家形成に身分制議会が果たした役割は国ごとに違いはあるが、近代国家形成の重要なステップであったことには違いはない。近代国家形成のプロセスとして歴史的諸事象を考察させる問題は過去にたくさん出題されている。2001年度のⅡ「絶対王政の特徴」、2013年度のⅡ「フランス革命における『革命』の意味」などの問題意識は、2019年度の問題の延長線上にあるものといえるだろう。
 さて今後出題が予想される問題としては、中世盛期から近世にかけての問題が4年続いており、西欧中世の確立期に関する問題は2015年度の「カール戴冠とその影響」以来出題されていないことから、中世前期の出題を警戒しておきたい。2019年度の試験では問1で一応10世紀の東欧国家が問われているが、本格的な論述問題としては出題されていない。「皇帝」や「教皇」を巡る諸問題や、イギリス・フランスの中世的国家の在り方など、10~13世紀のテーマに特に注意したい。

Ⅱ近世・近代・現代の欧米史
 2019年度は「第2次英仏百年戦争とその影響」が出題された。史料文もなくシンプルな問題となっている。テーマも2018年度の「歴史学派経済学と近代歴史学の相違」と比べれば取り組みやすいものであった。ただ、ここで注目したいのは、設問が「戦いの経緯」だけでなく、「世界史にどのような影響を及ぼしたか」を問うていることである。過去の出題実績を見るとこの形式が大変多い。例えば2017年度のⅠでは、価格革命が「ヨーロッパ経済に与えた影響」が問われているし、2016年度のⅢでは「朝鮮半島の情勢を説明した上で、朝鮮戦争が中国および台湾の政治に与えた影響」を論じることが課された。また2015年度のⅠでは「、8世紀後半におけるキリスト教世界の情勢」を説明したうえで、カール戴冠が「ヨーロッパの歴史に与えた影響」を説明することを求めている。「経緯」の説明は丁寧な学習の成果を具体的に示せばよいわけだが、そのようにして覚えた歴史的事項が、長い歴史のなかでどのような意義を持つのか、それはすべて教科書に書いてあるわけではなく、丁寧な学習によって積み上げた歴史的事象を使って考えなくてはならない。そして具体的事項をもって説明する、つまり論述することが求められている。歴史的に思考して論述する、これは基本事項の学習とともに、相当な論述のトレーニングが必要となる。
 出題予測が大変難しいⅡだが、出題実績を見ると2015年度以来第二次世界大戦後の出題がない。また新大陸に関する問題は、2019年度も含め多く出題されているが、本格的なアメリカ合衆国史も長いこと出題されていない。フランスについて出題されたのは2013年度まで(さかのぼ)る。こうした出題実績の空白部分を中心に、広くそして周到な学習が望まれる。

Ⅲアジア史
 2019年度も分割されることなく400字の出題となった。もはやこの傾向は定着したといえるのだろう。受験生としてはその心づもりを持っていた方がよさそうだ。2015~2018年度の4年間の出題実績は、おおざっぱにいえば中国・朝鮮が中心となっている。…これは2018年発行の本誌に書いた文章だが、2019年度もこの傾向が踏襲された。400字が分割されず、「中国国民党・共産党関係史」が出題された。400字論述はこれで5年連続、2013年度以降中国史・朝鮮史以外からの出題はほぼない。現代史が2年連続で出題された(2018年度は「三・一運動と五・四運動」)。
 そろそろ近世以降の中国史は出尽くした感はあるが、戦後の対外関係としては中ソ関係史や中印関係史、あるいは20世紀の日中関係史などが残っているか。ほかのテーマを見ると、東南アジアに関する問題は2012年度以来出題がなく、インド史は2010年度が最後である。2017年度には11~13世紀の中国周辺史が出題されているので、遼・金・元と高麗など古い時代が出題されることも考えられる。いずれにしても、中国史・朝鮮史・東南アジアやインドについては十分な対策をして臨みたい。

 一橋大学の出題形式・分量などは極めて安定的で、大きく予想を外れることは考えにくい。しかしその内容は、歴史に対する高度な理解や広い視野が求められている。したがって問題をあらかじめ予想して集中して学習するといった付け焼き刃の知識は通用しない。対策としては質の高い学習ということになるのだが、当面受験生が行うべきことは、しっかりとした基礎力を養成することであろう。センター試験で9割を超す得点力がスタートラインとなる。いかなる歴史的理解も考察も具体的事実に立脚しなくてはならない。まずは基礎力を徹底的に鍛え、センター試験9割の線をめざしたい。ここにどれだけ早く到達するかで論述の質も決まってくるだろう。そして周到な過去問研究が思考力を鍛える。答案を検討するにあたっては、ただ事項をチェックするのではなく、なぜこのような論理展開としたのか、設問文・資料文とどのように対応した解答となっているのかなどを十分に確認しておきたい。こうした努力の積み重ねが思考力を鍛える糧となるはずだ。入試問題を見る限り、一橋大学が求める人材は、「こんなことも知っているのか」という知識偏重の受験生ではなく、「このように考えたのか」という思考力を持った受験生である。武器となるのは、知識量ではなく思考力である。これを肝に銘じて日々の努力を続けてほしい。

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特派員の声 -合格の秘訣!!-

商学部 1年
べりんさん特派員

過去問勝負

数学の配点が高く、国語の問題形式も独特だったりと特徴があるため、とりあえず過去問をやり込んでいきました。時間は圧倒的に足りないので受かるために必要なものから順番に解いていって、出題傾向が少ないものは後に回して効率化を図りました。

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法学部 3年
M.H.特派員

一橋の日本史対策

日本史は毎年近代以降が大問二題以上出題されているので、日本史の過去問を10年分解き、復習して完璧な解答をできるようにしたら、本番でも過去問を複合したような問題が出て、かなり手応えのある解答ができた。

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