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九州大学 学習アドバイス

河合塾講師からの学習アドバイス

教科別の学習対策について、河合塾講師がアドバイスします。
 (※出題範囲は募集要項、大学ホームページ等で必ず確認してください。)

英語

最近の出題傾向

①長文総合問題
 例年、論説文を中心に3題出題されるが、2019年度は5年ぶりに小説・随筆が大問〔2〕で問われた。3つの大問の総語数が2018年度に比べて347語増加した。記述式(和訳・内容説明・空所補充)と客観式(同意表現選択・空所補充・内容一致)の問題が出題され、多様な角度から英文の内容理解と語彙(ごい)力が試されている。

②英作文
 例年2題出題される。2011年度以降は和文英訳と自由英作文の組み合わせが定着していたが、2019年は大問〔4〕で英文要約英作文と自由英作文の融合問題が出題された。英文要約・自由英作文・和文英訳という3本立ての英作文となったことで、英作文の配点は全体の3分の1を占めるまでになり、より英語表現力が要求される傾向が強まったといえる。

2020年度入試予想・対策

 長文総合問題については、2018年度に語数が減少し3題とも600語未満となったが、その反動で2019年度は700語前後の重厚長大な英文が復活した。小説・随筆・論説文など、ジャンルに関係なく、ボリュームのある英文への対策が必要である。設問の形式は記述式・客観式を問わず、きちんと語彙(ごい)を身につけ、英文を理解できれば解答できるものが大部分。豊富な語彙(ごい)力や適切な文構造の把握に加えて、速く正確に本文の流れをつかむことと、適切な日本語を用いて解答を作成する力が要求されることは確かだろう。
 英作文問題については、英文要約問題が引き続き問われる可能性がある。英文要約問題は「英文を通読しその内容を把握する」→「情報を取捨選択する」→「英文を構成する」というプロセスのなかで英語の表現力が問われるわけだが、論理的な思考に基づいた本格的な英語表現力が要求されるという点で、自由英作文や和文英訳と本質は同じである。
 以下に、九州大学の英語を攻略するうえで効果的な学習法を紹介するので参考にしてほしい。

①同じ英文素材の反復練習
 英文を速く読み進めるには、的確な文構造の把握と語彙(ごい)力が欠かせないが、それに加えて、論説文などによく見られる文章展開に習熟することも大切である。その対策として、授業や模擬試験で扱った英文を、何度も反復して読み返すことで英文のリズムに親しんでおく必要がある。実験内容や具体例などが、筆者のどのような主張を裏づけるためのものであるかを意識しながら、ただ漫然と読み返すのではなく、文章と文章との有機的なつながりを把握しながら読むように心がけよう。

②正しい解答のプロセスを知る
 九州大学で出題の多い内容説明問題の対策として、解答のポイントとなる該当箇所を本文中に的確に発見できる力を身につけよう。模擬試験の解答・解説などを有効に活用し、正しい解答のプロセスを意識することが大切である。適切な解答作成には日本語の記述力も不可欠であるため、日頃から書く訓練もおこたらぬよう心がけたい。こうした地道な努力を軽視せずに、記述力の強化に取り組んでほしい。

③基本的な例文に親しむ
 英作文では、高度な語彙(ごい)や複雑な構文は必要ない。平易ではあるが正しい英文を書くように心がけよう。そのためには、短い例文を中心に自信を持って使いこなせる英文のストックを増やす必要がある。辞書などで単語の意味を調べる際には、その単語を用いた例文や用法についてもチェックしよう。英文を読む際にも、自分で使いこなせそうなフレーズはノートに書きとめるなどして、英語表現のバリエーションを増やす工夫も大いに役立つだろう。

文系数学

最近の出題傾向

①出題形式と出題範囲
 文系数学の解答時間は120分で、全問記述形式である。出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・A・Bで、数学Bは「数列」「ベクトル」が指定されている。

②出題傾向
 毎年4題出題されている。2019年度入試においては、「常用対数の応用(数学Ⅱ)と確率(数学A)」「微分法の応用(数学Ⅱ)」「空間ベクトル(数学B)」「恒等式(数学Ⅱ)」の内容が出題された。
 ここ数年「微分法・積分法の応用(数学Ⅱ)」「確率」の分野の出題は定着しており、「整数(数学A)」の分野に関連した出題も多い。また、図形に関する出題は「ベクトル」「三角比・三角関数」「図形と式」「平面幾何」など多岐にわたって出題されている。
 2019年度入試においては、小設問がない問題が2題出題されたことが特徴的であった。また、複数分野の融合問題が多く出題されたことも特徴のひとつであった。

③問題の難易度
 教科書に載っている基本事項だけで解けるように設定しているが、教科書と同じスタイルでの出題ではなく、九州大学独自の味つけをしようという意図が感じられ、問題文にかなりの工夫を凝らしている。典型的な題材をベースにした標準的な良問が多いが、文系としてはやや難しいレベルでの出題が1題程度含まれることもある。
 2019年度は、標準的な出題が3題、やや難しいレベルでの出題が1題(「恒等式」)であり、6割近い得点が合否を分けるラインであったであろう。

2020年度入試予想・対策

①標準的な典型問題を中心に学習しよう
 九州大学の入試に限らず、一般の大学入試における合否は、難度の高い問題の出来で決まるのではなく、基本~標準レベルの問題の出来によるものが大きい。したがって、このレベルの問題において、正確で迅速な計算力を身につけ、安易なミスをなくし正答率を高めるような演習を重ねていこう。

②普段の問題演習において
 内容は各分野の教科書の章末問題と同程度であるが、小設問がない形式や複数分野の融合問題形式での出題が予想される。これは、各分野の基本事項の習得度合いのみならず、考察力・思考力を問う意図によるものである。学習法としては、まず教科書の章末問題をしっかり復習し、そのうえで入試問題集などを活用し、できる限りいろいろなタイプの問題にあたっておくのが望ましい。標準的な問題を演習する際は、小設問や誘導がないことを想定して問題に取り組むとよい。
 また、過去の九州大学の入試は、かなりの計算を要する問題が多くあり、文字を含む計算も含まれ、丁寧に計算を進めることが必要となる。2020年度も計算力を問う出題は予想される。日頃の学習では、単純計算だけでなく、問題の流れに沿った計算を遂行する力を養っておこう。

③合格に向けて
 特定の分野に偏らずまんべんなく出題されることが予想される。微分法・積分法、図形、確率、整数の範囲を軸にして、数列、指数・対数関数、図形と式、三角関数の分野など、どの分野も基本概念はしっかりと定着させておかなければならない。難しいレベルの問題には小問を設け、流れを誘導してくることが予想されるので、問題意図をよくくみ取り、できる限り部分点を取れるような態度で考えるようにするとよい。
 何より大切なことは、最後まで粘り強くやり切る計算力と、最後まで諦めずに頑張り抜く気力である。最後まで合格に向けて頑張ってほしい。

理系数学

最近の出題傾向

①出題形式と範囲
 理系数学の解答時間は150分で全問記述形式である。出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・Bで、数学Bは「数列」「ベクトル」が指定されている。

②出題傾向
 毎年5題出題されている。2019年度入試においては、「積分法と極限(数学Ⅲ)」「恒等式(数学Ⅱ)」「確率と複素数平面(数学A・Ⅲ)」「数列と漸化式(数学B・Ⅲ)」「複素数平面(数学Ⅲ)」のそれぞれの分野から出題された。
 特に、「数学Ⅲの微積分」「複素数平面」「確率」「整数」の分野は出題率が高く、いくつかの複数分野の融合問題が非常に多い。2019年度入試においても、[1]〈三角関数の定積分の計算と2変数2次関数の最小値とその極限〉、[3]〈複素数平面上の点の位置に関する確率〉、[4]〈正三角形の辺上の点から他の辺に下ろした垂線の足の位置に関する漸化式とその極限〉は、多岐にわたった様々な分野での学力を問う出題となっていた。

③出題形式と問題の難易度
 非常によく工夫された良問がそろい、計算量も多く、なかには数学的に興味深い内容を題材にしたものや、論理的な思考を要する本格的な論証問題もあり、全体的には標準~やや難のレベルとなっている。
 出題形式としては、いくつかの小設問に分かれていて、前半の内容をしっかりと理解したうえで後半の設問に取り組むタイプの問題がある一方で、小設問がまったくない形式(誘導なし)の問題も最近は出題されていて(2018・2019年度入試はそれぞれが3題ずつもあった)、題意の把握、方針の決定、計算方法まですべて自分自身で考えて解かなければいけないので、それに対応できる学力があるかないかでかなり大きく差がついているようである。今後もこのような出題形式は続くと予想されるので注意をしておきたい。

2020年度入試予想・対策

①幅広い知識の活用
 九州大学の入試問題は、いくつかの複数分野の融合問題が非常に多いため、分野ごとの得意・不得意があると対応が難しくなる。各分野ごとに標準的な頻出問題は日頃からしっかりとまんべんなく演習しておく必要がある。

②たくましい計算力をつける
 合否が分かれる大きな要因が計算ミスの有無である。容易な部分における油断から生じるミスや、次の式への書き間違いなど、計算ミスというよりケアレスミスによることが多い。このようなことは致命的な結果につながることが多く、特に序盤における立式や微分や積分の計算は2度、3度やり直すなどのケアレスミスへの対策が必要である。普段の学習においても、計算は最後まで根気よくやり抜くように心がけたい。また、ただやみくもにいきあたりばったりの計算をするのではなく、計画性のある明確な方針を持って進めることも心がけてほしい。

③数学的な読解力と思考力を磨く
 まず、問題文を読んでどのような設定になっているかを正確に読み取ることが最も大切である。ここでミスをすると大きな失点につながることは間違いない。与えられた設定や条件を図示したり、具体的なものを求めるなどすることによって方針が明確になり見通しがよくなる。さらに、問題を正確に把握した後、『求めるもの、示すものは何か、そのためにどうするのか』を明確にすることが大切である。奇をてらった特殊な解法を考えるのではなく、まずは与えられた条件や設定に沿った素朴な方針を考えて、そこから自然な流れで立式していくことが望ましい。

④合格に向けて
 まず各分野における基本事項の徹底理解と、重要問題のマスターが必要不可欠である。このような重要問題を繰り返し演習することによって、数学的な構造やイメージ(問題の本質を見極める読解力)がつかめるようになるであろうし、いろいろな問題に対応できる幅広い知識の活用力が養える。ただし、自分で解くということが肝要で、数学的な論理展開を意識しながら、繰り返し再現していくことが大切である。くれぐれも模範解答の丸暗記に頼ることのないように注意しよう。
 2018・2019年度は2年連続して例年よりも難化しているので、今後の合否のボーダーラインの予測は難しいが、ひとつの目安として医学科は75~85%、その他の理学系学部は55~65%を目標にしたい。
 日頃から発展的な演習問題を解答に頼ることなく根気よくじっくり思考する習慣が必要であり、答えにたどりつくまでの過程のなかで『何故、このような論証が必要になるのか?』『何故、このような工夫をして計算していくのか?』『もっと別のアプローチがあるのではないか?』など、単に正解を導くだけでなく、問題のなかにある様々な特徴や難しさを本質的に理解し、丁寧に解明していくことでさらなる実力向上が望めるであろう。
 入試本番まではまだまだ時間と気持ちに余裕がある時期ではあるが、気を緩めることなく、できることをとことんやり抜いて本番に臨んでほしい。それまでやってきたことや身につけた学力がしっかりと反映できることを心から祈っている。桜の咲く頃に諸君らの多くの朗報を待つ。

現代文

最近の出題傾向

①全体として難化
 2019年度も例年どおり、教育・法・経済(経済・経営・経営工学科)学部は2題、文学部は1題が現代文であった。1つ目(文学部との共通問題)は、教育学者・上田薫の文章である。完全無欠を求めるという現実にはあり得ない「無病息災」的な姿勢の持ち主は自己の理解可能な世界のなかに自足してしまう一方で、欠陥や躓きに気づきながら生きるという現実を直視する「一病息災」的な姿勢の持ち主は現実に即しながら絶えず自己変革していくものである。そしてこれは現代の無病息災的な教育現場にも当てはまる。こうした問題にきちんと対峙することを論じた文章である。2つ目は、分析哲学系の哲学者・永井均の他者理解に関する評論であった。近代という時代は世界を画一化することをめざすが、人間存在はそもそも唯一性を基本としている。そうした筆者の世界観を踏まえて、他者の心的現象の生じた「理由」に関わる「理由の他者性」、他者の心的現象それ自体に関わる「感覚の他者性」ということについて論じた文章である。
 本文量は2題合わせて2018年度より850字程度増加し6,710字程度、80分(経営工学科を基準とする)で解く分量としては標準的である。また、内容は読みやすく、本文に関しては2018年度並みといえる。
 設問の種類は、2018年度と同じく漢字の書き取り問題がなく、一・二ともにすべて論述問題であった。2題ともに解答のなかで重複が見られることは例年どおりである。総設問数は2018年度と変わらず13問。字数制限つきの設問はなくなり、制限のない論述は50~150字程度の幅で出題された。全体の記述総字数は1,290~1,300字と、2018年度とあまり変わらず、記述量が多いままだった。
 本文は易化、設問は難化したことを合わせて総合的に判断すると、全体的な難易度は難といえる。

②基本的な設問・記述量の多さ
 本文の内容と設問の意図を正確に理解し、適切に答えるという、現代文の基本的な力を試すものばかりであった。九州大学の特徴は全体として論述問題の総解答字数がかなり多めに設定されている点である。

2020年度入試予想・対策

①頻出作者、幅広いジャンルからの出題
 出題のジャンルは、硬質の評論・エッセイである。哲学・思想・文化・文明・芸術・言語・政治などのジャンルにとらわれず、様々な文章を読む力が試されている。なお入試頻出作家からの出題が多いことは九州大学の特徴として気に留めておこう。

②基本的な出題パターン
 解答の形式はこの2年は論述のみである。しかも総記述量は試験時間に対して決して少ないとはいえない。特記事項として2年続けて漢字の書き取り問題が出題されなかった。しかし、復活する可能性はあり、また漢字は現代文の読解の基本でもあるため、漢字の知識を増やすことはおこたらないようにしておくべきだろう。こうしたことから、何よりも論述問題に対応できる力をつけることが大切である。個々の設問については、正確な文脈の理解に基づくものばかりである。設問の総数は大問ひとつに対して設問が6~7問という形になっている。なお、答えの大半は本文中の語句を用いて答えることができるが、自分の言葉でしか書けないものもある。いずれにせよ、文章を正確に読む、傍線部の前後の文脈を押さえるといった基本的な読解を試す設問であると考えておいてよい。

③正確な読解と論述の練習が重要
 このような硬質な文章で多様なジャンルを考慮するなら、日頃から様々な、しかも硬質の評論に親しんでおくことが大切である。特に文章を自分勝手に読み込んでしまいがちな人は、作者の主張の正確な理解を基本とする読解力を身につけたい。また、問題集などで3,000字前後の文章を一定時間内に速読し、全体の構造を読み取る練習をしておくことは効果的である。その際に気をつけることは、個々の文脈読解も設問を解く際には必要であることを忘れないことである。また、記述量の多さに対しては、何よりも「書く」ことがその対策となる。過去の問題や問題集を使って、「書く」練習を積み重ねてほしい。

古文

最近の出題傾向

①出題数と配点
 教育・法・経済(経済工学科を除く)学部では40点問題が1題、文学部は30点問題が2題出題される。文学部の2題のうち1題は教育・法・経済(経済工学科を除く)学部の問題と共通しているが(=共通問題)、配点の違いもあり、設問が一部異なる。2019年度は、現代語訳で、教育・法・経済(経済工学科を除く)学部は傍線部が5ヵ所であったが、文学部は4ヵ所であった。残りは同じ設問であった。共通問題の文学部の配点が10点少ないのは、国語の総点が文学部だけ50点少ないことによる。

②共通問題は江戸時代からの出題。難易度は変化なし
 共通問題は、中世・近世の作品からの出題が多いが、中古の場合は、本文が読み取りにくいうえに、設問にも難しいものが多い。2019年度は、江戸時代の歌話である『ひとりごち』からの出題であった。本文の量は2018年度よりやや減ったが、内容は、読み取りやすいとはいえなかった。設問は、空欄補充問題、現代語訳、文法問題などは標準的だが、内容説明問題には答えにくいものがあった。また、同じ作者が書いた、本文とは別の文章を設問のなかに取り込み、その内容を答えさせるという、「複数テキスト」の形に近い設問があった。本文中に和歌は1首あったが、文法を問うのみで、和歌の内容に直接触れる問いはなかった。難易度は2018年度並みと考えられる。

③文学部のみの問題は中古からの出題。2018年度より難化
 文学部のみの問題は、かつては江戸時代の作品からの出題が多かったが、近年は、まんべんなくどの時代からも出題される。共通問題よりも難度が上がることが多い。2019年度は、平安時代の作り物語である『源氏物語』からの出題であった。本文の量は2018年度よりもやや減ったが、内容は読み取りにくかった。設問は、現代語訳や文法問題は標準的であったが、理由説明問題や内容説明問題には答えにくいものがあり、2018年度より難化した。本文中に和歌はなかった。

2020年度入試予想・対策

①幅広いジャンルからの出題を考えておく
 共通問題・文学部のみの問題ともに、どの時代、どのジャンルからも出題される可能性があり、まんべんなく学習しておく必要がある。ただ、近年は、共通問題・文学部のみの問題のどちらかに江戸時代の文章が出題されることが多く、特に、両方の問題を解くことになる文学部の受験者は、江戸時代の文章に積極的に取り組むようにしよう。文章難易度は、年度によっての違いはあるが、難しいものが出される場合を想定して、ハイレベルの文章にも取り組むこと。

②基本の学習をおこたらない
 基本の文法力、単語力を身につけ、それに基づく正確な現代語訳を自らの力で書くことが肝要である。どのような記述問題も、正確な訳に基づいた高度な解釈力があってこそ解答できる。問題を解くだけではなく、本文をきちんと全訳してみることを心がけよう。

③多くの問題を解いてみる
 国公立二次型の問題を解いて、記述力を養成しよう。九州大学の記述問題は、傍線部の前後を解釈できれば解けるものから、文章全体を通して考えなくてはならないものなど、様々なタイプで出題される。多くの問題にあたり、どのような形で問われても対応できる力を身につけよう。

④和歌の対策
 和歌修辞(枕詞・序詞・掛詞・縁語)の学習はもちろんのこと、場面や状況に合わせ、主語などを補いつつ、きちんと解釈できるようにしておこう。

⑤文学史の対策
 2019年度は出題されなかったが、九州大学は、ほぼ毎年のように文学史問題を出している。しっかりと学習しておこう。

漢文

最近の出題傾向

①出典
 2019年度の問題文は、清の蒲松齢の『聊斎志異』からの出題。本文の文字数は181字で、2018年度の145字から36字増加。例年200字程度の文章を出題するので、例年の文字数に戻ったといえる。『聊斎志異』は1993年に九州大学文学部で出題履歴がある。2019年度入試の文章自体は平易であり高得点は可能。

②文学部と教育・法・経済学部の違い
 出典の文章は同一だが、2019年度の設問数は文学部が7問、教育・法・経済学部は6問であった。文学部のみの問題は、問5の作者の主張を60字以内で説明させる問題と問7の文学史・思想史問題。教育・法・経済学部のみの問題は問3の理由説明問題であった。

2020年度入試予想・対策

①総合的な漢文力の養成
 話の筋を捉えることをまずは目標としてほしい。次にきっちりと直訳できる訓練をしてほしい。一字一字確実に捉えることが大切である。接続助詞「ば」や「に」などの訳が不正確になると、主語を取り違えるきっかけにもなりかねない。受験生自身では訳を見てもだいたい合っているという判断をしがちだが、正確な訳は訓練が必要である。先生に依頼してチェックをしてもらうとよいだろう。

②書き下し文に改める問題
 句法と語順の徹底した学習が必須である。句法はセンターレベルでは通用しないこともあるので、センター試験後にもう一度細部まで確認をしておくこと。漢文の語順は英語の語順に近い。主語+述語+目的語などの語順を理解するためには、書き下し文から漢文をつくる「漢作文」の練習をしてみるのが効果的である。

③解釈や説明を求める問題
 まず1.該当箇所を抜き出し、2.正確な直訳をし、3.必要な言葉(指示語や主語・目的語など)を補って、4.設問の要求に合わせて解答をつくる、という練習を繰り返してほしい。

④語句の読み
 2019年度の出題は基本的な語(「甚(はなはだ)」「且(かつ)」「如(ごとし)」「漸(やうやく)」「已(すでに)」だった。2011・2014年度にも「已(すでに)」は問われている。しかし、受験生には難しい語も出題されていて、2015年度の「遽(にはかに)」「止(ただ)」、2013年度「将(もつて)」、2012年度「屢(しばしば)」、2011年度「惟(九州大学の解答は「これ」)」などの出題もある。また2017年度には「之晋(しんにゆく)」「革之(これをあらたむ)」のような短文ともいえるものが出題されたり、2010年度には語句の読みの問題が出題されなかったりということもあった。基本的な語だけでも確実に読めるようにしておこう。

⑤文学史・思想史問題
 2019年度は文学部でのみ出題された。「中国の小説をすべて選べ」という設問は新しい。例年は出典と同時代の作品や人物を選ぶ問題が多い。2017年度は文学部と法・経済・教育学部で選択肢がひとつだけ違う形で出題され、2016年度は全学部で出題なし。2015年度には教育・法・経済学部のみで出題。常識程度の文学史・思想史の知識は本文読解にも必要であるため、対策はおこたらないでほしい。

⑥文学史・思想史問題
 2015年度の文学部、2016年度の全学部でなくなっていたが、2017年度は復活し2018年度も出題された。常識程度の文学史・思想史の知識は本文読解にも必要であるため、対策はおこたらないでほしい。

物理

最近の出題傾向

①年度によって上下する難易度
 出題数は3題で、そのうち2題は標準的、1題はやや難度が高い問題になっている。しかし、難易度は年度ごとに変わる傾向があり、前年度の問題が易しかったからといって油断することなく、基本から応用までの演習を通して実力の向上をめざすことが大切である。過去の難易度を年度ごとに示すと次のようになる。2004年度(やや難)、2005年度(やや易)、2006年度(標準)、2007年度(やや難)、2008年度(やや易)、2009年度(やや難)、2010年度(標準)、2011年度(標準)、2012年度(やや難)、2013年度(標準)、2014年度(やや難)、2015年度(やや難)、2016年度(やや難)、2017年度(やや難)、2018年度(やや難)、2019年度(やや難)。

②記述中心も、多岐にわたる出題形式
 設問の形式は2009年度を除いて答えのみを書かせる記述式である。また、2010年度のみ単位を書かせる設問があった。やや難度の高い問題については誘導穴埋め形式になっていることが多い。また、全体的に長文の融合問題が多く、グラフ描図(2016年度は3題)や論述問題(2014年度は150字)が含まれることもあり、75分の解答時間で時間不足になる受験生が多いであろう。

2020年度入試予想・対策

①出題分野とその傾向
 出題範囲としては、力学と電磁気を2本の柱として、熱力学、波動分野からも工夫された問題がバランスよく出題される。また、2006年度から課程変更により出題されていなかった原子分野が2017年度に出題された。分野別の頻出テーマを見ておこう。

〈力学〉
 融合問題が非常に多く、例を挙げると、粗い面上の単振動、鉛直ばね振り子上の物体の運動、鉛直面内の円運動と衝突、単振動と衝突、慣性力とばね、斜面上の放物運動、回転軸上の単振動、エレベーター内の単振り子、円運動とばね振り子などがある。典型的な問題をベースとして、そのうえにいろいろな工夫がこらされていて、式の変形も面倒なものが多い。ここ数年は特に長文問題が多く(2016年度は6ページ)、相当の計算力や応用力が必要とされる。

〈電磁気〉
 電磁誘導の問題が最も多く出題されているが、最近は電場・磁場中の荷電粒子の運動、コンデンサーやコイルを含む回路、交流、電気振動など高3生の対策が遅れがちな分野も多く出題されていて、幅広い学習が必要である。この分野の難度も高い方である。

〈その他の分野〉
 熱力学の分野は取り組みやすい問題が多かったが、2011年度にばね付き変化が出題されたように、徐々に難しくなってきている。2019年度は典型的な状態変化の問題であったが、やや難しい典型問題の演習が必要である。波動の分野も数年おきに出題されていて、ドップラー効果、光の干渉の分野の標準的な問題が多いが、2009年度は縦波の連結ばねモデルのような見慣れない問題、2013年度は反射波、定常波を含む波の式の問題、2016年度はレンズの問題が出題された。また、2017年度は原子分野が久しぶりに出題され、誘導穴埋め形式ではあったがヒントが少なく、対応できない受験生が多かったと予想される。過去には典型的な原子分野の問題が数年おきに出題されていたことを注意しておこう。

②基本知識の系統的な学習と安定性
 全分野の基本事項(受験レベル)をバランスよく学修し、ひとつでも苦手(または未学習)な分野をつくらないようにすること。そのとき、公式のつくり方、公式の成立条件、基本概念のつながりなどを考えて系統的に学習すること。部分的に取り上げて勉強したつもりになっても、融合問題の多い九州大学の物理には対応できない。全範囲(原子分野を含む)の系統的な学習は非常に大切であり、このことにより思った以上に安定性がついてくる。特に、力学の基本的な考え方がわかっていないと、ほかの分野でも成績は伸び悩むであろう。物理は危険な科目である。最初のちょっとしたミスや勘違いが連動的に後半に響いて致命傷になることが非常に多い。これを防ぐため、自分なりの方法(例えば、次元〈単位〉の考察、符号のチェック、別解による検算、問題の徹底した図示化など)を普段の演習を通して確立しておくことで安定性が増す。また、長文対策として、典型的な設問を普段から時間を制限して解くことにより、徹底したスピード化を図ることもポイントのひとつである。

化学

最近の出題傾向

①2019年度入試
 2019年度入試は、課程変更後5年目の入試であった。
 課程変更後の九州大学入試では、大問数が6題から5題に減少し、大問あたりの問題文の分量と、設問数が増加し、難度がいくらか上昇する傾向が読み取れる。

②出題傾向と頻出事項
 旧課程を含めた2015~2019年度の過去5年間での出題形式と傾向を分析すると、分野別の出題比率は、理論化学50%、有機化学35%、無機化学15%でほぼ推移している。そのほとんどが標準的な大問で、これに毎年1~1.5題の「やや難」の大問または設問を組み込む形式で全体が構成されている。医学部などの高得点が要求される学部では、この「やや難」の大問を攻略できるかどうかで合否が決まる。出題内容については大きな変化は見られないが、過去には蒸気圧を含む混合気体の問題や化学平衡と反応速度、電離平衡に関する問題など理論分野から難問が出題される場合が多い。
 計算問題も多数出題されているが、2010年度以降は数値計算が減少し、誘導文に沿って、文字式で解答させる設問や、また、語句選択の出題形式が増加している。

2020年度入試予想・対策

①分野別の出題傾向とその対策
〈理論化学〉
 理論分野は、例年、問題の前半部(大問〔1〕~〔3〕)に設定される。
 大問〔1〕では、物質の構造と化学量の計算を含む空欄補充または語句選択を中心にした問題が毎年出題されている。また、計算問題は、煩雑ではないが、ミスをおかしやすいように条件が設定される場合もあるので注意が必要である。合格には、この大問では取りこぼしのないように得点したい。
 次に、大問〔2〕・〔3〕では、理論化学の分野から蒸気圧を含む混合気体や熱化学、溶液、反応速度、化学平衡、酸化還元が出題される。また、無機化学の知識が必要な設問が、これらのテーマのなかに組み込まれる場合もある。この分野の多くは計算問題で、難度の高い設問が出題される場合が多い。また、文章に沿って計算式を文字式で誘導するタイプの出題形式が増加の傾向にある。この形式では、前半部での設定ミスが後半部に影響する場合が多いので注意が必要である。
 理論分野の後半は、主に酸塩基と電離平衡または、酸化還元・電気化学の分野から標準的な問題が出題されており、必ず計算問題が課せられるので、短時間で正解に到達できる計算力が必要である。

〈無機化学〉
 無機分野は、ほぼ毎年出題されている。ただし、大問として設定されることは少ない。必ず、化学平衡、酸塩基・酸化還元などの理論分野の内容とリンクさせた形式で出題される。すなわち、単純な記憶では、合格点は望めない。また、無機では「錯イオン」に注意しておきたい。

〈有機化学〉
 有機分野は、大問〔4〕・〔5〕で出題される。
 大問〔4〕では脂肪族化合物と芳香族化合物に関する大問がほぼ隔年で出題されている。この分野は、標準的な出題が多く、また、計算問題も少ないので、コンパクトな時間で確実に得点できるように問題演習を重ねておきたい。
 大問〔5〕では「天然物・高分子化合物」が出題される。課程変更に伴い、「選択問題」という枠が取り外されたことから、課程変更前よりも内容が充実(増加)した形式で出題されると思われる。高3生にとっては、教科書の最後に履修する項目でもあり、対策に十分な時間が取れない点で厳しい分野となるが、糖、タンパク質、油脂、核酸、それと合成高分子まで理解を深めて得点源となるように頑張ってもらいたい。

②基礎事項の理解度を深めながら、難問対策を
 過去問を各年度で整理すると、「やや難」と評価される大問が1~2題出題されているが、残りの大問はやや易~標準的な設問である。したがって、医学部などの高得点が必要な学部は別として、これらのやや易~標準的な大問を確実に得点する力をつけることが合格への早道である。この点で、まず、基礎事項を確実に理解し、標準的な問題の演習を通じて化学的な思考力や想像力を高めながら、難問にも対応できる「しなやか」な実力を身につけて入試本番に臨むようにしたい。最後に、新課程入試では、有機化学を教科書の最終部でまとめて学ぶことになる。一方、九州大学の入試では、有機分野に関する化学の大問は得点しやすい出題がほとんどである。教科書の最後の項目まで手を抜かずに整理し、理解して、2020年度入試に臨んでほしい。

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特派員の声 -合格の秘訣!!-

工学部 3年
がみ。特派員

暗記より理解

パターンや暗記事項を覚えるのではなく、パターンや暗記事項を理解することに努めること。九大の理系科目の問題は、パターンを少し複雑化させたり、応用する問題が多いので、暗記よりも理解に重点を置きました。例えば、単に化学の反応式を覚えることは簡単ですが、その反応の条件や実験状況を把握することで暗記事項も減り、一石二鳥になります。

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工学部 3年
T.D.特派員

過去問が最高の問題集

過去問については「ここから出るなんてありえないからやらなくていい」と言う人もいるかもしれませんが、あながちそうでもないのです。なぜなら、もちろん1年前や2年前の類題を出すような学校はないと思いますが、10年前までとなると内容が似ていることがあってもおかしくはないでしょう。だから、自分は直前期に13年分の過去問を解いて試験に臨みました。過去問対策をここまですれば、相手の出す問題の傾向が大体わかります。そうなれば、あとは出そうな問題を自分の問題集から探して解く対策をすればいいのです。

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