国公立大 全体動向
2025/1/23公開
はじめに
国公立大の出願動向を見ていく前に、現時点での環境を確認しておきましょう。
今年の共通テストは平均点がアップしました。こういった年は事前に検討した通りに出願する受験生が多くなり、模試時と同じ志願動向になることが多いです。また、平均点の影響を受けない分、入試変更や過去の倍率が注目されやすくなります。入試変更では、科目負担が減った大学は志願者が増加する傾向にあります。
とくに注意したいのが、前年入試の反動です。前年志願者が大きく減少した大学、低倍率だった大学は、今年は志願者の大幅増に注意が必要です。
女子の動向が系統人気に影響
今年度から「共通テストリサーチ」は、河合塾・駿台予備学校・ベネッセコーポレーションが共同で運営する「大学入学共通テスト自己採点集計サービス」に参加いただいた受験生の皆様のデータを使っています。昨年より参加者が増加したため、全体的に出願予定者が増加して見えます。今年度の集計では、国公立大入試の中心となる前期日程の出願予定者は前年比105%となりました。各系統、大学の動向分析はこの数値を基準にしてみていきます。
<図表1>は学部系統別の状況です。棒グラフの濃い色は学部系統を、薄い色は各系統内で特徴のある詳細分野を表しています。多くの学部系統が前年比105%に近く、前年の傾向と変動が小さいことを示しています。その中で比較的変動が見られるのは、文系では「経済」で出願予定者が増加しています。理系では、理、工学系で出願予定者が増加、難関資格系の「医」「歯」なども人気です。
各系統の志望動向の変化には、女子の志向の変化が影響しています。理、工学系では女子の出願予定者の増加が目立ち、全体の人気を支えています。女子だけで集計すると、理、工学系とも出願予定者は1割以上増加しており、とくに「物理」、「機械・航空」、「応用化学」分野で増加率が高くなりました。その一方で、不人気となっているのは、従来女子の割合が高い「生活科学」「看護」などです。
国立難関10大学の動向
旧帝大を中心とした国立難関10大学全体の出願予定者数は前年比111%と増加しました。
<図表2>は、国立難関10大学の大学・学部別の志望動向です。系統別にみると、理系学部や「経済」を中心に出願予定者が増加しました。
東京大の出願予定者は大学全体で前年比109%となりました。理科類で出願予定者の増加が目立ちます。今春入試から理科三類以外で第1段階選抜の倍率が狭まります。とくに文科類は3.0倍から2.5倍と変化が大きく、警戒されている様子がうかがえます。
京都大の出願予定者も大学全体で前年比118%と大きく増加しました。すべての学部・学科で出願予定者が増加、人気となっています。
統合後初めての入試を迎える東京科学大は、出願予定者が前年比116%(東京工業大と東京医科歯科大の合計値と比較)とこちらも模試時から続く人気を維持しています。
難関10大学の志望動向は、難関大学の志望動向のページでご確認いただけます。ご参照ください。
今の自分の状況を冷静に確認・分析しよう
以上、国立難関10大学を中心に、国公立大の志望動向をみてきました。
1月27日(月)から国公立大の出願が始まります。まずは、河合塾が提供している各種データで冷静に自分の状況を確認・分析し、出願校を検討することが大切です。この共通テスト特集ページでは、各大学のボーダーライン、出願予定者の学力分布、国公立大学出願状況など国公立大出願の際に役立つ情報が確認できますので、ぜひ参考にしてください。