国公立大 全体動向

2024/1/18公開

今春入試のポイント

はじめに、今年の国公立大の出願動向を予測するうえで、影響が大きいと考えられる大学側の主な動きを確認しておきましょう。

1点目は、選抜区分毎の募集人員の変更です。近年、学部・学科の新設や改組、学校推薦型・総合型選抜の拡大などに伴って一般選抜の募集人員を減らす大学がみられます。一方、学校推薦型・総合型選抜から一般選抜へ募集人員を再分配する大学もあります。募集人員に変更があった学部・学科では、志願者数は前年並みでも倍率は変動するため注意が必要です。

2点目は、志願者数の隔年現象です。隔年現象とは、志願者数が1年おきに増加したり、減少したりすることです。医学科や科目数の少ない公立大を中心に各地で散見される現象です。

国公立大出願予定者は前年並み
女子のキャリア志向が系統人気に影響

「共通テストリサーチ」のデータをもとに国公立大の志望動向をみていきましょう。国公立大入試の中心となる前期日程の出願予定者は前年比100%となりました<図表1>。共通テストの受験者が減少するなか、前年並みを維持しており堅調な人気を示しています。

文理別にみてみると、文系学部・理系学部ともに前年比100%で文理間に差はみられませんでした。系統別にみると、多くの系統が前年並みを維持しており、前年からの変化は小幅です。その中で、文系では「法・法律」「経済」といった実学系分野、コロナ禍以降減少が続いていた「外国語」「地域・国際」分野、理系では「理」「農」で出願予定者が増加しています。なお、各系統の志望動向の変化には、女子の志望の変化が大きく影響しています。女子の志望動向に注目すると、「法・法律(前年比107%)」「経済(同108%)」「建築(同105%)」「応用化学(同111%)」といった実学系の分野で出願予定者が増加した一方、出願予定者の多くを女子が占める「生活科学」では前年比96%と大きく減少しています。

<図表1>国公立大志望動向(全体概況)
国公立大志望動向(全体概況)
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国立難関10大学の動向

<図表2>は、旧帝大を中心とした国立難関10大学の大学・学部別の志望動向です。大学別にみると、東北大・京都大・神戸大では前年を上回る出願予定者が集まっています。特に、東北大では法を除くすべての学部で出願予定者が増加しました。系統別にみると、「法」「農」「薬」「学際・他」で出願予定者が減少しています。「農」「薬」は東京大(理科二類)、大阪大(薬)で出願予定者を大きく減らした影響によるもので、その他の大学では堅調に出願予定者を集めています。

東京大の出願予定者は大学全体で前年比99%と前年並みです。科類別にみると、文科一類、前述の理科二類で出願予定者が減少しています。理科二類は昨年、第1段階選抜ラインが8割と例年になく高かったことから警戒されているようです。ただし、減少が顕著なのは得点率80%以下の成績層のため、予想ボーダー得点率に変化はありません。今後、理科一類と理科二類間の志望変更には注意が必要です。

京都大の出願予定者は大学全体で前年比101%と前年並みです。学部別にみると、法・総合人間・工・薬学部で前年を上回っており、堅調な人気がうかがえます。出願予定者の得点分布をみると、法・工学部では得点率80%以上の成績層が増加しており、厳しい競争が予想されます。工学部は、共通テスト「英語」「国語」「地歴公民」の成績しか合否判定に利用しないため、今年の国語や地理Bの平均点アップが大きく影響しているといえるでしょう。

<図表2>国立難関10大学 大学・学部別志望動向
国立難関10大学 大学・学部別志望動向
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今の自分の状況を冷静に確認・分析しよう

以上、国公立大の全体的な志望動向をみてきました。

粘り強い受験が合格への鍵であることは言うまでもありません。国公立大は後期日程までしっかりと受験することを検討してください。これから2次試験までの1カ月間をどのように過ごすかがとても重要になってきます。共通テストの結果に一喜一憂したくなるところですが、できるだけ早く気持ちを切り替えて、この後に控えている私立大学一般選抜、国公立大学2次試験の準備に集中しましょう。

本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震に被災されたすべての方、そのご家族および関係の方々に心よりお見舞いを申し上げます。受験生・保護者の皆様におかれましては、国公立大学2次試験、私立大学入試における対応情報が各大学のホームページから発信されていますので、最新の情報をご確認ください。

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