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    公開日
  • 2025年12月11日

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高等教育レポート Vol.05西日本工業大学 高校生参加型の学び 〜チャレンジ授業〜 マナビバ! インタビュー マナビバ!インタビュー

西日本工業大学マナビバ!インタビュー

西日本工業大学 高校生参加型の学び 〜チャレンジ授業〜
マナビバ! とは


西日本工業大学の“実践的な学び”を、ひと足先に体験できる参加型特別授業です。

大学生と一緒に社会や地域の課題に取り組む中で、AI・IT・ロボット・ものづくり・防災・デザインなど、大学ならではの知識とスキルを体感できます。

教室では味わえない、“ワクワクする学び”が、ここにあります。

同大学のマナビバ!サイトもあわせてご確認ください

高校生参加型の学び〜チャレンジ授業〜 マナビバ!

「マナビバ!」プロジェクトとは

— 「マナビバ!」プロジェクトとはどのようなものですか?

学生募集・高大連携コーディネーター 中尾 佳澄さん

 「マナビバ!」は、大学のゼミ活動の一部を高校生が体験しながら学べるような仕組みにしたいと思い、動き始めたプロジェクトです。本学の研究分野にかかわるプロジェクトで構成されており、2025年度は7つのプロジェクトを実施しました。実際にはまだ思い描いていたようには機能していないプロジェクトもありますが、趣旨としては是非これを実現させたいと考えています。

— この「マナビバ!」での中尾さんの役割について教えてください。

中尾 さん

 入試広報課にとっては学生募集が最も重要なミッションなのですが、私は高大連携コーディネーターという立場から、「マナビバ!」を通じて参加する高校生や高校との連携に取り組む中で、「学び続ける人」をどう育成するか、その仕組みをどう作って、生徒たちにそれをどう習慣化させるかという課題に取り組んでいます。高校生が取り組む総合的な探究の時間を考慮に入れながら、企画段階から積極的に提案をし、作り上げてきたところです。企画は、入試広報課の中村課長に相談しながら、一緒に構築してきました。

— 西日本工業大学でこの「マナビバ!」を実施する目的や狙いはどこにありますか?

中尾 さん

 ねらいとしては、本学に対する高校生の興味関心を高めることと、地域における認知不足の解消です。実は、本学では地域と連携してさまざまなプロジェクトを実施しているのにもかかわらず、肝心の地域の方々に、そのことが知られていないという状況がありました。私ですら、現職に就くまで知りませんでした。

プロジェクト例 −光る魔法の森公園プロジェクト−

— 「マナビバ!」のホームページを拝見すると、さまざまなプロジェクトを用意していることがわかります。いくつか例を挙げてご紹介願います。

中尾 さん

 例えば、「光る魔法の森公園プロジェクト」というものがあります。このプロジェクトは、昨年(2024年)、到津の森公園(北九州市小倉北区)との共同企画で開始した、夏場に来場者が減少するという問題を解決するために夜の動物園を魔法の杖でライトアップするというものです。今年は、これに高校生の参加も募り、高校生、地域、大学が共同して取り組むプロジェクトとして実施しました。

 高校生は総合的な探究の時間の中で、地域の社会課題を考えることは多いと思います。本プロジェクトは課題を考えるだけでなく、その解決策を実践していく場を提供できる点が魅力だと思います。プログラムでは、高校生の考えた魔法の杖のデザインを3Dプリンタ等で形にしたり、魔法の杖を振ると音とともに森を照らすライトの色が変わる仕組みを学んだり、さまざまな学習体験の場を提供しました。

 今回、このイベントを広く周知するための広報活動については、プログラムに組み込んでいませんでしたが、参加した高校生が自主的に広報用動画を制作してくれ、この主体性には大変驚きました。高校生が制作した映像は本学の情報デザイン学科の先生にも確認してもらい、専門的な立場から作品へのフィードバックをしました。この高校生にとっても、プラスアルファの学びになったのではないかと思います。

 今回は全4回で実施したのですが、問題意識を持つ高校生にとってはそれでは物足りず、もう少し課題を与えて欲しいという回答が参加者アンケートの回答にありました。これも参考に、今後の運営のあり方を模索している段階です。

プロジェクト例 −水環境×河川防災プロジェクト−

中尾 さん

 また「水環境×河川防災プロジェクト」というものもあります。大分県中津市は、大雨により河川の氾濫が発生しやすく、特に河川周辺地域の子供たち、高校生たちにとっては、非常に身近な問題です。そこで、身近な問題を学問として学べるプロジェクトとして、今年度は全3回でプログラムを実施しました。

 国土交通省 山国川河川事務所様、レスキューサポート九州様のご協力も得て、実は1回目の実地開催は雨で中止になったのですが、2回目、3回目では河川の仕組みや土木をテーマに、ユーモアを交えて熱心に講義をしたり、現地視察に行って、そこで水防体験をするということもしました。

 本プロジェクトは土木工学を学ぶことの大切さを、実際に体験できるプログラムです。高校の授業では生徒全員に体験させることが難しいようなことも体験できたと好評を博しました。プログラムでは、土木工学の研究者が着目していること、行政側の方々が持つ視点などについて、各お立場の方々による講義が提供されます。参加した高校生からは、「すごくイメージがしやすかった」という声をもらいました。

参加者への期待

— 数多くの高校生が「マナビバ!」に参加したとのことですが、こういう人に参加してほしいという期待や、修了後に期待することなどはありますか。

中尾 さん

  期待する参加者像としては、明確な目的を持っている必要はありませんが、プロジェクトの内容そのものに関心を持ってくれている高校生ということがあります。オープンキャンパスでも「好きから学ぶ」という体験ブースを設け、まずは大学での学びに関心を持ち、「入学してから深めていけばいい」というメッセージを添えています。また、やりたいことはわからないけど、とにかく何かに一生懸命のめり込みたいと考えているような高校生が参加するのもよいと思います。なお、「マナビバ!」は毎年参加してくれるような高校生も歓迎します。高校1年生の時に参加して、加えて翌年の2年生でも、さらに3年生でも参加することができます。

 参加を考えている高校生の皆様には、プロジェクトを自ら選んでそこで学んでもらい、この経験を持ち帰って、高校での学習、部活動、課外活動などに活かしてもらいたいと考えています。何かをやらされるのではなく、自ら考えて選び、主体的に動けるような新たな自分を持ち帰ってもらいたいと願っています。大学選びもそうですが、自ら考えて選び、それに一生懸命になれるような自己を形づくり、そうした素養を自分の強みに変えてもらえたら嬉しいです。

参加者が成長するプロジェクト

— 参加した高校生からはどんな声がありましたか?

中尾 さん

 例えば、「水環境×河川防災プロジェクト」には、土木工学に興味を持つ高校生も参加しています。そうした参加者からは、「もっとプロジェクトをやりたい」「この大学がいい」「もっと学びたい」などという声がありました。提供する側として、こうした高校生が目の前に現れることは、非常に嬉しいです。

 「光る魔法の森公園プロジェクト」の参加者には、地域活性化にかかわりたいと参加した高校3年生がいました。その高校生は、「マナビバ!」への参加経験を踏まえて、地域活性化の構想を企画書にまとめてくれたのですが、高校生らしからぬ素晴らしい出来栄えでした。その高校生は、もともと専門学校と大学で進学先を迷っていたようでしたが、マナビバへの参加を通して本学であればこの企画を実現できそうだと、次第に本学への進学を真剣に考えてくれるようになりました。こうした意欲がある、質の高い高校生が本学を受験してくれつつあることに、「マナビバ!」の手応えを感じています。

 ちなみに、 今紹介したような高校生は面接をするとすぐにわかります。面接の受け答えも、素晴らしく、自分で考えたことをハキハキと説明し、地域活性化に携わりたいということで、ある意味、自分の中での事業計画のようなものが明確にあるように見受けられました。企画名、自ら考えた企画のロゴを作成し、そのコンセプトも明確なものでした。

高校側の反応は?

— この取り組みについて、高校の先生方からの反応は何かありましたか?

中尾 さん

 立ち上げ1年ということもあり、まだいただいたフィードバックは少ないのですが、それでも来年は高校の探究学習のグループの一つをこのプロジェクトに参加させるものにしてみたい、継続して毎年参加できる仕組みを作ってほしいなどの問い合わせはいただいています。

 次年度以降の企画として、プロジェクトをパッケージ化し、高校の探究学習に取り入れられるものを、高大連携の取り組みとして提供できないかと検討しています。

今後の展望について

— 「マナビバ!」の今後について、お考えの方針やアイデアがあれば教えてください。

中尾 さん

 理想的には、「マナビバ!」に参加して本学に入学した学生には、1年生の段階から「マナビバ!」の運営側となってかかわってもらえればと考えています。実際に本プロジェクトに参加して楽しさを感じ、本学に入学しているはずなので、今度は後輩たちが体験するのを手助けしてあげてほしいです。経験した学生からの言葉には説得力があるはずですし、支援する側から参加することにも大きな学びがあるはずだと考えています。

総合型選抜(高大接続型)について

— 「マナビバ!」の修了は、貴学の総合型選抜(高大接続型)の受験にも活用できるとのことですが、これについて教えてください。

入試広報課 課長 中村 直登 さん

 総合型選抜(高大接続型)では、「マナビバ!」の参加を出願要件としています。初年度の2025年度では、高校3年生を中心にPRして参加してもらいました。この選抜でのねらいは、現段階で数学や英語で70点、80点を取れなくても、「マナビバ!」を通じて興味関心を持ったものについて学ぼうとする態度・姿勢を身につけたり、その楽しさを知ったりした高校生に、本学を志願してもらうことにあります。こうした志願者を獲得できるようになれば、この選抜方式は、従来の学校推薦型選抜に代わるぐらい重要な選抜方式になるだろうと考えています。

マナビバ!でのJ-Bridge System活用について

— 「マナビバ!」の出願予定者において、奨学生を判定するための事前エントリーを、弊塾が提供するJ-Bridge Systemをご利用いただきましたが、これについて今後の利用や感想についてお聞かせください。

入試広報課 課長 中村 直登 さん

 今年度は試しに事前エントリー時のレポート提出の場面で利用させていただきました。J-Bridge Systemは、レポートやプレゼンのスライドをデータファイルで提出できる点で、総合型選抜への接続を考えると有効だと考えています。プロジェクトの中でWordやPowerPointで学修成果をまとめ、J-Bridge Systemを利用して提出させるようにすれば、学修の振り返りになるだけでなく、これを選抜時にエビデンス資料としても活用できそうです。この意見は、プロジェクトを運営する先生方からもいただいています。またプロジェクトでの学修成果も、J-Bridge Systemのルーブリック機能を利用して評価するようにすれば、よりプログラムの中身の充実に繋がっていくだろうと考えています。こうした活用の仕方を、運営の効率化ということも含めて今後検討していきたいと思います。

高校生へのメッセージ

— これから「マナビバ!」への参加を考える高校生に向けて、メッセージをお願いします。

中村 さん

 本学の建学の精神は、「人間性に支えられた高度な工業技術者を広く学術の研鑽を通じて育成する」です。そして、私たちは、社会に出て即戦力で活躍できるようになりたい、実践現場で活躍したいという希望を持つ受験生に是非志願してもらいたいと願っています。その入り口となるのが、この「マナビバ!」です。

 日本の将来を展望すると、終身雇用や年功序列など従来の社会システムが崩壊し、社会環境も大きく変わり、今後の見通しが非常につきにくい状況です。みなさんのこれからのキャリアを考えると、さまざまな転換期に当たる可能性が高いだろうと思います。そのため、本学で学ぶ学生には、大卒というある種の資格だけでなく、主体的に考えられる力、そこから一歩踏み出して自ら選択できる力を身につけて、胸を張って社会に出てもらいたいと願っています。「マナビバ!」は、私たちが企図する本学の実践的な学びを体験し、実際に学べる良い機会です。

 興味があるプロジェクトを見つけたら是非チャレンジしてみてください。あなたの次のステージがきっと見えてくるはずです。


マナビバインタビュー
インタビューにご対応いただいた西日本工業大学の方々、ありがとうございました
(左) 入試広報課 課長 中村 直登 様
(右) 学生募集・高大連携コーディネーター 中尾 佳澄 様
河合塾 教育研究開発部

河合塾 教育研究開発部 高大接続推進チーム / システム運用チーム


学力の評価・育成や教育手法・教材などについて、調査・研究・実践を常に繰り返すことで、時代に即した教育を追究し続けています。

「J-Bridge System」は、大学入学者選抜に加え、今回ご紹介したような高校生参加型授業でも活用可能です。

J-Bridge System
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デジタルトランスフォーメーション(DX)の動きにあわせ、J-Bridge Systemを導入・活用し、受験生の専門分野への強い関心や意欲など、筆記試験では把握できない主体性等を明らかにしています。

高校生参加型の学び~チャレンジ授業~マナビバ!は、西日本工業大学の"実践的な学び"を、ひと足先に体験できる参加型特別授業です。

河合塾によるJ-Bridge System(JBS)のご案内。Webを通じて、受験生の多様な資質や主体性を示す情報をデータとして獲得し、有効かつ効率的な評価の実現を支援するシステムに関する情報をお届けします。

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