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    公開日
  • 2024年09月02日
  • (2024Guideline7・8号より)

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北海道大学 フロンティア入試

写真提供:北海道大学

この記事のポイント!
共通テストと独自の適性試験で学力を評価
コンピテンシー評価のベースは高校の先生による評価
周囲に良い影響を与える高パフォーマンスの学生が多い

記事の内容は、2024年5月の取材時点のものです。最新の入試情報は、大学のWebサイトをご覧ください。

北海道大学Webサイト「入学案内」ページ

多様な高校から多様な生徒を受け入れるため
フロンティア入試でコンピテンシーを評価

フロンティア入試が求めるのは意欲の高い学生

北海道大学の総合型選抜「フロンティア入試」は2022年度入試から導入されている。求めているのは、主体的な行動を起こす力を持ち、新しい物事にチャレンジしていく意欲が高く、北海道大学で学びたいという強い意志を持った学生だ。フロンティア入試にはTypeⅠとTypeⅡの2つの区分がある。アドミッション本部副本部長・富岡智教授は「TypeⅠはコンピテンシー評価による資質・能力の評価に加え、共通テストで学力を評価します。TypeⅡは数学と理科による適性試験を課す、学力を重視した選考方法です」とその違いを説明する。どちらのタイプも調査書などの書類審査と面接も課されている。TypeⅡの適性試験は過去問題も公表されており、一般選抜に類する難易度の問題となっている。

TypeⅠはコンピテンシー評価が特徴的だが、その目的について、高等教育推進機構アドミッションオフィサー・田村志穂美氏は「高校までの多様な学びで築かれた、大学入学後に成長し、活躍できる資質・能力を入試で測るために導入しています」と話す。コンピテンシー評価は、ベースとなる評価を高校の先生方にお願いしている。「教科指導」「総合的な探究の時間」「学級活動、学校行事等の諸活動」「部活動」など複数の評価領域があり、「教科指導」で指定される教科は学部学科によって異なる。複数の教科の場合には複数の先生方による評価が必要となる。各領域を評価するための評価観点も複数あり、各領域によって観点も異なる。田村氏は「高校教育の日常的な活動の中に、北海道大学が求める資質・能力を評価していただける有効な機会があると考えています。生徒さんのことを最もよく理解しているのは高校の先生方ですのでご協力をお願いしている次第です」と話す。

評価は4段階から5段階のルーブリック評価で行い、最高評価の場合には根拠となる証跡の添付が必要となる。評価は証跡の添付も含めてすべてオンラインで完結する仕組みだ。入力にはおおよそ2カ月と長めの期間が設けられている。田村氏は「活動自体を通して見えてくる、生徒さんの能力の評価をお願いしています」と話し、受賞歴や活動実績だけではなく、そこから解釈可能な生徒の能力を可視化することが目的だという。

北海道大学 フロンティア入試
  • 2024年度入試の公表情報を基に河合塾で作成

専門分野に非常に強い関心を持った生徒が入学

フロンティア入試は、導入されて3年目のため、入学した学生の本格的な追跡調査はこれからとなるが、大学教員へのヒアリングによると学力の面では一般選抜で入学した学生と遜色がないそうだ。また、単年度のみのデータであくまで参考程度とのことだが、GPAも2年生までの評価では、一部の学科ではフロンティア入試入学者が成績上位となっているとのことである。また、主体性や協働して学ぶ力については、高いパフォーマンスを発揮しており、周囲の学生に刺激を与えている学生も多いそうだ。

特にTypeⅡは合格発表が12月のため、入学前教育が行われており、そこでつくられた学生間のネットワークを中心に、入学後に他の学生たちと良い方向で活発につながっていく効果も見られるそうだ。さらに高等教育推進機構アドミッションオフィサー・板東信幸氏はヒアリングから「専門分野に対して非常に興味・関心が高い生徒が入学しているのは間違いないと思います」という。研究室に配属され、大学院まで進む段階になれば、さらに学内での評価も高まるだろう。富岡教授も「いくつかの学科等ではフロンティア入試入学者による博士課程進学率の向上を期待しています」と話す。

フロンティア入試でのコンピテンシー評価は高校との協力関係が大切だが、今後について富岡教授は「総合的な探究の時間を重視してほしいと思います。そこでの学びを通じて、いろいろな分野に興味を持ち、大学の先、つまり社会でどうやって活躍していくかを絶えず意識するような生徒さんを育ててほしいと思います」と期待を語る。

田村氏は「フロンティア入試で入学した学生は、自分が向かう方向性について強く意識しています。こうした学生が増えてくると他の学生に対して良い影響があると思います。学校活動に熱心に取り組む生徒さんを送っていただけるなど、高校の先生方のご理解も深まっていると感じています」と話す。板東氏も「コンピテンシー評価では、すべての資料を一つひとつ丁寧に確認しています。学校行事や授業の場面など日常での生徒さんの成長など細かなところまで見ていきたいと思っています。多様な高校から多様な生徒さんを受け入れていきたいと考えています」とさらにフロンティア入試への理解が深まることへの期待を語った。


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