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    公開日
  • 2024年12月25日

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総合問題はどう対策すべきか~問題解析の視点から入試対策を考える~

近年は一橋大、早稲田大、青山学院大などの難関大一般選抜でも出題が広がる総合問題。一方で、高校現場からは指導が難しいとの声も多くあります。 そこで2024年12月17日開催の本イベントでは、有名国立大の入試問題解析を通じて、どのように総合問題へ対策すればよいかについて考えました。

プログラム
「総合問題」とはなにか。また、近年の出題状況について

難関大中心に出題が増えている「総合問題」とは︖ その特徴を整理分類します。

総合問題を解いてみる

実際に国立大の入試で出題された総合問題を解析し、解答に至るための思考を辿ります。

総合問題を解くために必要な力とは

どのような力を育成することをめざすべきか、問題解析を通じて見えたことから説明します。

学校ではどう指導すべきか

学校で指導するには個人対応しかないのか︖ 指導体制のヒントを提示します。

レポート

1.総合問題とは何か(広川徹・小論文科講師)

総合問題について、その定義・実例・出題状況を解説しました。 大学入試で課される「総合問題」は、実際には(1)教科試験、(2)小論文形式、(3)複数資料やテーマを組み合わせて論理的思考力を問う高度な問題、の3つに分類できます。 実例として、2023年度一般選抜をみると、一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部(前期日程)では正規表現など実用的で文理融合的な問題、北海道教育大学教育学部国際地域学科地域協働専攻では日本語と英語が混在する資料、上智大学総合人間科学部(共通テスト併用方式)では選択式と論述式が組み合わさった問題が出題されていることを、実際の問題とあわせて紹介しました。 これらの「総合問題」は、2023年度の私立大学校推薦型選抜の約4割、総合型選抜の約2割で出題され、いわゆる年内入試で大学進学を考える場合には、総合問題の対策を避けて通ることはできないのが現状です。

2.総合問題を解いてみる/
3.総合問題を解くために必要な力とは(山田誠司・小論文科講師)

金沢大学人間社会学域(前期日程)の2024年度入試で実際に出題された総合問題の解説を軸に、その指導方法について解説しました。この問題は単なる知識だけでなく、思考力や判断力、表現力を問う試験であり、そのためには高校の学習内容を深く理解し、それを応用する力が必要です。また、循環型経済や移民問題といった社会的なテーマを扱っていることから、受験生には広範な知識と柔軟な思考が求められます。

今回は、河合塾の総合問題対応教材『思考力・表現力シリーズ』での指標「5つのability」(知識活用力・読解力・発想力・構成力・表現技術)を解説に取り入れながら、各設問でどの能力が問われているかを踏まえ、育成すべき力、指導のポイントを説明しました。

4.学校ではどう指導すべきか(広川)

総合問題では、文系・理系・医系など志望する大学・学部によって出題されるテーマが異なり、その指導においては広範な知識が必要です。そのため、受験生の指導を一人の教員が担当することは現実的でなく、各科目の教員がチームで連携し、負担を分散させることが重要です。

さらに、総合問題や小論文の指導では、テーマの解説や採点基準の整備が不可欠です。しかし、個別指導にならざるを得ない受験期の指導において、「問題解説~採点、添削という一連の指導を一律に行うのは難しい」という声もあります。こうした課題に対して、ChatGPTを活用した問題・テーマ解説、採点基準の作成方法に加え、『思考力・表現力シリーズ』を活用した学年別指導法も紹介しました。

登壇者

広川 徹(ひろかわ・とおる)

山田 誠司(やまだ・せいじ)

河合塾小論文科講師。総合問題対策対応の『思考力・表現力シリーズ』を監修。思考に必要な能力要素を、作問だけでなく評価にまで落とし込む仕組みを確立する。

関連コンテンツ
思考力・表現力シリーズ(商品・サービス)
対象:高校生

大学入試において重要度が増している「思考力・表現力」を育成・測定するシリーズ商品です。一般選抜における総合問題や、総合型選抜・学校推薦型選抜対策として、思考力・表現力育成の土台づくりを支援します。

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