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    公開日
  • 2026年02月09日

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2026年度大学入学共通テスト概況分析 2026年度大学入学共通テスト概況分析

このほど、大学入試センターから2026年度大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の実施結果が発表され、受験者数、科目別平均点などが判明した。新課程移行2年目の実施となる今年は難易度の変化に注目が集まっていたが、昨年と比較して難化した。以下、今年の共通テストの概況を振り返る。

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志願者数・受験者数

2026年度共通テストは1月17・18日の2日間にわたり、全国650会場で実施された。

<図表1>は直近10年の志願者数・受験者数の推移である。今年度の志願者数は496,237人(前年比100.2%)と前年並みとなった。受験者数は約2千人増の464,090人(同100.4%)となり、受験率は93.5%とやや上昇した。

<図表1>センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数推移
<図表1>センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数推移

今年の追試験の受験許可者数は969人。追・再試験は本試験の1週間後の1月24・25日に実施され、911人が受験した。追試の受験者数は前年並みだったが、再試験は本試験のリスニング試験中のトラブルなどで受験者がやや増加した。

志願者数の推移をみると、2024年度に49万人台前半まで減少、その後2年連続で上昇しているが、50万人を割り込んでいる。

<図表2>は受験科目数別の受験者数の推移である。全体の受験者数増加は、3科目以下の受験者の増加分によるものであることがわかる。主に私大専願者が中心である3科目以下の受験者は共通テスト導入以降減少傾向が続いていたものの、今年は一転して増加した。現在、私立大一般選抜の志願者数が判明しつつあるが、共通テスト利用方式の志願者数も増加しており、その背景には、共通テストの少数科目受験者の増加もあると考えられる。

<図表2>共通テスト 受験科目数別の受験者数
<図表2>共通テスト 受験科目数別の受験者数

共通テストの出題ー
新課程2年目となる教科・科目や特徴的な出題について

新課程移行2年目となった今回も、「思考力、判断力、表現力を問う」といった基本的な考え方にのっとり、「日常を意識した場面設定」「複数資料の提示」といった共通テスト特有の出題傾向は継続している。

数学では出題の変更があった。「数学Ⅰ,数学A」ではこれまで「数と式」の出題が続いていたが、「集合と命題」が出題された。「集合と命題」は共通テストになってから初めての単独出題となった。「数学Ⅱ,数学B,数学C」では「指数関数・対数関数」に代わり「図形と方程式」が出題された。昨年から出題範囲に加わった「複素数平面」は、今年は「平面上の曲線」との融合問題となった。

「国語」に昨年から加わった「近代以降の文章」の実用的な文章では、イワシをテーマにした絵本を題材とした出題だった。昨年度のようなグラフの読み取り問題ではなく、生徒が書いたとされる文章、インタビュー記事、絵本の抜粋、イワシの回遊について説明した文章と図などから、文章の表現について問われる問題が中心となった。問題全体の方向性がとらえにくく、戸惑った受験生もいたのではないかと思われる。また、昨年は大問追加とともに、既存の大問で選択肢の数が減る変更があったが、今年もその傾向は継続した。

地歴・公民では「歴史総合,日本史探究」と「公共,政治経済」で、解答したい方を受験生が選択できる「組み合わせ形式」の問題が出題された。昨年の「公共,倫理」に続いての出題である。また、「歴史総合,世界史探究」では、歴史総合の部分で日本史からの出題が増加した。

時事トピックでは、「SDGs」「ガザの紛争」「AI」「新型コロナワクチンと免疫の仕組み」などが出題されたほか、「絵本」「漫画『ベルサイユのばら』」「タイムマシンで過去や未来に行く」など、ユニークな題材が盛り込まれていた。

科目別平均点の変化ー
「物理」と「化学」は昨年と逆転

<図表3-1>は大学入試センターが公表した共通テストの主な科目の平均点の一覧である。主要科目では「英語リーディング」「数学Ⅱ,数学B,数学C」で平均点がアップしたものの、「英語リスニング」「数学Ⅰ,数学A」「国語」では平均点がダウンした。

<図表3-1>共通テスト 主要科目平均点
<図表3-1>共通テスト 主要科目平均点

理科では、受験者が多い「化学」で平均点が11.5点アップした一方、「物理」の平均点は13.4点ダウンし、昨年と逆転した。「物理」の平均点は、共通テスト前身である大学入試センター試験を含めて、過去最低となった。

<図表3-2>は河合塾の共通テストリサーチ参加者の「物理」「化学」の得点分布である。「物理」は分布が左に大きくシフトしており、高得点の層が大きく減っている。出題内容を分析すると、思考・計算を要する問題が増えたことに加え、第2問で発展的内容が出題されるなど難化した。加えて、即答できる問題がなくなり、大問の1問目から複雑なプロセスを踏む必要がある問題が多かったため、高得点が取りにくい内容であった。一方、「化学」では共通テスト特有の目新しい題材を扱う設問が減少し、さらにグラフを用いた問題がほとんどなく、計算問題も減少した。そのため、これまでの共通テストに比べて時間的にもやや余裕ができたことで、平均点アップにつながったと考える。十分に演習を積んだ受験生にとっては、得点しやすかったという印象である。その一方で、簡単に得点できる問題は少ないため、演習量の差によって差がつく結果となった。それが得点分布にも表れており、今年の分布は左右に広がる台形となった。

<図表3-2>共通テストリサーチ 受験者の得点分布
<図表3-2>共通テストリサーチ 受験者の得点分布 物理
<図表3-2>共通テストリサーチ 受験者の得点分布 化学

地歴・公民では、昨年平均点が高かった「歴史総合,世界史探究」を除き平均点はアップしている。これにより各科目61点~64点の間に収まっており、科目間の不公平感のないバランスのよい出題となっている。

導入2年目の「情報Ⅰ」は、平均点が12.7点ダウン。昨年は得点しやすい内容で平均点も高かったが、今年は56.6点と他教科と同程度の平均点となった。出題内容の変化としては問題量の増加が目立つ。マーク数は51→60に増加しており、60分の解答時間内に解答を終えるのが難しかった受験生が多かったと推測する

総合型平均得点率ー
文理ともに高得点層が減少

<図表4>は河合塾・駿台・ベネッセが推定したセンター試験・共通テストの総合型平均得点率の10年間の推移である(2024年度以前は5教科の総合平均得点率で河合塾の推定値)。今年の平均得点率は6教科文系型が前年より2ポイントダウンして60%、6教科理系型は3ポイントダウンして60%となった。新課程移行2年目は平均点が下がる傾向にある。今回も文理ともに総合型平均点がダウンする結果となり、文理の差も縮まった。

<図表4>センター試験・共通テスト 総合型平均得点率の変化
<図表4>センター試験・共通テスト 総合型平均得点率の変化

過年度と比較すると、例年に比べ平均点がかなり低かった2022年度を除くと、理系の平均点は例年より低め、文系は例年並みとなった。

得点分布ー
平均点ダウンにともない6教科型の成績上位者が大幅に減少

<図表5>は、共通テストリサーチ参加者の得点分布である。多くの国公立大で必要となる6教科の受験者の得点分布は、文系・理系ともに平均点ダウンにより左側にシフトしている。また、得点率8割以上の受験生は大幅に減少した。国公立大の志望動向にも影響を及ぼしており、国公立大出願受付締切日時点で発表されている人数をみると、特に理系では難関大における理・工・医学系統の志願者が減少している。

<図表5>共通テストリサーチ 受験者の得点分布

①6教科受験者の得点分布
①6教科受験者の得点分布_文系型
①6教科受験者の得点分布_理系型
②3教科 受験者の得点分布
②3教科 受験者の得点分布_英・国・数or地公型
②3教科 受験者の得点分布_英・数・理型

3教科型では、主に私立大文系志望者が受験する「英・国・数または地公」の3教科型と、私立大理系志望者が受験する「英・数・理」の3教科型の得点分布を作成した。こちらも得点率8割以上の層は文理ともに減少している。

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