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ミライの選択活用事例

意思決定を学び、後悔のない選択の先にある「幸せな人生」をめざす

聖光学院高等学校

  • 福島県伊達市
  • 男女共学/私立
  • 普通科
  • 1学年10名程度(進学探究コースでご採用)

外的な理由で終わらせない──統合校が育てる、自分で決める力

群馬県立桐生清桜高等学校

  • 群馬県桐生市
  • 男女共学/県立(公立)
  • 普通科(単位制、アドバンスト探究コースを含む)
  • 桐生南高校と桐生西高校の統合により2021年開校

「点」から「面」へ──納得できる進路選択が、生徒の可能性を広げる

オイスカ浜松国際高等学校

  • 静岡県浜松市
  • 男女共学/私立
  • 普通科(特別進学コース含む)
  • 特進クラスを中心とした希望者、各回10~20名程度(放課後任意参加)

聖光学院高等学校

意思決定を学び、後悔のない選択の先にある「幸せな人生」をめざす

実施時期
高1、高2の夏休み
実施体制
探究担当教員による授業実施

学校データ

  • 福島県伊達市
  • 男女共学/私立
  • 普通科
  • 1学年10名程度(進学探究コースでご採用)
  • 高等学校Webサイト
導入前の課題
22年度に新たに立ち上げた進学探究コースで進路選択・指導の軸となる教材を探していた。

選んだ理由
「ミライの選択」の内容である「意思決定の方法」を学ぶことが、高校や大学、さらにはその先の「幸せな人生を送るための学び」にもつながると考えた。

導入後の成果・効果
生徒それぞれの選択肢の幅を広げ、じっくり時間を取って進路について考えさせることができた。 生徒からは「自分のことを知っていたつもりになっていたことがわかった。」「自分が考えている形ではない方法でみんなはさまざまな選択と向き合っているんだなと感じた。」など、今までにない反応が見られた。

ご担当先生のコメント

[三瓶 航 先生(普通科進学探究コース長)]

本校では「ミライの選択」を、進学探究コースの探究活動の一環として毎年夏休みに集中的に実施しています。
「ミライの選択」を導入したのは、プログラムを通じて学ぶ「意思決定の方法」を知っていることが、将来にわたって後悔のない選択につながるのではないかと思ったからです。
進学探究コースの設置目標に「幸せな人生を送るための学び」というものがあるのですが、幸せは自分で後悔のない選択をすることで得られると思っています。「ミライの選択」を学ぶことが、それにつながると考えました。

「ミライの選択」で良いと思ったところは、プログラムで学ぶ「決め方」を使うことで、生徒は自分のことを俯瞰し、自分の感覚を言語化することができるので、強制的に自分自身のことをメタ認知できる、ということです。
こうしたことを踏まえて最終的な決定をするのと、感覚的に決めてしまうのとでは、自分の選択に対するその後の納得度が大きく変わってきてしまうと思います。
授業を行うにあたってプログラムを理解していく中で、私自身もそういえば「決め方」の勉強ってこれまでしてこなかったなと思い、何よりもまず自分の勉強になりました。

導入して3年目になりますが、今年度は初の試みとして、高1、2生合同で授業を実施しました。というのも、高2生は昨年度も実施しているのですが、以前受けた授業を高1生と一緒に受けて復習をすることで、さらに理解が深まり、より幅広い選択ができると考えたからです。
本校では各学年で選択科目があるため、高1、2生それぞれで、次年度での選択科目でどれを選ぶべきか、ということを「決める内容」に設定しました。高1生は、この科目選択がそのまま文理選択につながります。
そして科目選択を行う中で、本校のカリキュラムの説明を行ったり、実際に各科目の教科書も見せたりしながら、生徒に総合評価表を作成してもらいました。
2学年合同で実施したことで、高2生は高1生にアドバイスをしたり、自分の場合はこうだったと話したりしてくれていました。高2生は高1生がいることで「きちんとやらないと」という意識が芽生え、高1生は先輩からアドバイスを受けることができたので、双方にとって良い効果があったかなと思います。

また、今年度は昨年度まではできていなかった進路の「選択肢」についても扱いました。私たちは自分の知っている範囲からしか選択をできないということ、そして、探究の授業ではさまざまな体験や経験を経て、自分の知っている範囲を広げているのだ、といった探究活動の意義を伝えつつ、「ミライの選択」のプログラムにある「選択肢を創る」ワークを通じて、「学部学科」をテーマに総合評価表を再度作成してもらいました。
そして、興味を持った大学や学部をさらに調べるように促すことで、今後の大学研究につながるようにしました。

高校生が進路についてちゃんと時間を設けて考える時間は意外とないと思います。毎日授業に追われて考える時間を取れないと、いざ三者面談の時に「そろそろ決めないと」と言われ、時間的な制約がある中でなんとなく決める、ということになりかねません。
夏休みの時間にじっくり自分と向き合って考える時間を設けることで、普段から進路に対する意識を持つことができます。それによって、後悔のない進路選択をしてくれることを期待しています。

また、生徒には「ミライの選択」や他の探究活動を通じて、いろいろなことを学び、経験してもらうようにしています。それが「高校生」という時点ではピンとこないこともありますが、それでも今はとりあえず教えておくことで、将来何か決めなければならない場面が来たときに、「そういえば授業でこんなことをやったな」と思い出して参考にしてくれるといいと思っています。

次年度に向けては、未来についての選択だけでなく、一度過去に行った選択、つまり高校入学を「決め方」を使って振り返る、ということをやってみたいと考えています。高校入学は多くの生徒にとって初めての大きな選択になりますが、多くは親や先生の言うことを聞いて決めてきたのではないかと思います。過去の経験を振り返り、そこで本校に来て良かった、という結論になればもちろんありがたいのですが、そうでなかった場合に、「今度は自分が納得できる選択ができるようにしっかり考えないと」と生徒に思ってもらうことで、進路選択に対してより意識が高まるのではないかと思います。
生徒の幸せにつながるよう、今後も試行錯誤を続けていきたいと考えています。

2024年度 授業スライドより抜粋
聖光学院高等学校「2024年度授業スライド」より抜粋。
                                                「総合評価法を作成する」
                                                表を使い、選択肢を判断基準ごとに点数化し、評価していく手法
                                                1年生:「選択科目Bをどうすべきか」
                                                2年生:「選択科目Cをどうすべきか」
聖光学院高等学校「2024年度授業スライド」より抜粋。
                                                「探究でやっていること(近いミライ)」
                                                自分が想像で嫌なこと、想像すらできなかったこと→体験・経験→楽しいかも??想像と違ったかも??
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群馬県立桐生清桜高等学校

外的な理由で終わらせない──統合校が育てる、自分で決める力

実施時期
高校1年2学期~高校2年1学期(全8回のうち、1~6回目を1年生の2学期以降、7回目を2年生の1学期、8回目をオープンキャンパス後の2学期に実施)
実施体制
進路指導担当(小林先生)が3年間の進路指導フロー全体を設計。1~6回目はLHR(ロングホームルーム)の時間を使って各学年の先生が実施。なお、年間スケジュールや1年次の各回の具体的な進め方(ペース配分)は学年の先生の裁量に委ねている。

学校データ

  • 群馬県桐生市
  • 男女共学/県立(公立)
  • 普通科(単位制、アドバンスト探究コースを含む)
  • 桐生南高校と桐生西高校の統合により2021年開校
  • 高等学校Webサイト
導入前の課題
桐生南高校と桐生西高校の統合により、学力層の幅が一気に広がった。多くの生徒にとって進学先は「今の学力で入れるかどうか」という外的な基準で語られがちで、自分からめざしたいという内的な動機を持ちにくい状況があった。進路指導も学年ごとに行われており、学年が持ち上がるたびに内容が引き継がれず、その都度ゼロから作り直される状態が続いていた。

選んだ理由
以前一緒に働いていた教頭が校長として着任し、進路指導の3年間のフローをイチから作るよう一任されたことがきっかけ。学年主導で場当たり的だった進路指導を、学校として「自分で決める」ことを軸に刷新したいと考えた。決め方・手順そのものにフォーカスできる教材は他になく、これが決め手となった。

導入後の成果・効果

2年生の前半までに進路を決めた生徒は、進路に対する満足度が学年平均よりも高い傾向が見られている。

ご担当先生のコメント

[小林 雄太 先生(進路指導主事)]

統合で広がった学力層 ── 「決める経験」がないという課題

本校は、桐生南高校と桐生西高校という2つの学校が統合してできた学校です。統合によって学力層の幅は一気に広がりました。実際に入学してくる生徒を見ていると、「今の学力で入れる高校だから」という外的な理由で入学してくる子が多く、自分でめざして頑張ってきたという内的な動機を持っている生徒は多くありません。中学時代も、自分たちで授業やグループワークを作っていくというよりは、学力上位の生徒が発言権を持ってグループをリードするなか、受け身で座っているという環境で育ってきた子が多いように感じます。だからこそ、いざ自分の進路を考える段になっても、自分ごととして捉えられておらず、どうしていいか分からない、というのが一番の課題でした。

活用の仕方 ── 2学年にまたがって実施

「ミライの選択」は全8回のプログラムですが、本校では1年生の2学期(9月)から始めて、1~6回目をLHR(ロングホームルーム)の時間で進めています。小論文指導など他の進路行事とも並行するので、6週連続でまとめてやる学年もあれば、3回やって他の指導を挟み、また3回やる、という進め方をする学年もあります。ここは学年の先生たちの裁量に任せていて、私からは「1年生のうちに6コマを終わらせてください」ということだけを伝えています。残りの7・8回目は2年生に持ち越し、1学期の6~7月ごろに7回目を実施してオープンキャンパスに行かせ、その後8回目でグループ発表、進路の宣言をする、という流れにしています。

1つの学年で完結させずに、1年生と2年生にまたがる設計にしているのには理由があります。オープンキャンパスなど、実際に自分の目で確かめて判断材料を得られる機会は夏に集中しているので、1年生の秋から冬にかけて価値観や学問への理解を一度耕しておき、2年生の夏にもう一度戻ってきて、その材料をもとに最終的に決める、という流れの方が生徒には合っていると感じているからです。また、2年生は修学旅行の準備でLHR(ロングホームルーム)の時間が圧迫されるので、1学期に1コマだけ組み込む形にすると、学年の先生方の負担も少なくて済みます。

導入の成果 ── 「決めた生徒」の満足度が数字にも表れた

去年の3年生は、これまでになく2年生の前半までに進路を決めた生徒の割合が高かったのですが、そうした生徒たちの満足度は学年平均よりも高く出ています(10点満点で、平均7点台後半に対して8点台前半)。当初は私が進路計画を立てている中で導入を検討していましたが、その様子を見た1年次の主任が「その内容ならうちの学年でもやりたい」と言ってくれて、検討段階から自主的に採用してくれました。導入してから3年が経ち、進路を決めることが生徒自身の進路選択の満足度につながっていることが嬉しく思います。

採用を検討される先生方へ

他校の先生にお伝えするとしたら、統合を経て学力層の幅が広がった学校や、多様な学力層の生徒が集まる学校に特に効果があると思います。自分を客観的に、俯瞰的に見る経験が少ないまま高校に入ってくる生徒にとって、自分の価値観や判断基準を一度立ち止まって見つめ直す、という経験そのものに大きな価値があります。書くことで他の人に説明できるようになる、というのも、高校生にとってはとても大きなことだと感じています。

オイスカ浜松国際高等学校

「点」から「面」へ──納得できる進路選択が、生徒の可能性を広げる

実施時期
高校2年、通年(月2コマ程度、放課後)
実施体制
進路指導部職員(澤柳先生)が単独で授業を担当

学校データ

  • 静岡県浜松市
  • 男女共学/私立
  • 普通科(特別進学コース含む)
  • 特進クラスを中心とした希望者、各回10~20名程度(放課後任意参加)
  • 高等学校Webサイト
導入前の課題
卒業後の早期退職・早期中退を減らしたい。大学紹介にとどまらず、生徒が自分で納得して進路を選べる状態をつくることが課題だった。

選んだ理由
「決め方・手順」を可視化した教材がほしかった。改訂で志望理由書のワークが追加され、最終的に志望理由書の骨組みまで2年生のうちに完成できる点が決め手となった。昨年は試験的に1年生に導入し、今年度から対象学年を2年生に切り替えている。

導入後の成果・効果

生徒の質問力・主体性が向上。放課後に自ら残って進路相談をする生徒が増加。2年生のうちに志望理由書の基礎を完成させる流れが整いつつある。

ご担当先生のコメント

[澤柳 一貴 先生(進路指導部副部長)]

大学紹介にとどまらない指導へ ── 「自分で決定する」教材を求めて

本校では以前から、卒業後の早期退職や早期中退を減らしたいという思いが、進路指導部として共通の課題でした。「ここの大学はこういうところだよ」と大学を紹介するだけの進路指導では、生徒が本当に納得して選んでいるかどうかわからない。単に卒業させるのではなく、本人が承知している状態で進路を選べるようにしたい、というのが進路指導部長とも共有していた思いです。

そこで求めていたのは、「自分で決定する」ための決め方・手順を生徒に可視化して示せる教材でした。昨年は試験的に1年生に導入し、今年度から対象学年を2年生に切り替えています。「ミライの選択」を選んだ決め手は、意思決定のプロセスを体系的に学べることに加えて、今回の改訂版で志望理由書のワークが追加されたことで、最終的に志望理由書の骨組みまで2年生のうちに仕上げられるという点です。3年生になってから始めると、自分の勉強と重なって間に合わなくなってしまいますから、2年生の比較的余裕のある時期に実施することが大切だと考えました。

理論より先に行動を ── 学校の実態に合わせたアレンジ

今年度は、プログラムの順番を学校の実態に合わせて大きくアレンジしました。本来の流れは「価値観・判断基準」のワークから入りますが、本校の生徒は最初に理論が来てしまうと拒絶してしまう子が多い。そこで、まず「学問と職業」を扱うことで、自分の志望に関連する学問や職業にも興味を持つ機会をつくり、夏のオープンキャンパスに参加します。そして2学期に「なぜそこに興味を持ったのか」を価値観・判断基準で振り返るという構成にしました。「先に行動させてから、その経験をもとに自己分析を深める」という流れが、本校の生徒の動きにとても合っています。また、本校は部活動にも力を入れているため、部活動の曜日や時間と重複しないように構成したいという思いもありました。

ミライの選択プログラムとオイスカ浜松国際高校授業コマ対応表
オイスカ浜松国際高等学校における、ミライの選択のプログラム構成例。学校の特徴に合わせプログラムを組み替えている。
  • SECTION06は今回のカリキュラムでは省略
「点」から「面」へ ── 質問の質が変わった生徒たち

授業を重ねる中で、生徒の変化として最も印象的だったのは「質問の質」が変わったことです。自分を深掘りするもの、他者と対話するもの、複数人で話し合うものなど多様なワークに取り組むなかで、他者に伝える力がついてきたんですね。以前は「ここがわからない」という漠然とした聞き方しかできなかった生徒たちが、「ここの、この部分がこうわからない」と具体的に問えるようになりました。将来のことを話す場面でも、「英語を頑張ろう」で終わっていた話が「英検を何級取ればいいですか?」という明確な目標の話になっていく。一つひとつの物事を「点」でしか見られなかった生徒たちが、多角的・多面的に「面」で見られるようになっているという感覚があります。

印象的なエピソードとして、初回の授業の後に一人の男子生徒が居残って、「俺、将来心理系の進路を考えているんだけど、どこかいいところとか、見ておいた方がいいことってありますか?」と個人的に質問してきました。私からは「心理で何をやりたいか明確にすることが大事だよ」と助言したのですが、こちらから聞いたのではなく、自分から考えて動いてくれた。そうやって授業後に残って質問してくる生徒が何人も出てきています。主体的に学ぶ態度を引き出す動線として、このプログラムが機能してくれていると感じています。

2年生のうちにベースをつくる ── 学校全体への定着をめざして

今後は、2年生のうちに志望理由書の基礎部分を仕上げる流れを学校全体に定着させたいと考えています。静岡県内の他の私立高校でも「3年生担任の志望理由書指導の負担が大きすぎる」という悩みをよく聞きますが、2年生のうちにベースを作っておけば、担任の負担は確実に軽減できます。一部の生徒だけでなく、クラスやコースを問わずできるだけ多くの生徒がこのプログラムを受けておいてくれると、教員側はそのあとがずっと楽になります。生徒が自分で納得して選択し、将来を考えて卒業していく。その状態をつくることが、私たちの一番の目標です。

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