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JBS導入大学 活用事例集

活用事例No.4大分県立看護科学大学

J-Bridge Systemの導入は、知りたいことを引き出す活動報告書の設問や、高いレベルの面接実施を目指す契機に。

看護学部 専門看護学講座 教授 影山 隆之 様
事務局 教務学生グループ 副主幹 佐藤 英 様

  • 所属及び役職等はインタビュー当時(2023年度入試)のものです。
大分県立看護科学大学

導入のきっかけと推移

WEB出願導入とあわせてオンライン化

影山:本学はローカルな看護大学ですが、看護業界の中では先進的なことにチャレンジしています。例えば、地域医療で活躍できる人材育成を目指して、「予防的家庭訪問実習」という科目を設け、在宅の高齢者を1~4年の学生が混成チームで毎月訪問し、健康を維持できる対策を考えるという他に例のない取り組みを行っています。また、本学は判断基準まで身につけた診療看護師を大学院教育で育成しているなど、勉強する場としてはレベルの高い大学です。

J-Bridge Systemは2023年度入試から導入しました。2022年度入試からWEB出願システムを導入し、これに合わせたかったのですが、WEB出願システム導入が1年遅れたため、J-Bridge Systemも計画から1年遅れての導入になりました。J-Bridge Systemは、志望理由書(すべての選抜)と活動報告書(学校推薦型選抜のみ)の提出に利用しています。志望理由書は約20年前から課しており、面接の資料として活用してきました。活動報告書は数年前から課しており、この記載内容そのものを評価し、合否判定に活かしてきました。従来、紙で提出してもらってきたこれらの2つを、2023年度入試からJ-Bridge Systemで提出してもらうように変えたわけです。

佐藤:WEB出願システムとJ-Bridge Systemの導入でオンライン化を進めましたが、すべてオンラインで完結しているのではなく、J-Bridge Systemで入力した志望理由書と活動報告書はプリントアウトして書類として提出してもらっています。調査書や学校推薦書といった紙ベースでの提出書類と併せて面接で活用するので、ヒューマンエラーを防ぐためです。

学校推薦型では活動報告書を評価して合否判定の一部として用いていますが、その評価はJ-Bridge Systemを活用してオンライン上で行っています。活動報告書には重要な個人情報が含まれているので、他のシステムから遮断されたPCで評価することにしており、複数名の評価者に同時にそのPCが設置された部屋に集まってもらって、約90人の受験生を評価してもらっています。また、志望理由書については、面接で使用するのでコピーして面接者に配布し、面接者も事前に読み込んで質問事項をペンでそれに書き込んで準備しています。

本学は1学年80人と規模も小さい大学なので教職員も対面で集まりやすく、入試に関する業務を実際に集まって扱う習慣があるため、オンラインと紙書類の併用でも事務的に混乱する事態は避けられています。

実際の活用法

評価精度向上と入試事務効率化の実現

佐藤:まず事務的なことでは、活動報告書の評価採点の準備が楽になりました。具体的には紙でコピーして評価者に配るという作業が不要になり、PC上での評価に変わったことにより事務が効率化しました。高校の進路指導の先生から毎年、活動報告書の記入の仕方について質問が来るのですが、それがJ-Bridge Systemを導入してから減少しました。これについては、記入例を示しての説明がJ-Bridge Systemで丁寧に分かりやすくできるようになったからではないかと考えています。

影山:J-Bridge Systemの導入は、活動報告書や面接の評価の精度をもっと高めなければという、私たちの意識改革の契機になりました。J-Bridge Systemの導入前には、活動報告書での受験生の記述が曖昧だったり、書くべき項目とは別の欄に記入されていたりするケースも多く見られました。そういう場合は評価が大変だったのですが、J-Bridge System導入をきっかけにどの項目にどの内容を記述してもらうかを、大学としても再検討しました。そして、採点基準として作成したルーブリックに基づいて、確実に書けることを書いてもらえるような設問の示し方に変更し、「こういうことを書いてもらいたい」という例示と合わせて受験生に示しました。これにより、受験生の回答内容が改善されて、評価もスムーズに進められるようになりました。その結果、活動報告書での全体的な評価点が紙ベースの時よりもJ-Bridge Systemを使った2023年度の方がアップしました。設問を改善したことにより、受験生も曖昧な記述をしないようになったからだと思われます。また、設問そのものについては、ほとんどを事実の有無に関してのみ記述してもらうようにしており、熱っぽく書けば高評価、淡々と書けば低評価といった事態を回避するとともに、評価者によって評価にずれが生じないような設定にしています。さらに近年で言えば、コロナ禍の影響で部活動などが制限されてきましたが、そうしたことが不利にならないような配慮も加えました。

今後の課題

入学後の修学状況の分析につなげる

影山:本学は看護学部の単科大学なので、看護師に向いている人に入学してもらいたいと願っています。看護師にはコミュニケーション能力も重要で、それは面接で見ています。また看護を目指すには、国家試験に向けて4年間コツコツ勉強できる素地が重要であり、最後に一発逆転ホームランという人よりも、ある程度勤勉な人が向いていると言えます。そうした観点から高校3年間をどのように過ごしたかを活動報告書を通して評価しています。

ただ面接の在り方には、課題があると考えています。それは面接時の質問内容についてです。多数の面接担当者全員に評価基準を共有して実施していますが、これに加えて志望理由書や活動報告書の内容をフィードバックし、「こういう部分に着目して、こういう問いを発すると効果的」というレベルの面接を目指していきたいです。

また、今後は入学後の修学状況の追跡にも注力したいと考えています。中途退学や留年と、志望理由書や活動報告書での記述には関連があるのか、あるとすればどのように関連しているのか。J-Bridge Systemで獲得したデータをIRデータの1つとして分析し、その結果を活用することで、より精度の高い面接や評価を目指していきたいです。

関連リンク

地域医療で活躍できる人材や、診療看護師の育成など、看護業界の中でも先進的な取り組みを行う上で、看護師に向いている人に入学してもらうため、J-Bridge Systemを導入、活用しています。

河合塾によるJ-Bridge System(JBS)のご案内。Webを通じて、受験生の多様な資質や主体性を示す情報をデータとして獲得し、有効かつ効率的な評価の実現を支援するシステムに関する情報をお届けします。

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