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活用事例No.12仁愛大学

J-Bridge Systemを多面的評価に活用
地域人材を丁寧に育成

仁愛大学
 入学・広報センター長
 西出 和彦 教授

仁愛大学
 入学・広報センター
  源谷 晋平 様

  • 所属及び役職等はインタビュー当時(2026年度入試)のものです。
仁愛大学

地域人材を丁寧に育成

小規模大学だからこそ可能な 一人ひとりに向き合う丁寧な教育

地域で活躍できる人材を育成

学生と教職員の距離が近く、一人ひとりの能力を伸ばす

 本学は福井県に立地する地方小規模大学で、地元福井県をはじめとする北陸3県から多くの入学者を迎えています。育成したい人材は国際的に活躍する人材というよりも、地元の企業や自治体等で活躍できる、地域の中枢を担ってくれるような人材です。

 本学の教育は、小規模である分、学生と教職員との距離が非常に近く、学生一人ひとりと向き合った丁寧な教育を実践しているという特長があります。

計算ミスが生じる機会を無くして職員のストレス負荷軽減がJBSの導入目的

JBS導入によるDXの推進 省力化できたリソースを他の重要業務に活用

書類や面接評価の採点を集計する際の計算ミスが発生

ダブルチェック、トリプルチェックで防ぐが、計算ミスが生じる機会を無くしたかった

 J-Bridge Systemを導入した理由は極めて明確で、評価における採点の計算ミスを防止するためです。本学では、年内入試での提出書類や面接は、5項目を5点満点、合計25点満点で評価しています。5項目の得点を単純に足し算するのですが、入試の評価ということによる緊張と疲労もあり、ヒューマンエラーが起きる可能性が否定できません。この可能性を限りなくゼロに近づけたいと考えました。

 導入に至る経緯は次の通りです。多面的・総合的評価を開始した2018年の当初は、志望理由書は紙で、活動報告書はWeb出願システムに入力して提出してもらっていました。活動報告は過去の事実の記述であるためデータ入力で構わないが、自身の意志を示す志望理由書は手書きで思いを込めて提出してもらいたいというこだわりからでした。その後、Web出願システムの機能を使って、両提出書類ともデータ入力をして提出してもらう形式に変えました。しかし、提出書類の採点、その転記、集計については依然として手作業で行う必要があり、その結果、ミスが散見されるようになりました。そこで、ダブルチェック、トリプルチェックを実施するようにし、計算ミスが合否判定の最終チェックまで残ることはなくなりました。一方、集計やチェック作業を担当する職員にかかる重圧と作業量そのものは、大きくなってしまいました。

 そのため、書類提出だけでなく、評価、集計採点作業も含めてDXを図り、計算ミスの可能性を無くし、省力化できた分を他の重要な業務に活用できるようにしたいと考えました。

J-Bridge Systemを多面的評価に活用

「高校で何を学んだか」よりも、「大学で何をどう学びたいか」を重視

意欲や学びに向かう姿勢が、大学での充実した学びに影響

 J-Bridge Systemは当然、志願者の多面的評価にも活用しています。

 本学がAO入試を導入したのは2018年で、この時期は、学力の三要素を総合的に育成し、それを評価しなければならないと言われ始めたころと重なっています。本学では一般選抜も含めた全ての入試区分で、「主体性・多様性・協働性」を評価しようと考え、当時は活動報告書は課さず、調査書の特別活動の記述でこれを評価していました。

 そのような多面的な評価を通じて、どんな学生の入学を期待しているのか。私見も含みますが、大学で学ぶ上で何よりも大切なのは、「これまで何を学んできたのか」ということよりも、「何のために、何を学びたいのか」という意欲や学びへの姿勢だと思います。高校までの成績が良くても、何のために大学に入学したのかが曖昧で意欲に乏しい学生は、入学してから急に失速したり、目的を見失って授業態度に問題が発生したりする傾向が見受けられます。

 しかし、いわゆる学力偏差値が高くなくても、就きたい職業や将来の目的が明確にある学生の場合は、授業への意欲や充実度合いが明確に違います。まさにこの意欲や学びに向かう姿勢について、選抜を通じて評価したいと考えています。「これまで何を学んできたのか」はペーパー試験で評価できますが、意欲や学びに向かう姿勢の評価には他の方法が必要になります。志望理由書、活動報告書、面接を課すことで、数値になりにくいこうした資質を評価しているわけです。

厳密な評価と受験生負荷の軽減による学生募集とのバランス

当初は一般入試でも志望理由書・活動報告書の提出を必須化

高校側から意見を受け、受験生確保と多面的評価の両立を目指して修正

 ただ、多面的評価には難しい面もあり、試行錯誤もしています。例えば、文部科学省はいずれの入試区分においても、学力の3要素すべてを評価すべきだと言っていました。本学はそれを受けて、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜のすべてで志望理由書と活動報告書の提出を課し、評価してきました。しかし、一般選抜で志望理由書と活動報告書の提出を求めることについては、高校の先生方には大変不評で、2026年度入試からは一般選抜では課さないことにしました。以前の一般入試では調査書で部活等の項目を抽出して評価していたので、そこに戻す形です。

 また、年内入試で課している志望理由書と活動報告書の採点用ルーブリックは、本学のウェブサイトに公開しているので、志願者は何を書くことが求められているかを知ることができます。配点50点ということも明らかにしています。

 志望理由書に書く内容は、当初3項目を設定していました。(1)志望学科を選んだ理由、(2)4年間で何をどのように学びたいか、(3)卒業後の目標の3項目で、各項目400文字程度で記入することを求めていました。

 活動報告書についても当初は3項目でした。(1)探究活動で身についたと思うことを具体的に記入、(2)部活、ボランティア、学校行事、地域活動等で印象に残ったことの記入、(3)高校3年間での様々な体験を通じて身についたことや、資格・検定の取得等を通じて自ら成長したと実感できることの3項目で、各項目400文字程度で記入することを求めていました。志望理由書と活動報告書を合計すると2,400文字です。

 しかし、受験生への負担が大きいという高校の先生方からの指摘を多数受け、項目を見直し、文字数を削減することにしました。現在、志望理由書は「志望学科を選んだ理由と入学後にどのように学びたいか」について400文字で記入、活動報告書についても「高校3年間で主体的に取り組んだ活動について述べ、その活動を通して身についた、または成長したと実感できること」について400文字で記入してもらい、従来の3分の1に減らしました。もちろん検討に検討を重ねてこの形に至っているので、これにより評価をしづらくなった等の弊害は生じていません。

 志望理由や活動報告を書かせることについては、高校の先生から、「こうやって文章を書かせて評価してもらうのは、生徒にとってもありがたい」という肯定的な声も寄せられています。本学としては、多面的な評価を受験生への適度な負担で実施し、多くの受験生にチャレンジしてもらうというバランスを取ることが必要で、これが現在の形への変更につながっています。

J-Bridge Systemを使ってみての感想

一番の感想は安心感

最大の成果は集計ミスが起こらないという安心感

入試本部から面接の進行状況が把握でき即応も可能

 J-Bridge Systemを導入し、使ってみての一番の感想は安心感です。採点の集計ミスの可能性を排除できたというのは、最も良かった点です。

 また、使ってみて初めてわかったことですが、入試事務局を兼ねている私たちにとって、面接の進行状況を入試本部で、リアルタイムで把握できる点が大きなメリットでした。これまでは、本部に詰めていながら、各会場での面接の進捗を把握することはできませんでした。面接が終わって評価者が本部に帰って来るまで状況を把握できなかったということです。しかし、J-Bridge Systemを利用すれば、面接中あるいは面接直後に評価者が入力した評価結果をリアルタイムでモニターできるので、本部で各会場の採点がどこまで進んでいるか、入力漏れがないか等を即時確認することができます。これにより、問題が起きても速やかに対処できるので(実際には問題が起こったことはありませんが)、安心して本部に詰めていられます。

 なお、本学では、提出書類の評価を実施する部屋を限定し、かつ指定の専用パソコンから評価をしてもらっています。理由は、確かに自分のパソコンを使って任意の場所で評価できるよう設定することはできますが、本学では、外部に対して厳格に入試を実施していることを示せること、説明可能性の担保を重視しているからです。

J-Bridge System活用の今後の展開

入試そのものの改善に活かせる可能性

J-Bridge Systemの試験時のデータは入学後の面談に活かせる

長期スパンで受験生の傾向の変化が分析できる

 J-Bridge Systemでは、利用完了後、受験生が提出した志望理由書をアーカイブとしてダウンロードしていますが、現時点では、せっかくのこうしたデータを活用できていません。例えば、志望理由書では「入学後はこんなふうに学びたい」ということを書いてもらっており、これを1年次の学生面談で活用することが考えられます。紙と違ってデータである分、共有もしやすいので、こうした活用をできていないのはもったいないと思っています。

 また、現状、J-Bridge Systemを入試の手段として使っているだけですが、提出書類や評価結果のデータを、受験生の分析などIRとして活用できるのではないかと感じています。5年、10年のスパンで見ていくと受験生の変化もわかるでしょうし、面接での問い方そのものに関しても時代に合っているかどうか等、分析への活用の可能性を感じています。

 とはいうものの現在は限られた職員数で運営しており、そこまで手がまわらず、せっかくのデータも宝の持ち腐れになりかねません。大学として、これらをどう活用していくかという方針にもよりますが、入試改善そのものに活かせる可能性は非常にあると思います。

入試の今後の展望

高校での探究活動の深まりに大学の入試や教育も対応していく必要がある

 高校で探究活動が本格化して、生徒に考えさせる授業が増えています。大学の入試も授業も、高校教育の進化に応えられるものにしていかなければならないという問題意識を強く持っています。

 一方、探究活動のレポート等のレベルは非常に高いけれども、自分が主体的に考えたり参加したりしていなくてもグループの力でレベルが高くなっているというケースもあります。これを面接で見分けられる技量も今後は必要になるでしょう。そのためには質問の内容も改善を重ねていく必要があります。

 いずれにせよ、高校の改革、高校生の学びの進化に大学の側が入試や教育内容で対応してく必要があると考えています。

関連リンク

J-Bridge Systemを多面的評価に活用し、少規模であるからこそ学生一人ひとりと向き合った丁寧な教育で、地域人材を丁寧に育成しています。

河合塾によるJ-Bridge System(JBS)のご案内。Webを通じて、受験生の多様な資質や主体性を示す情報をデータとして獲得し、有効かつ効率的な評価の実現を支援するシステムに関する情報をお届けします。

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