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JBS導入大学 活用事例集

活用事例No.8関西福祉大学

J-Bridge Systemの導入が評価基準の精緻化等の入試改革議論を加速化

関西福祉大学 入試広報課 係長 山戸 彬睦 様

  • 所属及び役職等はインタビュー当時(2022年度入試)のものです。
関西福祉大学

導入のきっかけ

評価基準の明確化と入試業務の効率化

本学は1997年に兵庫県赤穂市との公私協力方式により、関西地方で初めての社会福祉学部単科大学として設立されました。その後、教育学部や看護学部を併設して、現在、3学部4学科の構成となっています。本学で資格を取得して自己肯定感を高め、社会で活躍したいと考えているまじめな学生が多いのが特徴です。

社会福祉学部、教育学部、看護学部とも資格と仕事が直結しているため、本学では将来就く仕事の内容を理解し、かつ大学での学びを理解している入学者を選抜することを重視しています。このため、入学案内では半分以上のページを割いて職業の紹介に充てたり、オープンキャンパスや進学相談会でも卒業生に職業の内容を説明してもらったりするようにし、ミスマッチを防ぐことに力を入れています。

そのような学生選抜をおこなうために、本学では2年前から年内入試の改革に取り組んでいます。背景には総合型選抜の志願者数が増えてきていることがあり、面接を担当する教員も増えているため、統一した評価基準の必要性が増してきたことがあります。改革1年目の2021年度入試では紙ベースで入試を実施しましたが、その反省を議論する過程で、もっと評価を効率的におこないたいという意見とともに、もっと深く志願者を評価したいという意見も出てきました。その中で、多面的総合的評価における質問項目の精査や評価基準の見直しを進めましたが、J-Bridge Systemの導入は煩雑化した紙ベースでの試験を効率化できただけでなく、その議論を加速させるきっかけにもなりました。

具体的な活用法

多様な優れた志願者を多様な選抜で獲得する

本学の総合型選抜と学校推薦型選抜の中には「学びマッチング特別選抜」「スポーツ/吹奏楽特待生選抜」「社会福祉特別選抜」「保育者養成特別選抜」「特色選抜」「学校推薦型選抜『一般制』」「学校推薦型選抜」「公募制選抜」等の選抜方法を設けていますが、多様な志願者に合わせた多様な選抜方法を用意したいとの考えからです。

2022年度入試からは、一般選抜以外の総合型選抜と学校推薦型選抜のすべてにおいて、J-Bridge Systemを利用するようになりました。1学年の定員が全学350名程で、総合型選抜と学校推薦型選抜の募集定員が合計で300名弱。志願者ベースではJ-Bridge System利用者は400名強になっています。学部・学科ごとにテーマが出される「レポート」や「小論文」、高校での活動を振り返る「自己推薦書」、「志望理由書」、将来の目標と学びたいことを書く「就学上の希望」を学部・学科や選抜方法に応じて組み合わせつつJ-Bridge Systemで提出してもらっています。学部・学科によっては「就学上の希望」の代わりに合格後に「学習計画書」をJ-Bridge Systemで提出してもらうところもあります。 また面接については、2022年度はオンラインで実施しましたが、これの評価もJ-Bridge Systemを利用し入力しました。 J-Bridge System導入とともに評価基準についての議論を深め、ルーブリックを作成して精緻化しました。

また運用面では、セキュリティ対策やPCが不得手な教員のインストール等での混乱を回避するために、J-Bridge System専用のノートPCを約50台購入しました。以前は評価を担当する教員には1教室に集まって作業を進めてもらっていましたが、このような準備と対策によって場所の制限は設けず、自宅での評価も可能になりました。 さらに就学上の希望、学習計画書には本学の教育への期待が表現されていることが多いのですが、学部・学科でこの期待に応えようという動きが始まっています。具体的には、そこに書かれた「入学後から学校や保育現場を体験したい」という声を受け止めて、教育学部では入学直後からの実体験学修を増やす動きがあります。入試改革により学部での学びが少し動いたと感じています。

利用後の感想

評価基準の精緻化と入試事務の効率化を実現

事務的には、一年目で不慣れなこともありましたが、概ねスムーズに進みました。紙の文書をコピーして配布したり、回収したりという作業がなくなり、チェックも容易かつ厳格に行えるようになりました。 評価についてはバラツキが生じないようにするためにルーブリックを精緻化しましたが、それだけでなく申請書類の評価や面接実施の前に、学部長などの責任者が全ての評価者に対して、アドミッション・ポリシー、学部が入学してほしい学生像、そのための評価基準の観点等を再確認するようにしました。これらの対策によって評価のバラツキは起こりませんでした。評価の情報をすぐに共有できる点も寄与していると思います。

また高校の先生の反応については、本学の意図をくみ取って共感していただける先生、J-Bridge Systemになってレポートや小論文などの添削指導がやりやすくなったと好感していただける先生が多くいらっしゃったのですが、中には、多様な選抜方式を設けたことで、「一斉の進路指導がやりにくくなる」と否定的な先生もいらっしゃいました。しかし、否定的な意見の先生も含めて、本学の狙いをより深く説明する機会に転化することができ、結果的にコミュニケーションが深まりました。

今後の課題

J-Bridge System導入成果を2025年度入試に

昨年は1年目だったので、受験生からJ-Bridge Systemについての問い合わせがあっても対応できないケースもありました。その反省を踏まえて、今年度は募集要項にJ-Bridge Systemの画面遷移を載せて使い方を説明するなど分かりやすくしています。 また、現在はJ-Bridge Systemの資料添付機能は利用していませんが、今後、高校で探究学習が進むため、その成果としてのプレゼンテーション資料や写真、動画等を添付するということも検討していきたいと考えています。

さらに、今後は入学前教育に使えないかと思っています。ただし、システムに引っ張られ過ぎるとその枠の中でしか発想できなくなるので、そうならないように留意しつつですが、それも検討課題です。 加えて、本学の教員の中には志願者の文章をテキストマイニングして、傾向を分析しようとしている教員もいるので、そういう分析結果も今後活用できればと考えています。 総じて言えば、J-Bridge System導入後の経験を振り返り検証しつつ、今後来るべき入試改革に備えていきたいと考えています。

関連リンク

志願者の多様性に合わせた多様な選抜に、J-Bridge Systemを導入することで、精緻な評価を実現するだけでなく、J-Bridge Systemを通じて得られた入学者の希望に応え、1年次の学部教育の改革にもつなげています。

河合塾によるJ-Bridge System(JBS)のご案内。Webを通じて、受験生の多様な資質や主体性を示す情報をデータとして獲得し、有効かつ効率的な評価の実現を支援するシステムに関する情報をお届けします。

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