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新課程入試のポイント

2022年4月高校1年生から新学習指導要領がスタートしました。
新課程に対応した2025年度入試では、大学入学共通テストの教科・科目の再編など、大掛かりな変更があります。
2025年度からの新課程入試のポイントを確認しましょう。

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学習指導要領はなぜ新しくなる?

予測困難な社会で「生きる力」を身につけてほしいから

日本の学習指導要領は、その時代の変化を見据えて概ね10年ごとに改訂されています。

今の日本社会は、グローバル化の進展や技術革新、生産年齢人口の急減など目まぐるしく変化しており、先を見通すことが難しい時代になっています。

三つの力をバランスよく身につけるために

“予測困難な社会で必要となる、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動できる「生きる力」を身につけてほしい ――”

こうした思いを反映し、新学習指導要領では「知識・技能」だけでなく、「思考力、判断力、表現力」なども含めた「資質・能力の三つの柱」をバランスよく育むことをめざしています。

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資質・能力の三つの柱
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いつから?実施に向けたスケジュール

2022年4月高1生から年次進行で変わっています

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中学校では、2021年度から新学習指導要領が全学年で実施されています。
高等学校では、2022年度の高1生から年次進行で実施されています。

実施に向けたスケジュール

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教科・科目の再編

新設教科のほか、多くの教科で科目見直し

新学習指導要領では、「理数」「総合的な探究の時間」が新設されたほか、多くの教科で科目の見直しが行われました。

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変更のある主な教科・科目

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変更のポイント
国語
「現代の国語」「言語文化」が必履修科目。「言語文化」は日本の言語文化への理解を深める科目
地理歴史
「地理総合」と、近現代の歴史を学ぶ「歴史総合」を新設(いずれも必履修科目)
公民
必履修科目「公共」を新設。社会に主体的に参画する力を養う
数学
数学Ⅲ、数学B、数学活用の内容の一部を移行して「数学C」を新設
外国語
学ぶ単語数は最大700語増。「英語コミュニケーション」で4技能を総合的に、「論理・表現」で書く・話すを重点的に扱う
情報
科目を再編。必履修科目「情報Ⅰ」ではプログラミングの基礎を扱う

2025年度入試はどう変わる?

共通テストの出題教科・科目は、7教科21科目へ再編

2025年1月に実施される共通テストでは、新教科「情報」を加えた7教科21科目へとスリム化・再編されます。
「地理歴史」「公民」では出題科目が大きく再編されるほか、数学②では「数学Ⅱ,数学B,数学C」の1科目となるほか、試験時間が延長されます。国語では試験時間延長のほか、問題構成・配点が変更されます。

2022年11月には大学入試センターから「試作問題」が公表されました。
どのような問題が想定されているのか確認しておくとよいでしょう。

大学入試センター 令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等

河合塾 <新課程>共通テスト 試作問題分析

2025年度共通テスト 出題教科・科目
2025年度共通テスト 出題教科・科目
2025年度共通テスト 出題教科・科目

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「地理歴史」「公民」
2科目選択時には、選択不可の組み合わせも

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共通テスト「地理歴史」「公民」は新学習指導要領の大幅改定にともない、出題科目が大きく変更されます。
出題科目6科目のうち、最大2科目の選択が可能ですが、『地理総合/歴史総合/公共』を選択する場合は、もう1科目が組合わせ不可となるパターンがあるので注意が必要です(下表参照)。

2科目選択時の組合せパターン

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既卒生向けの経過措置は?

現行の教育課程を履修した志願者(2023年度の高校3年生以上)に対しては、現行の共通テスト出題教科・科目が経過措置科目として出題されます。
新教育課程の「情報I」に関しては、「旧情報」として別科目が設置され、旧課程「社会と情報」「情報の科学」の共通部分に対応した必答問題と、「社会と情報」「情報の科学」それぞれに対応した選択問題が出題されます。

2025年度共通テスト 現行課程履修者への経過措置
現行課程履修者への経過措置

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なお、現行課程履修者は、新課程科目と経過措置科目どちらも選択することが可能で、新旧両課程の教科を混ぜて受験することも可能です。ただし、地理歴史、公民で2科目受験する場合、例えば「歴史総合,世界史探究」と「旧日本史B」のように新旧を組み合わせて選択することはできません。

各大学の入試科目の傾向

国立大は原則6教科8科目が必要

各大学の2025年度入試の教科・科目が明らかになってきました。国立大では共通テストで6教科8科目を必須とする大学が一般的です。対して公立大では3~4教科の少数教科で受験可能なところもあります。また、ひとくちに6教科8科目といっても文系学部と理系学部とでは異なります。

文系学部は、外国語、数学2科目、国語、新教科「情報」に加えて、基礎が付いた理科と、地歴公民から2科目で合計8科目です。一方、理系学部は、外国語から情報までは文系学部と同じで、理科2科目と地歴公民から1科目です。理科は基礎が付かない4科目から選択するよう求める大学が多くなっています。教育学部や文理融合型の学部などでは、この文系パターン、理系パターンのどちらでも受験できるようになっているケースもみられます。

地歴公民の「地理総合/歴史総合/公共」は、北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大など難関大では選択科目として認めていません。難関大をめざすなら、地歴公民は残りの5科目から準備することになります。

共通テストで必要な教科・科目の目安

文系学部

文系学部科目

文系学部は、理科1科目*、地歴公民2科目の計8科目
*基礎が付いた理科2科目を1科目とカウント

理系学部

理系学部科目

理系学部は、理科2科目*、地歴公民1科目の計8科目
*基礎が付いた理科は認めないケースが多い

国公立大学の個別試験(2次試験)においては、従来通り、文系学部は英語を中心に国語・数学・地歴公民などから1~3教科、理系学部は英語・数学・理科の3教科を課す大学が主流です。
数学の出題範囲は、文系学部が数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列)・C(ベクトル)と共通テストで課される数学2科目の範囲とほぼ同じ大学が多く、理工系や医歯薬学系では、文系の出題範囲に加え数学Ⅲと数学Cの「平面上の曲線と複素数平面」までが出題範囲となる傾向があります。

2次試験で必要な教科・科目の目安

文系学部

文系学部科目

文系学部の数学の範囲は「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列)・C(ベクトル)」

理系学部

理系学部科目

理系学部の数学の範囲は「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列)・C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)」

私立大は一般方式、共通テスト利用方式とも2~3教科が主流

私立大の一般選抜には、大学独自の試験を課す「一般方式」と、共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」があります。

一般方式では多くの大学が2~3教科を課します。課される教科・科目は文系学部、理系学部によって異なりますが、国公立大の試験の教科・科目を参考に準備すればよいでしょう。また、私立大は複数の入試方式を設定している大学が多くみられるのも特徴です。中には教科数を絞った方式などを設置する大学もありますが、募集人員は各方式均等ではなく、主流の3教科型入試の募集人員が多くなっているケースが多くみられます。安易に受験科目を絞るのではなく、バランスよく学力をつけるような学習を心がけましょう。

共通テスト利用方式も受験に必要な教科・科目数は多くの大学が2~3教科としています。共通テストの教科「情報」は国公立とは異なり、必須で課すケースはほとんどみられず、他教科との選択として利用するケースが大多数を占めます。また方式により「情報」を利用しないケースもみられます。現時点で、私立大では共通テストで「情報」を受験していなくても、ほとんどの大学では受験可能となりそうです。

一般方式で必要な教科・科目の目安

文系学部

文系学部科目

文系学部の数学の範囲は「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列)・C(ベクトル)」

理系学部

理系学部科目

理系学部の数学の範囲は「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列)・C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)」

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