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国公立大二次試験対策

教科別の学習対策について、河合塾講師がアドバイスします。

※河合塾グループ(株)KEIアドバンス発行『栄冠めざしてSPECIAL Vol.2』(2023年10月発行)より

英語

1長文読解問題の重視

国公立大学二次試験の英語問題における読解力重視の傾向は変わっていない。600~800語の英文が2題出題されることが多く、大きな配点を占めていると考えられる。今後もこの状況が大きく変化することはないだろう。よって、受験生が持てる力の大半を注がねばならないのが長文読解問題対策である。具体的には、実際に出題された問題を自分の力で解いてみる必要がある。そのためには、まず、英語を読むうえでの基礎となる語彙(ごい)、文法、構文などの知識を備えなければならない。

設問形式としては、下線部和訳と内容説明問題が大半を占めるが、要約問題を出題する大学もあるので、志望する大学の出題傾向を事前に調べ、類似した問題を解くなどの対策を講じることが必要である。

2長文総合問題

対策としては、下線部和訳、空欄補充問題などを含む長文総合問題を一週間に3題解くことを目標にしてもらいたい。その際、とにかく自力で解答を作成してみることが大切である。解答後に模範解答と自分の解答を照らし合わせて、誤答がある場合はその原因を突き止めて、それを今後の学習に生かしていくこと。志望大学が決まったら、まず過去問を3年分くらいは解いてみることが必要である。

3英作文

この分野では、従来の下線部英訳問題から自由英作文まで、出題は多岐にわたる。後者では1)与えられたテーマに関して意見や感想を自由に書くもの、2)与えられたテーマに関して指示どおりに書くもの、3)英文または日本文を読み、その内容に関して意見を自由に書くものと様々である。このように、大学により出題形式は大きく異なるので、志望する大学の出題傾向をあらかじめ把握しておくこと。自由英作文の基本については、良質な参考書や問題集が出版されているので、1冊購入し、様々なタイプの問題について答案作成の練習を積むことが望ましい。その際、必ず答案は先生に添削してもらうこと。

4リスニング

リスニングを課す大学を受験するなら、やはりそれなりの訓練が必要になる。まず、英語の音に慣れることが先決である。具体的な手順として、

  • (1)教材を用意する。ネイティブスピーカーの自然な口調の音声が入っているCD、およびそのスクリプトも付属しているものを選ぶとよいだろう。
  • (2)次に、問題を実際に聞いて解いた後もスクリプトを見ながらCDを何度も聞いて、英語の音に慣れること。
  • (3)最後に、CDの音声を流しながらスクリプトを見て、できるだけCDの英語に似せて、自分でも声を出してみること

以上の訓練法を続けると、英語の音に耳を同調させることができるようになるし、独特な英語の音とリズムを体で感じるようになる。

数学

1不安な分野の攻略

まだ基本が十分に身についていないと思われる分野がある場合には、その分野については、まず教科書の例題をすべて解いてみることをお薦めする。そして次に、基礎の入試問題集を解くこと。基本がまだ身についていない分野は、いきなり標準的な入試問題を解いてみても解けないだろうし、解答を読んで勉強してもなかなか力は伸びない。自分の力に合った問題の演習を重ねてこそ力が伸びていくものである。一歩ずつ力を伸ばしていくことこそが大切である。

2計算力の強化

入試では計算力もかなり必要であり、計算力を侮ることはできない。計算力には、2つの側面があり、ひとつは、面倒な計算でもやり抜く忍耐力そしてもうひとつは手間を省くための工夫である。この両者を身につけるためには、日頃から計算を面倒がらず、工夫を心がけながら手を動かすことが何より大切である。

3手を動かす

グラフを描いたり、図を描いたりすることを面倒がっていてはいけない。問題を考えるときにはぜひ鉛筆と紙を用意して、問題文に出てくる関数のグラフや図を描き、また、思いつくことを何でも書いてみるという姿勢がとても大切である。自分で書いたグラフや図や式を見て考えが進むということもよくあることである。作業を面倒がっているようでは数学の力は伸びない。

4暗記ばかりに頼らない

入試では、定型的な内容についての対処法を覚えることももちろん大切だが、それだけではなく、自分の力で考える練習を積み、考える力を身につけていかない限り合格は難しい。数学だけを勉強しているわけではないので、数学ばかりに時間を多くかけるわけにはいかないだろうが、自力で考える、ということが数学では最も大切であることを認識しておく必要がある。

現代文

1読解上の注意点

二次試験で出題される記述問題の場合、対応する箇所を文中に探し、その箇所を踏まえて解答を作成していくものであるが、その対応箇所は、傍線部前後にある場合、傍線部から離れている場合、文全体に分散している場合など、様々な場合が考えられる。傍線部前後にある場合は踏まえやすいが、離れている場合や文中に分散している場合に対応箇所が十分に踏まえられるかどうかは、ひとえに文全体の仕組みが正確に捉えられているかどうかにかかっている。文章全体の仕組みが捉えられていれば、どこを踏まえて解答を作成すればよいか、おのずとわかってくるはずである。そこで、過去問や問題集などを通して、文章全体の仕組みを正確に捉える訓練をしてほしい。

2表現上の注意点

記述問題では、文中の表現をそのまま使って正確でわかりやすい解答が作成できる場合と、自分なりの表現を工夫しなければそのような解答が作成できない場合とがある。特に小説や随筆の問題においては自分なりの表現で解答を作成しなければならない場合が多く、特別な訓練が必要になってくる。やはり過去問や問題集などを通して、表現力を養う訓練を積み重ねてほしい。

古文

1古語と語法が主柱だ!

入試問題の古文は、本文が解釈できれば、よほどの難問・奇問でない限り、どの設問もおおよそ解答できるはずである。その解釈のためには、古語と語法の力が必要であることは明白である。

ただ、だからといって、やみくもに古語を覚え、文法のドリルをやってばかりいては、実践的な力はつかない。

2文脈のなかで押さえつつ解釈しよう!

過去問や予想問題集などを使って、一度設問を解いた後でもよいので、本文を全文解釈することをおすすめする。その解釈作業のなかで、つまずく部分の単語や語法を押さえ、かつ主体や客体を確認し、本文全体の流れを押さえる練習を積みたい。そうした積み重ねのなかで、読解力の増強がかなうのである。

3解答は必ず自分で書いてみること!

過去問や予想問題を解く際に、頭のなかだけで考えて、実際に自分の答案を書かず、正解例と頭のなかの解答とを見比べるだけの人がいるが、それでは、二次試験対策としては何にもならない。必ず自分で解答を書いてみて、どこのポイントが足りなくて、何が表現的にまずいのかを検討することが重要である。

自分で確認・検討できなければ、必ず先生などからアドバイスや添削を受けるようにしたい。

漢文

1本文はまず全体を把握すること

二次試験の漢文の本文は易化する傾向にあるとはいえ、受験生が一度読んだだけで完璧に理解できてしまうほど平易なものではない。したがって、本文を読解する場合には功を焦らないことが大切である。まず、全文を一通り読んで趣旨や大意を把握する。次に、趣旨や大意を念頭に置きながら細部の内容を訓読に即して読み取っていく。このように全体の内容を捉えてから部分の内容を決定することを心がけて読解すれば、極端な誤読を避けられるはずである。

2重要語・基本句形を習得すること

語句の意味、読み、書き下し文、現代語訳などの問題では、相変わらず重要語や基本句形が多く問われている。読解練習をする際に出合ったものはぜひ覚えてしまいたいものである。読解した文章は必ず繰り返し朗読すること。知識が確実に定着するとともに、訓読力も向上するはずである。

3解答は実際に書いてみること

現代語訳の問題にせよ、説明問題にせよ、頭ではわかったつもりでも、いざ書いてみると、うまく表現できなかったり要領よくまとめることができなかったりするものである。解答は必ず実際に書いてみることが大切である。

物理

1物理法則を理解しよう!

物理の学習において大切なことは、基本事項や物理法則を“理解”することである。

まずは教科書や参考書を読み、様々な現象の裏で成り立っている法則にどのようなものがあるか、またそれらがどういう性質のものなのかを知ろう。そのうえで、それらの法則が成り立っている現象をイメージしてもらいたい。実験や観察をしたことがある場合はそのときの様子を思い出してほしい。力学に関する法則などは、普段の生活で目にしていることも多いので、そのときの映像を頭のなかで再生してみるのも良い。それらのイメージと言語化された法則を重ね合わせて、頭にたたき込むのである。もちろん、実験が困難であったり、体験することが難しい法則もある。その場合は、教科書などにある写真・イラストや、インターネット上の実験動画を見てみると良いだろう。

次に、法則を数式化した、いわゆる公式をしっかりと覚えよう。このとき、公式を単なる文字列として無機質に記憶するのは間違いである。公式に現れる文字は、すべて物理的な意味を持っている。その意味を正確に捉えてイメージ化しなければならない。また、公式にはそれが成り立つための前提条件がある。それも合わせて覚えなければ、当然公式の使いどころを間違うことになる。

最後に、法則に関する簡単な問題を解いてみよう。法則を理解していたつもりでも、実際に応用させてみると、理解が足りていなかったり、間違って理解していたりすることに気がつくものである。そのようなときは再び教科書に戻って一からやり直してみる。この繰り返しこそが最短の道であることを信じて頑張ってほしい。

2問題演習を一つひとつ丁寧に行おう!

典型問題や頻出問題を徹底的に解こう。演習は、ただ数をこなせばよいというものではない。解答を読んで問題の解法を覚えてしまおう、などという態度は言語道断である。それぞれの問題で与えられた物体系をきちんとイメージし、どのような法則が成立しているのかを、で培った力をもって自分で見破る訓練をしよう。別解がありそうな場合には、それも考えるようにしよう。ひとつの問題を多角的に捉えられることは、非常に大事な能力である。

当然、わからないことや間違いも出てくるであろう。そのときは解答をよく読んで、自分の至らなかった点がどこなのかをじっくり考えてほしい。正しい解答にばかり目がいってしまっては、演習の効果も半減する。自分が考えたことと正解の間の溝を埋める作業をしなければ、いつまでたっても試験で点は取れない。

また、計算ミスを過小評価しないでほしい。言うまでもなく、穴埋め形式の問題で計算ミスをすれば、途中の考え方がいくら合っていても0点である。計算ミスは個人によって癖があり、繰り返し同じミスをしがちなものである。間違ってしまった部分のデータを取り、細かく分析することをお勧めする。

3苦手意識をなくそう

緊張が増す本番において、問題を見た瞬間に「これは苦手だ」と思ってしまったら、普段なら解けるはずの問題でも解けなくなってしまう。これでは試験を始める前から負けているようなものであり、それまでの苦労が水の泡になってしまう。物理は力学、熱、波動、電磁気、原子の分野からなるが、どの分野でも基本的・典型的な問題は解けるようになっておきたい。

力学分野は、物理のほかの分野にも関連してくる重要な分野であり、どの大学でも必ず出題される。したがって、自信がつくまで勉強し、確実に得点したい。

熱分野は、イメージ化が難しいからであろうか、練習不足になりやすい分野である。しかし実をいうと、慣れてしまえば意外に得点源になる分野である。ほかの人と差をつけやすいということであるから、それを励みに勉強してほしい。

波動分野は普段の生活に密着した内容を扱っており、現象のイメージはしやすい。しかし、これを数式化したときに難しく感じる受験生が多いようだ。物理では数学的処理も実力のうちであるということにも注意したい。

電磁気分野は、力学と同様にほぼ全大学で出題される。範囲も広く、また現象がイメージしにくい分野であるが、で書いた方法でしっかり学んでおけば、得点できるようになるはずだ。

原子分野はイメージ化が非常に困難な分野ではあるが、出題されるのはほとんど典型問題である。典型問題を何度も練習して、慣れておけばよいだろう。

化学

1不得意分野を克服しよう

入試の本番で不得意分野が出題されると、大きく失点する恐れがある。また、通常であれば、比較的短時間で得点できるはずの問題で間違えてしまうと、その失点を難度の高い問題でカバーしなければならないことになってしまい、かなり不利となる。さらに、不得意分野が出題されたことによるショックのあまり、冷静さが失われ注意力が散漫になることで、得意分野でもミスをするリスクが高まる。不得意分野が残っている受験生は、早急にその分野の克服をめざそう。

2計算問題を得意にしよう

理論分野では、計算問題が多く出題される。また、計算問題は配点が高い場合が多く、しかも、最初の計算で間違えてしまうと、連動して大きく失点してしまうことがある。

本番での計算ミスを減らすために、平素から電卓を使わずに計算するように心がけよう。また、物質量や濃度、反応量に関する計算は多くの分野で用いるので、早いうちにまとめて演習しておくとよい。ここで、自分の計算ミスの傾向や計算の際に約分できる数値などを把握しておくとよい。早いうちに計算の速度と正確性を担保しておくと、計算問題が多く出題される分野の学習の際に、それらの分野の理解と定着にかかる時間も短縮できる。

3有機分野を得意にしよう

二次試験での有機分野の配点は、平均すると全体の3割から4割を占める。特に構造決定の問題は点差がつきやすく、難関大学では考える要素の多い問題が出題される傾向がある。基礎知識をきちんと身につけたうえで、様々なパターンの問題に触れておく必要がある。演習時には、時間制限を設け、スピードも意識して研鑽を積んでおこう。

また、高分子の分野に関してはパターン化した問題が多く、得点が見込める分野となっている。学習が遅れやすい分野ではあるが、できれば早い時期に一通り学習して、計算問題も含め得点力を磨いておきたい。

4論述力をつけよう

二次試験の特徴のひとつとして、論述形式の問題が挙げられる。論述問題の多くは、科学用語や現象が起こる理由の説明、実験結果に対する考察を問うものである。科学用語の説明は基本事項を確認していくことで対応できるが、現象が起こる理由や実験考察は、暗記のみに頼った学習では対応できない。「なぜそうなるのか」を普段から考える習慣をつけておく必要がある。

また、自力で解けなかった論述問題については、教科書や参考書を調べてもよいので、自分の解答を作成してみよう。調べてもわからなかった問題は、解答を見ても構わないが、それでも自分なりの文章で書き直してみることが重要である。なお、文章力も必要ではあるが、それ以上に重要語句(キーワード)を漏れなく列挙できるかが得点を左右する。普段からキーワードを意識して練習しておこう。

5過去の入試問題を研究しよう

受験する大学の過去の入試問題は、早い時期に必ず目を通しておきたい。自分の志望大学が、どの程度の学力を要求しているのかを認識できるはずである。また、学力が合格レベルに達していない場合でも、あとどの程度頑張れば合格ラインに到達するのか、という目標がはっきりする利点もある。

国公立大学では、大学により問題の傾向や解答形式が大きく異なる場合が多い。例えば、計算問題で途中の過程を記述することを求められる場合、普段から、途中過程を簡潔に記す練習をしておいた方がよい。このように、受験する大学の出題形式や傾向を一度確認しておき、普段の学習にフィードバックしていくことで、得点力で差をつけることができる。

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