一橋大学 学習アドバイス

河合塾講師からの学習アドバイス

教科別の学習対策について、河合塾講師がアドバイスします。

※出題範囲は募集要項、大学ホームページ等で必ずご確認ください。

英語

最近の出題傾向

①全体の構成
2026年度は、2025年度に続き、試験時間が120分で、読解総合2題と自由英作文1題という3題構成だったが、自由英作文問題の解答の語数が大きく減少した。
②読解総合
2020年度までは600~800words前後のものが2題、2021~2023年度は1,500words前後の超長文1題だったが、2024~2026年度は2題の出題(それぞれ700~800words程度)に戻っている。2024・2025年度と2年続けて大問Ⅰが記述式問題(和訳と内容説明問題)のみ、大問Ⅱが記号選択式問題(空欄補充と語句整序など)のみという形で出題されたが、2026年度はⅠ・Ⅱともに、記述問題と記号選択の客観式問題が1つの大問のなかに混在する2023年度までの出題形式に戻った。このように大問の構成や小問の比率の変化があっても、出題される小問のレベルでは大きな変化はなく、記述式および記号選択式の様々な形式が出題されている。
③自由英作文
与えられた3つのトピックのなかから1つを選んで解答する自由英作文問題が出題されているが、2026年度は、解答の語数が2021~2025年度の100~140wordsから70~100wordsへと近年になく減少した。また近年は出題内容が毎年のように変わり、2022・2023年度は画像を描写する問題、2024年度は英語の疑問文に対して与えられた選択肢から解答を選んで答える、一橋大学ではこれまで出題されたことがない珍しい形式の問題、2025年度は与えられた状況でその当事者に宛ててメッセージを書く問題、2026年度は3年ぶりに画像を描写する問題が出題された。

2027年度入試予想・対策

①「出題傾向」は変わり得ることを前提に
2025年度からリスニング試験が廃止されたが、それに伴う新たな大問の出題はなく、2025・2026年度と2年連続で、英文と設問の分量が試験時間に対して前年より少なくなっている。2027年度は、受験生の能力をより的確に判定できるようマイナーチェンジが行われることもあり得る。長文が超長文化する、文法問題の独立した大問が復活する、自由英作文の解答の語数が100words以上に戻る、といったことも想定しておこう。
しかし、一橋大学の出題傾向は安定しないのは確かだが、変化しているのはもっぱら大問の構成であり、読解問題で出題された小問はこれまで出題されたことのある形式ばかりである。「語彙(ごい)や文法の正しい知識に基づいて英文を読み、内容把握に基づいて日本語で的確に解答をまとめる力」が問われることは一貫している。2027年度入試に向けても、表面的な変化に惑わされず、土台となる英語力を高めることに注力してほしい。
②日本語で記述する問題を練習しよう
他大学に比べて配点に対して設問が少ない一橋大学では、1問あたりの配点が大きいと想定される。したがって、記述式のそれぞれの小問の採点では、複数のポイントに部分点が設定されていると考えられるため、それぞれの部分点をいかに確保していくかが合否に大きく影響を与えることになる。2026年度は、2問あった内容説明問題はいずれも、解答の根拠となる箇所が本文中の各所に存在しており、英文全体の論旨を把握して100字や80字という制限字数でまとめることを求められた。
対策として、一橋大学の英語の一番の特徴といってよい内容説明問題については、設問が求める内容を正しく把握したうえで、本文中に複数存在し得る該当箇所を把握し、場合によってはそれをただ抜き出すだけでなく、制限字数に合わせて自分の言葉でまとめる、といった練習を積んでいこう。そのために、論説タイプの英文を、はじめは短めのものから順に長いものへと、論旨の展開を追いながら読む練習に取り組もう。また、「読めること」と「解けること」は必ずしもイコールではない。日本語での記述式の問題に不慣れな人は、添削指導を受けるなどして、字数制限内で過不足なくまとめる日本語の表現力を磨いてほしい。
③自由英作文は様々な形式の問題に取り組もう
自由英作文の出題内容は近年流動的で、定期的に形式が変わると考えておいた方がよい。2026年度は3年ぶりに画像を描写する問題が出題されたが、2024年度は一橋大学ではこれまで出題されたことがない形式の問題が出題されるなど、今後も新しい形式の問題が出題される可能性もあるので、一橋大学の過去問だけでなく様々な形式の問題に取り組み、初見の問題にも動じない柔軟な対応力を養っていこう。

数学

最近の出題傾向

一橋大学の数学は、文系学部のなかでは難関レベルである。例年、試験時間は120分、大問5題で構成されており、第1問が整数、第5問が確率となっている。

①整数
2025年度は素数や素因数分解の一意性を問う問題で、高い思考力を必要とした。2026年度は絶対値を外すと2つの不定方程式になる比較的手のつけやすい問題であった。
②確率
2025年度は漸化式との融合問題で、偶奇による場合分けなど正確な状況把握と計算力を必要とした。2026年度は組分けと期待値の問題で、過不足なく数え上げられるかを問うものであった。
③空間図形
2025・2026年度ともに空間図形が出題された。2025年度は、ベクトルを用いて2つのパラメータで表された点の軌跡を捉えるものだった。2026年度は座標空間において、平面による立体の切り口を問うものであった。

2027年度入試予想・対策

①入試予想
整数と確率は、2027年度も最重要項目である。近年の傾向どおり単純には解けない高い思考力を問う問題となるであろう。攻略するための粘り強い思考力と計算の正確性をより高い次元で要求する構成になると予想される。
②入試対策
数学Ⅰ・A、Ⅱ・B、ベクトルから幅広く出題され、複数の分野を融合した問題となることも多い。そのなかでも整数、確率、図形が頻出であり例年レベルの高い問題となっている。整数問題は、実験などから規則性や範囲の見当をつけたら、積の形、数の性質、剰余による分類、不等式による範囲の限定という道具をどのように組み合わせて使うのかを考えよう。特に素数の性質や不等式による範囲の限定を用いたものは頻出である。記述の際は漏れなく重複なく論理を展開する訓練を積んでおこう。確率は、2026年度では第2問に3項間漸化式があり、第5問では数列との融合問題ではないものの、漸化式を立てさせる問題が多い。複雑な試行も漸化式を立てるときは、n回目とn+1回目の状況の推移を図にしてみよう。図形問題では、基本的な図形感覚が必要である。図形を描き状況を把握して三角比、図形と式、ベクトルなど、どの道具を使って解き進めていくのかを意識して取り組むとよいだろう。その他、絶対値、微積分、軌跡、領域もよく出題されるため準備が必要である。また、方針が立てやすい問題でも計算量が非常に多くなることもある。120分という制限時間のなかで確実に加点できるよう計算を始める前に、対称性や循環性など式の特徴に着目し、工夫することも心がけよう。途中で行き詰まったときは、別のアプローチへ切り替える判断力も必要となる。
③典型的な入試問題を解く
2026年度は5題のうち4題が誘導のない問題であった。まずは典型的な問題を解けるようにし、次に誘導がなくても解けることを目標に取り組もう。そして、過去問に取り組み一橋大学らしい問題に慣れておこう。難易度の順に並んでいるとは限らない5題から易しい問題を選び確実に解き、難しい問題はいかに部分点を取るかが重要となる。易しい問題かどうかを判断する習慣もつけよう。また、2026年度の後期の試験にも整数、確率、微積分、領域の問題があった。後期試験の過去問にも良問が多いので余裕があればこちらの演習もお勧めである。

現代文

最近の出題傾向

①問題一では出版年の古い文章が復活
2026年度の問題一では、人類史に基づいた言語の変化をたどる評論文が出題されたが、出典は2007年に出版されたものであり、その原型は1986年に出版されている。こうした出版年の古い本からの出題は、かつては一橋大学の特色のひとつであったが、2026年度、それが復活したともいえる。
②字数条件の厳しい設問
2026年度の問題一の設問では、30字以内、25字以内という厳しい字数条件の設問が1問ずつ出題された。こうした傾向は近年継続している。
③要約問題は必出
一橋大学問題三では要約問題が定番である。2026年度の文章は繰り返しや具体例が多いが、2,800字程度の短い文章であり、書くポイントはそれほどつかみにくくはなかったと思われる。
2025年度に比べ、問題一はやや易、問題三は同程度の難易度だったといってよい。

2027年度入試予想・対策

①厳しい字数制限に対応する表現力・語彙(ごい)力の養成は必須の課題
一橋大学では、多様なジャンルや文体の文章が出題される。またそれほど読みづらいわけではないが、2026年度のように、出版年の古い文章も出題される。それゆえ様々な文章にチャレンジしていく必要がある。
また問題一の設問は、20~60字程度の、字数条件の厳しい設問が出題される。これは2027年度も変わらないだろう。これに対応するには〈解答の要素を自分の言葉で言い換え、簡潔な解答をつくる力〉を身につけることが必要である。日頃から論述問題を解く際に、あえて自分で字数条件を厳しくしたり、本文表現を自分の言葉で少しでも言い換えたりしてみよう。そして、それが的確であるかどうかを学校の先生などに見てもらう、というような積極的な問題演習をしてほしい。
②視野を広く持ち、的確に複数の解答要素を入れよう
2026年度の問い四の「文章全体を踏まえて」というような設問は、2027年度も出題される可能性が高い。これに対応するためには、本文全体の論理展開を視野に入れて読解する意識が重要である。
また一橋大学の問題一は設問数が少ないので、1問ごとの配点が高いと考えられる。そのなかで最も長い字数で書く問い四の配点が一番高いだろう。その問い四で高得点を取るには、解答要素の多い答案を書く必要がある。そのためにも先に書いた読解の際の意識を持ち、傍線部前後だけでなく、傍線部や問いに関連する内容を本文全体のなかに探していくようにしよう。
③問題三について
問題三が要約問題というパターンも変わらないだろう。要約の練習は、まずは評論の要約、次にエッセイの要約を行い〈要約の基本〉を身につけたい。〈要約の基本〉とは、
  1. (1)文章の構成・論理を大まかにつかみ、その文章構成に即して重要な内容をピックアップする。
  2. (2)その内容を、適宜意味のよく通る、簡潔な文言で言い換え、まとめる。
  3. (3)論理を明確にするために、接続語や指示語などを用い、答案中の文同士のつながりをつくる。
  4. (4)内容の重複がないようにする。
この4点である。これらを意識し、教科書や問題集に掲載されている3,000字程度の文章を要約する練習を行うとよい。
君たちの努力を期待している。

古文・漢文

最近の出題傾向

①近代文語文の出題は必須
国語・問題二は、近代文語文(明治期の漢文訓読体の文)の出題が極めて優勢である。ここ10年ほどの出題を見てみると、2022年度には近世の文章(三熊花顛『続近世畸人伝』)が出題されたが、この年度以外の出題はいずれも近代文語文である。大学側から毎年発表される「出題の意図等」では、問題二について「いわゆる近代文語文は、近代の日本社会に深く関係しており、当時の知識人が新しい課題にどのように取り組んだかを知る上で重要である」と記されていることからも、近代文語文の出題を重視する傾向が見て取れ、2027年度以降も近代文語文の出題が続くと思われる。
②近代文語文問題の本文と設問の概要
本文のジャンルを見てみると、かつては文学や芸術についての評論も出題されたが、近年は哲学や思想、政治や社会などについての評論の出題がほとんどである。
設問数は3問である。冒頭の設問は語句の意味(3問程度の枝問形式)あるいは現代語訳の問題(3問程度の枝問形式で短めの現代語訳を問う場合もある)が出題されていたが、2026年度は内容説明の問題であった。ほかの2問は内容説明、理由説明である。説明問題には30~60字程度の字数制限が設けられるとともに、「この段落の内容をふまえて」「文章全体をふまえて」などの条件が付されることが少なくなく、論の趣旨を把握する力、それを表現する力が問われている。

2027年度入試予想・対策

①どんな文章が出題されても対応できるように準備する
近代文語文の出題率がかなり高いことは確かであるが、近世の文章の出題もあり得るし、現古融合文が出題される可能性もまったく消えたわけではない。
前記の文章のうち、受験生にとって最も取り組みにくく、学習を敬遠しがちであるのは、恐らく近代文語文であろう。しかし、出題頻度の最も高いのが近代文語文であるから、近代文語文を正確に読み解く力を確実に養うことが肝要である。加えて、近世の文章、現古融合文にも対処できるように、準備しておきたい。
②古典(古文・漢文)の総合的な学力を養成する
一橋大学の文語文の問題に取り上げられる作品は、一般的な入試問題では扱われることの少ない出典が目立つので、過去問の十分な演習が大切である。過去問を演習することで様々な文語文の作品に触れ、内容を正しく読み取り、趣旨を確実に把握する訓練を積んでおきたい。
そのためには、通常の古文・漢文の学習を通じて古文と漢文の重要語(特に漢語)、文語文法、基本句形や慣用句をしっかりと習得しておくことが前提となる。直接的には語の意味の問題や現代語訳の問題に対する備えであるが、説明問題への対応は、語意や文法に忠実な読解と内容把握によるほかはないからである。問題二は、近世の文章、近代文語文、あるいは現古融合文、いずれの出題もあり得るのだから、古典、ひいては国語の総合力が問われると考えればよい。
③答案の表現力を磨く
最後に付言しておきたい。答案はすべて現代語で作成するのであるから、様々な文体の文語文を読みこなす読解力に加えて、制限字数内で要求されている内容を要領よくまとめる現代語の表現力も磨いておきたい。

日本史

最近の出題傾向

①出題形式
大問3題(各400字)、大問のなかにいくつかの小問を設定(一部は単答問題)、という形式で、「すべてで400字以内」という指定に合わせて各小問の字数配分を考える必要がある。資料や表・グラフを題材とした出題が目立つ。
②Ⅰ:古代・中世・近世テーマ史中心、近世のみの出題も
2026年度Ⅰは「中世~近世初頭の仏教」が出題された。最近2年間は前近代テーマ史が続き、近世の出題がわずかであるが、以前の傾向では近世のみの出題が多かった。古代・中世・近世のバランスよい学習が求められる。
③Ⅱ・Ⅲ:全体の3分の2が近現代、歴史総合にも注目
2026年度Ⅲ「第1次石油危機に至る背景と経済・エネルギーへの影響《資料・グラフ》」は歴史総合の範囲で、2年連続で世界史との同一問題が出題された。全体の3分の2を占める近現代史の習得が重要であり、歴史総合の範囲に視野を広げながらの学習も求められる。

2027年度入試予想・対策

①繰り返し出題されているテーマに注目し、過去問の研究を

Ⅰにおける頻出テーマは、以下のとおり。

  • (1)近世の農村(支配と自治、身分、一揆、生産)
  • (2)近世の商品経済(流通や貨幣経済、都市の構造)
  • (3)江戸期の政治(幕藩体制、幕政改革と藩政改革)
  • (4)律令と武家法(律令制度、式目、江戸幕府法令)
  • (5)前近代の文化(宗教・学問・思想・文学と背景)

Ⅱ・Ⅲにおける、明治・大正期のテーマは以下のとおり。

  • (1)明治期の産業革命(繊維業、寄生地主制と労働)
  • (2)大正期以降の経済(大戦景気、井上・高橋財政)
  • (3)近代外交(条約改正、第一次大戦後の国際秩序)
  • (4)明治憲法体制(天皇大権、議会制度、軍制)
  • (5)社会運動(女性解放・労働・農民運動、社会主義)
  • (6)近代文化(学問・思想・教育・生活と社会状況)

Ⅱ・Ⅲにおける、昭和・戦後期のテーマは以下のとおり。

  • (1)15年戦争(ファシズム、総動員体制・翼賛体制)
  • (2)占領政策(民主化・非軍事化、戦争責任、憲法)
  • (3)冷戦下の政治・外交(55年体制、安保体制)
  • (4)戦後の経済(経済民主化、戦後復興、高度成長)

これらのテーマを念頭に置きつつ、教科書などを調べながら過去問を解き、問題ごとに重要事項をノートにまとめるといった学習を実践しながら過去問研究を進めよう。

②Ⅰ:社会経済史を軸に、政治や文化との関連を把握
最近のⅠにおける前近代テーマ史の出題には、2025年度「古代・中世の災害と地域の政治経済・生活」、2021年度「前近代の土地制度と税制」がある。近世の出題には、2024年度「江戸時代の町と享保期の救民政策」、2023年度「経世論と江戸時代の政治・社会《資料》」がある。社会・経済を軸とする頻出テーマに重点を置きつつ、関連する政治制度(法制史)や文化の動向も把握しよう。
③Ⅱ・Ⅲ:政治・社会を軸とする総合的な問題にも注目
最近のⅡ・Ⅲにおける政治・外交の出題には、2025年度Ⅱ「近代の日本とロシアとの関係《資料》」、2020年度Ⅲ「明治憲法下での議会制度」があり、社会・経済では、2026年度Ⅱ「銀行のドル買いと金本位制の展開」、2024年度Ⅲ「戦後の物価賃金上昇率の推移《グラフ》」がある。政治・外交・経済の頻出テーマを習得する学習が有効である。また、近現代の政治・社会状況を軸とする出題には、2024年度Ⅱ「近代の弾圧法令《資料》」、2023年度Ⅱ「政府とマスメディアとの関係」がある。政治と社会状況の関係を軸に、外交・経済・文化も幅広く問う出題が増えている。
④歴史総合:基本知識を習得し、日本史との関連を意識
歴史総合(世界史との同一問題)では2025年度Ⅲに「韓国併合と第一次世界大戦後の委任統治《資料》」が出題されており、最近2年間の傾向を見ると、ある歴史的出来事を日本史分野と世界史分野の両面から総合的に分析することが要求されている。歴史総合(世界史分野)に関して、まずは共通テストで問われるレベルの基本的知識を習得することを目標にしよう。そして、日本近現代史を学習するとき、歴史総合(世界史分野)と関連する部分を見つけながら進めていくことも有効である。

世界史

最近の出題傾向

①出題形式
大問3題で字数は各400字の論述問題であり、合計400字、総文字数1,200字は例年と変わらない。2025年度の入試から「歴史総合、世界史探究」から出題され、2025・2026年度はともにⅠ・Ⅱが「世界史探究」の分野、Ⅲが「歴史総合」の分野となり、Ⅲは「歴史総合、日本史探究」との共通問題であった。また、Ⅲにおいては、2025・2026年度ともに問いが2つに分割され、合わせて400字以内とする出題形式となった。出題範囲としては、Ⅰはヨーロッパの中世・近世史、Ⅱは西洋の近世・近代・現代史、Ⅲは近代・現代のアジア史の枠組みが定番となっている。ここ数年、Ⅰは近世からの出題が目立つ。資料の読解を含む問題が多く、2026年度はⅠ・Ⅱ・Ⅲのすべてに資料が出題され、Ⅲの問2では【表】としてグラフも出題された。
②Ⅰ・Ⅱ:中世~現代の西洋史が中心
2026年度は、Ⅰ「16~17世紀におけるスペインの世界的位置」、Ⅱ「スターリン批判の背景およびソ連の政策転換が社会主義陣営に与えた影響」、2025年度は、Ⅰ「ウェストファリア条約の内容と国際関係に及ぼした意義」、Ⅱ「市民結社が発展した背景と政治文化史的な意義と限界」が出題された。2025年度入試においてはⅠ・Ⅱでの資料の出題は見られなかったが、2026年度ではⅠ・Ⅱともに資料の出題が見られた。また、出題される資料の傾向としては、一橋大学関係者の著書からの出題が多く、2024年度入試においてはかつて同大学の第5代学長を務めた増田四郎の著書からの出題であった。Ⅰのスペインの世界的位置づけについては、オスマン帝国との対立や、スペイン自身がカトリック世界の盟主を自認したことなどを述べ、国王フェリペ2世の時代に最盛期を現出したものの、17世紀にスペインが凋落することを説明すればよい。一橋大学の受験生にとっては、比較的書きやすいテーマであったと思われる。また、Ⅱは資料のスターリン批判演説における「個人崇拝」や「集団指導」などの言葉を引用しつつ、スターリンの死を契機とした内外の緊張緩和について言及し、平和共存政策が社会主義陣営に混乱や対立を生んだことを具体的に説明する。スターリン批判とその影響は、現代史における重要事項であるため、2025年度の「市民結社が発展した背景と政治文化史的な意義と限界」と比べると比較的書きやすいテーマであった。Ⅰ・Ⅱは、経済・社会史的な視点からの出題も多く、今後もこうした傾向が続くと思われる。
③Ⅲ:「歴史総合」分野からの出題 ※2024年度以前は近世以降の東洋史(特に中国・朝鮮史)が中心
2026年度は「アラブの石油戦略の背景と日本への影響」、2025年度は「韓国併合と第一次世界大戦後の委任統治」が出題された。出題形式としては、問いが2つに分割されており、2025年度は問1で歴史用語を書かせる出題、問2で資料の読み取りを前提とした論述問題で、問い2つを合わせて400字という出題であった。2026年度は、問1・問2を合わせて400字以内とする論述問題であった。また、「歴史総合、日本史探究」との共通問題となったものの、世界史探究の知識と資料の読み取りによって十分に解答を作成できるものであった。問1は資料の新聞記事や問題文中の「1973年」から、第1次石油危機を想起し、その直接的な契機として第4次中東戦争を指摘したい。そして、その背景として設問要求に従って第一次世界大戦後の委任統治領やユダヤ人とアラブ人の対立、国連のパレスチナ分割案、中東戦争の勃発や資源ナショナリズムの勃興を説明できればよい。問2は、第1次石油危機の影響として、日本の高度経済成長が終了したことなどを述べ、与えられたグラフをヒントに石油の代替エネルギーを読み取り、また、省エネルギー化への転換などで日本経済が安定成長したことを指摘したい。世界史探究の知識をベースとしつつ、資料やグラフから考察することで十分に解答は可能であった。

2027年度入試予想・対策

①Ⅰ:注目すべきヨーロッパの中世・近世史!
2026年度入試においては「16~17世紀におけるスペインの世界的位置」、2025年度「ウェストファリア条約の内容と国際関係に及ぼした意義」、2024年度「中世都市の社会経済史的意義」、2023年度「英仏百年戦争とフランス王国の変化」、2022年度「皇帝フリードリヒ1世の勅法」、2020年度「ルターとドイツ農民戦争」の出題は、従来のⅠの形式に則っているといえる。ここ数年、出題された時代としては8~11世紀からの出題がなく、地域もイギリス、フランス、ドイツなどに比重が置かれている点に注目したい。過去に出題されたピレンヌ=テーゼやオットーの戴冠、叙任権闘争の歴史的意義などのテーマを基に、時代範囲や設問条件を変更して出題することも十分あり得るので、過去問対策を十分にこなしたい。中世東欧世界や東方植民、レコンキスタなども確認しておこう。一方で、あえて近世からの出題が続く可能性を考慮すると、コロンブス交換やオランダの覇権などのテーマにも留意したい。
②Ⅱ:特定の時代やテーマに絞るのは厳禁!
出題分野について見ていくと、2026年度入試「スターリン批判の背景およびソ連の政策転換が社会主義陣営に与えた影響」や2024年度「(黒人側から見た)奴隷解放の問題点」、2023年度「1970年代以降のアフリカの新興国」、2020年度「20世紀の米英覇権の交替」は政治史、2025年度「市民結社が発展した背景と政治文化史的な意義と限界」や2021年度「レンブラント時代とゲーテの時代」は文化史、2022年度「20世紀アメリカの経済政策」は経済史を中心とした出題で、時代・地域・出題分野もバラバラなうえに難易度にも差がある。また、2023年度は第二次世界大戦後のアフリカ史が地図と一緒に出題される新傾向の出題が見られた。しかし、出題傾向から外れても「設問要求を正しく読み取り、書ける内容をしっかり書く」ことが何よりも重要である。そのため、闇雲に様々な地域を手あたり次第勉強するのではなく、過去問研究に重点を置きつつ出題されてきたテーマへの理解を深めることを優先してほしい。16世紀~第二次世界大戦後のヨーロッパ史とアメリカ史、ラテンアメリカ史の対策をおこたらないようにしたい。万が一、入試本番で過去問で触れたことのないテーマや時代が出題された場合も慌てず、まずは設問要求を分析し、書くべき内容を想定したのちに教科書の標準的な知識を思い出しながら書けるところまで書くことが重要である。
③Ⅲ:歴史総合からの出題!「歴史総合、日本史探究」との共通問題!
2025・2026年度入試においては、「歴史総合」からの出題が見られた。しかし、受験生に求められる能力は従来どおりで変化はなかった。従来、一橋大学がⅢで出題したテーマのうち、2023年度「中国の半植民地化と孫文=ヨッフェ会談」、2022年度「近世以降の朝鮮史」、2021年度「文化大革命の経緯と〈4つの現代化建設〉の影響」、2020年度「朝鮮王朝の中華意識」、2019年度「中国共産党・国共内戦の歴史」、2018年度「三・一独立運動と五・四運動」などは、歴史総合と近しいテーマの出題であるため、今後資料を追加・変更してリメイク出題をする可能性もある。したがって、過去問対策を十分に行っていこう。そして、歴史総合を意識して近現代のアジア史を中心とした学習を進めるとともに、近年の国際関係においてグローバルサウスの注目国であるインドの近現代史や、中国との関係が注目される台湾の近現代史からの出題も想定しておくとよいだろう。

特派員の声 ~合格の秘訣!!~

法学部 1年 Carp大好き特派員

特派員
一橋世界史記述の書き方
世界史の記述は、自分の持つ知識を求められている内容に合うようにアウトプットすることが大事です。この時、問題の聞かれ方にヒントがあります。事柄の「経緯」は最初と最後だけ、過程は最初から最後まで順番に書く必要があるといったように一定の法則があるので、これをヒントにしましょう。また、先生や塾の講師の方に添削をしてもらうことも重要です。これをしてもらうことで自分で気づきにくい改善点が見えてきます。

ソーシャル・データサイエンス学部 1年 もちゃ特派員

特派員
いつも通りを心がける!
私は現役の頃は浪人しても大丈夫だと思い、なるべく気負わずに受験したところ、ほとんど緊張せず全力をほとんど出しきれました!ストレスは受験の敵です。しっかり睡眠をとって健康的に過ごしてメンタルを壊しにくくし、いつも通りに勉強し続けましょう!気合い入れてやりすぎると心身共にストレスがかかり、本番にまで影響します。時には休んでもいいんです。直前期は特に、いつも通り元気でいられることを最優先してください!

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