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名古屋大学 学習アドバイス

河合塾講師からの学習アドバイス

教科別の学習対策について、河合塾講師がアドバイスします。

※出題範囲は募集要項、大学ホームページ等で必ずご確認ください。

英語

最近の出題傾向

①構成と問題量
試験時間は105分で、2010年度以降、読解総合2題、対話文1題、英作文1題という4題構成が続いているが、2018年度から大問Ⅳの英作文が和文英訳問題から自由英作文に変わった。読解総合と対話文の本文の総語数は2,000語程度で、全体として解答するのに無理な問題量ではない。
②読解総合問題
長文読解問題は、雑誌や新聞、インターネットのニュースサイトの、特に科学・自然・心理・歴史などに関するニュース記事から採った英文が多いが、日常的内容を扱ったエッセイや専門書から出題されることもある。設問は、下線部和訳と説明問題が中心だが、前置詞、動詞などの空所補充問題など、知識を問う問題も出題される。また、要約文の補充完成問題や段落のトピックセンテンスを選択させる問題、段落を補充する位置を選択させる問題など、段落や文全体の内容や論旨構成を読み取らせようとする問題が増えている。
③表現力問題
大問Ⅳでは、2018年度からそれまで出題されていた和文英訳問題に代わって、自由英作文が出題されるようになった。その後、和文英訳問題が出題されない年度が続いたが、2022年度に2問、2023年度に1問の出題があった。2022・2023年度の和文英訳の難易度については、基礎~標準レベルのものだった。大問Ⅳの自由英作文は、提示された図表やグラフから情報を読み取って、その傾向を述べて説明を加えるものである。意見型の自由英作文とは違って発想力はそれほど要求されないが、正確に表の情報を言語化する能力が求められる。大問Ⅲの対話問題にも短い英文で意見を述べる問題が付されており、2023年度は「環境への負荷を軽減する具体的な事例」について25~35wordsの英語で説明するものだった。近年、発信能力により重点を置いた問題づくりがなされているといえる。

2024年度入試予想・対策

語彙(ごい)・文法・熟語の知識の拡充
読解総合問題では要求される語彙(ごい)レベルが高くなっていて、語彙(ごい)力が得点差に直接反映されるような和訳問題や説明問題が多い。また、客観問題でも単語・熟語の知識が解答の決め手になるような問題がある。これは複雑で読み取りづらい文構造の英文が避けられる現代の傾向を反映したものであり、他大学でも同じような傾向が見られる。単語集を用いて、意味を把握できる単語の数を増やすことに加えて、文章のなかで出合ったものを復習で定着させるという両面から、語彙(ごい)力の強化を続ける必要がある。また、読解総合問題や対話文問題で文法・熟語の知識に関わる問題が問われることも多いので、そのような問題に対応する知識の拡充にも努めてほしい。
②長文読解問題の演習
長文読解問題の中心は下線部和訳と内容説明問題であり、ここでの得点力をつけるためには、できるだけ多くの英文を読む練習を重ねたうえで、実際に答案作成作業を行わなければならない。その際、自分の書いた答えが、誰が読んでも誤解なく伝わるものかを、解答例と見比べることや、添削してもらうことを通して確認する必要がある。必ずしも解答例と同じような表現にする必要はないが、自分が意図する趣旨が伝わるかどうかを確認するとよい。また、本文を読む際には論旨展開や文章構成に留意し、特に段落単位で内容を把握することを常に意識してほしい。
③表現力の学習はインプットを中心に
和文英訳、自由英作文も含めて、表現力を問う問題を重視した傾向が続くと予想される。英作文で何よりも必要なことは、文法の理解に基づいて基本的な英文を確実に書ける力と、日常的によく用いられる表現を正しく使える知識である。したがって、問題演習によるアウトプットをひたすら繰り返すよりも、まずは有用な表現のインプットを学習の中心に置いてほしい。基本例文を書くことができるように努め、身につけた構文・表現で英文を破綻なく書くことができるよう、使える表現を増やしていくことが大切である。また、大問Ⅳの自由英作文対策として、グラフや図表に関する英文を参考にして、数値を含めた情報を描写できる能力を高めていくよう努めたい。

文系数学

最近の出題傾向

①出題分野
出題数は3題である。この出題数は、完全に定着している。 3 で選択問題が出題されたこともあるが、2008年度を最後に、その後は選択問題は出題されていない。2023年度の出題分野は、 1 「微分法」、 2 「図形の性質(空間図形)」、 3 「確率」であり、ほぼ近年の傾向に則した問題であった。一方、近年の頻出分野である「整数」が出題されなかった。
②論述力を重視した設問が頻出
名古屋大学の入試では、問題冊子の最後に「数学公式集」が付載されている。これは名古屋大学独特の形式で、大学側が単に公式や解法の暗記ではなく、論理的思考力や論述力に重点を置いた試験をしたいという姿勢が読み取れる。

2024年度入試予想・対策

①入試予想
例年、頻出の出題分野として、確率、図形と方程式、微分法・積分法が挙げられ、数列と他分野の融合問題や、近年増えつつある整数問題にも注意が必要である。2024年度についても、これらの分野を中心とした、難度の高い本格的な問題の出題が予想される。
各分野について、具体的に検証してみよう。
確率については、思考力、論述力を要する出題が非常に多いので、答案作成力を磨いておく必要がある。なかでも「数列」との融合問題が多く、特に確率漸化式は必ずマスターしておくべきテーマである。年度によっては、ただ単に漸化式を組み立てて解くだけではなく、より高度な論証力を要求されることもある。
図形に関しては、「図形と方程式」からの問題が頻出であり、微分法・積分法との融合にも注意が必要である。ここでは、特に2曲線の接する条件や、軌跡・領域を中心に学習しておくとよいだろう。
微分法・積分法については、グラフを利用する問題や、積分法を用いた面積の最大・最小問題などの出題も見られる。前述のとおり、領域との融合も多く、より正確に図形を把握したうえで迅速な計算を行う力も必要とされる。
そして、近年増えつつあるのが整数問題である。「数列」との融合問題、論証問題など難度の高いものが多いが、そのなかで解きやすい小問を見極めて確実に得点することが重要である。
②対策
名古屋大学文系数学は、2022年度はやや易化したものの、近年難化傾向にあり、完答できる設問は決して多くはない。そこで、まずこれまでに出題された名古屋大学の入試問題を実際に解くことで現在の自らの学力と実際の問題レベルとの距離を把握してほしい。そして、その差を縮めるような学習対策を練り上げるとよいだろう。
まず、各分野の典型的な問題を確実に解けるよう練習してほしい。難しい問題も基礎知識の組み合わせから成り立っている。その基礎知識をより確実にすることで計算力や思考力も向上するだろう。
次に、多分野にまたがる融合問題で練習していこう。名古屋大学の過去問の演習を通して論証力、洞察力を養っていきたい。多くの問題を解き、自分で完成答案をつくることで、答案を作成する力を養うことができる。自分の考えを、答案を通して伝えるための表現力も大切である。

理系数学

最近の出題傾向

①出題分野
出題数は4題である。この出題数は、完全に定着している。 4 で選択問題が出題されることも多かったが、2009年度を最後に、その後は選択問題は出題されていない。2023年度の出題分野は、 1 「複素数平面、2次関数」、 2 「図形と方程式、微分法・積分法(数学Ⅲ)」、 3 「微分法(数学Ⅲ)」、 4 「数列、式と証明」であり、ほぼ近年の傾向に則した問題であった。
②融合問題、応用力
名古屋大学の入試では、問題冊子に「数学公式集」が印刷されている。これは名古屋大学独特の方式で、数学的な知識よりも思考力や応用力に重点を置いて受験生の力量を試したいという、大学側の意図の表れと思われる。従来から2つ以上の分野を融合した問題が多く、出題の分野の偏りが少ない。なお、問題による難易差がやや大きい場合もあるので、解きやすい問題の見極めも重要になることがある。

2024年度入試予想・対策

①入試予想
2024年度も例年と同様に、複数の分野にまたがる問題を含む、全体としては特定分野に偏らない出題が予想される。また、数学Ⅲの「微分法」や「積分法」についても出題される可能性が非常に高い。この分野からの出題内容として、図形量の最大・最小、「数列」との融合問題が頻出である。それ以外に、「数列」と「確率」の融合問題、図形関連の問題、整数関連の問題も出題の可能性が高い分野として注意が必要である。
②対策
融合問題が多いとはいえ、まずは単独の分野の解法を身につけることが重要である。基礎力を充実させ、典型的な問題ならば解き方が思い浮かぶようにしておこう。
そのうえで、多面的に問題を考える訓練をしておこう。別解なども積極的に考えるようにすると効果的である。
さらに、正確かつ迅速な計算を行う力も要求される。工夫した計算、見通しを立てた計算を心がけ、問題を解く際は、最後まできちんと計算をやり切るようにしよう。
思考力、応用力については、即効性のある妙案はない。日頃から数学に興味を持って学習していくことが一番であろう。
③攻略法
まず、これまでに出題された名古屋大学の入試問題を実際に解いて、現時点での自らの学力と問題のレベルとの距離を体感してほしい。学力伸長の目標を明確に持って学習を進めるためにも、このステップは大変重要である。その際、できれば問題そのものをいろいろな観点から味わってみるとよいだろう。名古屋大学の入試問題は、数学的な観点から見てよく練られた、いわゆる良問と呼べるものが多い。
次に、名古屋大学の出題傾向を考慮してつくられた適切な問題集を解いてみることを勧める。そのような問題集として、『2024 入試攻略問題集 名古屋大学 数学』(河合出版)が最適である。この問題集の一つひとつの問題にじっくり取り組むことによって、数学の総合的な力、すなわち、正確な計算力、論理的な思考力、問題の本質をつかみ取る力などを養ってほしい。

現代文

最近の出題傾向

①評論文からの出題
例年、評論文が1題出題される。哲学、文化論、文学・芸術論、現代社会論、歴史論など、様々なジャンルの評論文から出題されている。2023年度は、言葉が人の心を支配し、動かしていくことについて論じた文章(八木雄二『1人称単数の哲学』)からの出題であった。難易度は年度ごとに変化する傾向にある。2020・2021年度はやや難しかったが、2022年度は易しかった。そして2023年度はやや難化した。漢字問題や内容合致問題は易しかったが、記述問題で本文を幅広く踏まえて解答を作成しなければならない少し厄介な問題が出題された。空欄補充問題や抜き出し問題は出題されなかった。
②設問の構成は定着している
例年、漢字問題(書き取りと読みが10問出題される)、30~130字の記述問題が3~4問(2019年度は3問、2020~2023年度は4問)、それ以外に、抜き出し問題、空欄補充問題、選択肢問題などが出題される。漢字の読みはカタカナで答えさせるので、注意が必要である。

2024年度入試予想・対策

①文章量は3,500~4,000字程度、トータルの記述量は300字台になることが予想される
名古屋大学では4,000字台のやや長めの文章から出題されてきたが、2020・2022・2023年度は3,000字台であり、これまでよりも短い文章から出題されるようになった。また、2023年度のトータルの記述量は380字であり、ここのところ300字台が続いている。
2024年度は、3,500~4,000字程度の文章から出題され、記述問題は4問、トータルの記述量は300字台になることが予想される。
②記述問題の練習をしっかりしておくこと
名古屋大学の記述問題では、傍線部の前後を踏まえて解答する問題だけでなく、問題文を幅広く踏まえて解答する問題も出題される。また、問題文中の表現をそのまま使って解答を作成する問題だけではなく、2020年度のように自分なりの表現を工夫しなければならない問題も出題される。これらの問題に対処できるようになるためには、問題集などを使って評論文の記述問題を数多く練習しておくことが必要である。
また、解答時間の割には文章量、記述量が多く、制限時間内に解き切ることが難しい。そこで、過去問などを使って制限時間内に解く実戦的な練習を積んでおくことも必要である。
③空欄補充問題、抜き出し問題、漢字問題なども練習しておくこと
名古屋大学では、記述問題、漢字問題以外に、抜き出し問題、空欄補充問題、客観式問題などが出題される。2023年度には客観式の内容合致問題が出題された。記述問題だけでなく、これらの問題も練習しておこう。
また、漢字問題は10問も出題され、得点源になるので、しっかりと練習しておくことが必要である。

古文

最近の出題傾向

①2023年度は江戸時代の怪異物語からの出題
2023年度の出典は江戸時代中期に成立した怪異物語集『怪世談(あやしのよがたり)』であった。江戸時代の作品の出題は4年ぶり、物語の出題は5年ぶりであり、江戸時代の物語の出題は初めてである。また、例年よりかなり長い文章が出題された。
②設問数が多く、解答記述量が増加した
2023年度の出題は、文法3問、条件が付されている現代語訳3問、心情説明3問、和歌を踏まえた理由説明2問であった(傍線部の数でカウント)。例年に比べて説明問題の数が多くなり、品詞分解の問題の出題は11年ぶりであった。和歌に関する設問が出題されたのは、従来どおりである。

2024年度入試予想・対策

①過去問で出題レベルをつかもう
年度により、出題傾向に多少の変化は見られるものの、補いを必要とする現代語訳の問題と、説明問題(字数制限はないが、100字程度の解答を要求することが多い)を中心に、文法や主体判定、文学史の問題などが出題されている。また、和歌に関する設問が出題されなかったのは、過去10年間で1回だけである。まずは、過去問を3年分ぐらい解き、どんなレベルの文章を、どこまで深く読解すればよいのかをつかみ、自身の弱点をはっきりさせよう。なお、古文の標準的な解答時間は30分程度と考えればよいが、時間が足りないと感じる受験生が多い。
②様々なジャンル・時代の作品を読もう
江戸時代の作品は、受験生にはなじみのないものであるが、和文体の読みやすい文章なので、書かれている事柄を丁寧に読み取るようにしたい。平安・鎌倉(室町)時代の作品が出題される場合は、過去に他大学の入試で出題された箇所であることも多いので、入試頻出箇所を集めた問題集などで、様々な文章に触れ、不得意なジャンルをなくしておくとよい。
③正確な読解力を身につけよう
毎年必ず問われる現代語訳の問題では、主体や客体の補い、状況の説明的な補い、指示語の内容の具体化などをしなければならない。毎日の学習では、助動詞や助詞の意味用法を丁寧に押さえ、適切な補いをしながら現代語訳する練習を繰り返そう。また、様々な説明問題に対応できるよう、機械的に逐語訳するだけではなく、書かれている内容について深く考えながら読むようにし、人物の心情をつかんだり筆者の主張を捉えたりする丁寧な読解練習を心がけてほしい。
④和歌に強くなろう
和歌に絡めた出題が多いのは、名古屋大学入試の大きな特徴である。和歌の読解には、まず、和歌が詠まれた状況を正確に把握しなければならない。そのうえで、修辞等を見つけ、それも踏まえた現代語訳をする。さらには、詠み手の心情等を説明する練習も積んでおきたい。特に和歌の現代語訳は、添削指導を受けながら、よりわかりやすい訳となるよう練習を重ねよう。

漢文

最近の出題傾向

①問題文は長文で、ジャンルは多様
2014年度以降毎年220字以上の文章が出題されている。国公立大学でもこれほどの長文をコンスタントに出題する大学は極めて(わず)かであり、名古屋大学の漢文の特徴といえる。問題文のジャンルは、2015~2017・2019・2021・2022年度は論説文、2014・2018・2023年度は史伝、2020年度は随筆と、多様である。難易度については、史伝や随筆はおおむね標準的であるが、論説文は受験生にとって読み取りにくい文章であることが多い。
②設問も多様で、150字の要約または説明の問題が必出
2023年度は、全6問のうち2問で枝問がつくられ、語句の読み1問、書き下し文1問、現代語訳4問、内容の説明2問と、現代語訳の問題が多かったが、例年は、語句の読み1問、書き下し文1問、現代語訳1~2問、内容や理由の説明2~3問という構成である。特筆すべきは、2006年度以降、150字以内で本文を要約する問題、または150字以内で内容や理由を説明する問題が毎年出題されている点である。名古屋大学は、漢文の問題を通して重要語・句形の知識や訓読力・読解力を問うだけでなく、表現力も問おうとしていることをうかがい知ることができる。

2024年度入試予想・対策

①様々なジャンルの文章にあたっておくこと
問題文は、史伝・文学論・学問論・思想・随筆など多様であり、2024年度入試のジャンルを予想することは難しい。どんな文章が出題されても対応できるよう、過去問や問題集を利用して様々なジャンルの文章を読解する練習をしよう。文章の趣旨と話や論の展開をしっかりと把握することが大切である。
②解釈力を身につけること
解釈力は、現代語訳の問題はもちろんのこと、内容説明の問題において完成度の高い解答を作成するためにも必要なものである。解釈する場合には、語意、送り仮名や文脈を踏まえて一語一語適切な現代語に置き換えるとともに、指示語の指す内容や省略された内容を補ってわかりやすく訳すことが大切である。内容はわかっていても、いざ訳を書いてみるとうまく表現できないという場合も多いものである。実際に訳文を書く練習を積み重ねてほしい。
③重要語・句形を習得すること
語の読み、書き下し文や現代語訳の問題では、重要語や句形の知識が問われる場合が多い。またこれらの知識は、問題文の内容を正確に読み取るためにも不可欠なものである。本文を読解する練習をする際に出合ったものは必ず覚えるように心がけてほしい。
④150字以内で要約する練習をすること
本文の内容を150字以内で要約する、または説明する問題の出題が定着している。短時間で長文を読んで内容を把握し、150字以内でまとめるのは決して容易なことではない。日頃から文章の内容を展開と趣旨が明らかになるようにまとめる練習をする必要がある。2006年度以降の過去問は解いておくことが望ましい。

物理

最近の出題傾向

力学から1題、電磁気から1題、波動または熱から1題の3題の出題となっている。2023年度は力学・電気・熱からの出題であった。
解答形式は、基本的には答えのみを書き込む記述式であるが、「答えを導くまでの過程」を書き込む計算欄が設定される設問もある。
全体の難易度はこの10年ほど何度か難化・易化を繰り返している。2020年度は著しく難化したが、2021・2022年度はそれ以前の難易度に戻り、2023年度は易化した。分量としては、2023年度などを除けば、テキパキ解いていってやっと一通り解ける程度の分量である。理科1科目あたり75分で完答するのは時間的に厳しいこともあるが、合格点までであれば、特別に速い処理速度を要求されるわけではない。

2024年度入試予想・対策

①力学と電磁気は必出
2024年度も、力学分野と電磁気分野から1題ずつ、その他の分野から1題の計3題の出題が予想される。原子分野からの出題も考えられるので、対策をおろそかにしてはならない。
力学分野のなかでは、衝突・円運動・単振動などの出題頻度が高い重要項目については確実にマスターしておきたい。最近は力のモーメントについても繰り返し出題されている。
電磁気分野のなかでは、コンデンサー・電気回路(直流および交流)・電磁誘導がよく出題され、かつ難度が高い場合が多い。これらについては、様々なタイプの問題にあたって演習を重ねておく必要があろう。
②文字指定に注意して、要領よく解く練習をしよう
名古屋大学では問題文を読んだだけでは解法が一通りに定まらず、文字指定を見て初めて解法が定まる問題が出題されている。例えば、2022年度問題Ⅲの設問(1)を見てみると、問題文を読んだだけでは、状態方程式を用いて解くのか、気球が浮き上がるときの力のつり合いから求めるのかわからない。使用してよい文字を見て初めて状態方程式を用いて解答するのだとわかる。しかも「~のうちから必要なものを用いて表せ」なので、解答に不必要な文字も入り込んで、なおわかりにくい。普段の勉強の際には、まず文字指定に目を通し、自分の選んだ解法によって、指定文字が得られそうかどうか見当をつけてから計算に取りかかる癖をつけておくとよい。最後に得られた答えが指定文字に合致しているか、必ずチェックしよう。
また、大問の途中で状況設定が変わる場合には、それ以降の設問は独立して解けることもある。問題文を最後まで粘り強く読み、解ける設問を取りこぼさないように心がけたい。そのために長文の問題にも積極的に取り組んでおこう。仮に途中で解けなくなったとしても、最後まで問題文を読み、少しでも加点できるところがないか探すのも良い練習である。
③深く掘り下げて問題演習をしよう
典型問題がスラスラ解けないようでは合格はおぼつかない。まずは、標準的な問題集による演習で基本事項をしっかり身につけること。その際、図を描きながら考える習慣をつけ、状況判断能力を養っておこう。名古屋大学の入試問題は長文で、状況設定が複雑な場合が多いので、図を描くこと、状況を把握することを慣れた手つきで行えることが重要になる。それが済んだら、前記のような長文の問題を出題する大学の過去問を用いて演習するとよいだろう。

化学

最近の出題傾向

名古屋大学理系学部では、理科2科目(情報学部自然情報学科は1科目)が課せられ、試験時間は2科目150分(情報学部自然情報学科は75分)である。大問数は、2020年度以前は5題であったが、2021年度は4題、2022・2023年度は3題に変更されている。ただ、小問数は、2021~2023年度では25問前後でほとんど変化していない。出題形式は、記述式、計算に加え、30~50字程度の論述問題が数問出題され、また、計算の導出過程を記述させる問題が出題されている。以前出題されたグラフを描かせる問題は、最近は出題されていない。出題内容は、思考力を試す意図からか、前提とする知識がなくても問題文の意図を読み取り、誘導に従っていけば解答できる問題が多く見られる。ただ、2023年度では、副殻軌道に関する問題や錯イオン形成平衡反応に関する問題、メソ化合物の構造決定問題のように、発展的な内容を扱った難度が高い問題が出題された。出題分野は、理論、無機および有機分野と全分野にわたって幅広く出題されている。2023年度では、理論、無機融合問題が2題、有機(高分子化合物も含む)分野の問題が1題であったが、有機分野の問題は問1、2に分かれており、実質4題の構成になっており、有機分野の出題割合が高かった。

2024年度入試予想・対策

①理論分野の予想と対策
理論分野では、例年幅広く出題されているが、2024年度は、特に「電離平衡」「固体の結晶構造」「熱化学」「電池、電気分解」「凝固点降下などの希薄溶液の性質」からの出題が予想される。例年、計算量が多く、時間内に解答するには、かなりのスピードが要求される。文字式で解答する問題も頻出である。また、計算の導出過程を記述させる問題では、簡潔に過程を記述することも求められる。これらの対策としては、各分野の計算処理方法をまとめ、簡潔に記述する練習をしておく必要がある。
②無機分野の予想と対策
無機分野では、細かい知識を要求するような問題はほとんど出題されない。無機物質は題材になるだけで、設問の内容はほとんどが理論分野の内容である。無機分野の対策としては、教科書レベルの重要項目をしっかり確認しておこう。2024年度では、非金属元素で、「硫黄(S)」「ハロゲン(F、Cl、Br、I)」、金属元素で、「アルカリ金属、アルカリ土類金属(Na、Ca)」「両性元素(Al、Zn)」の出題が予想される。また、工業的製法(ソルベー法、オストワルト法、金属の精錬など)とそれに伴う化学反応式も確認しておく必要がある。
③有機分野の予想と対策
有機分野では、2023年度も出題されたが、有機化合物の構造決定の問題が頻出である。2024年度は、特に「芳香族化合物」を用いた構造決定の問題の出題が予想される。フェノール、アニリンなどの合成経路を確認しておいてほしい。また、立体異性体については、かなり発展的な項目まで押さえておく必要がある。
高分子分野では、「糖」「核酸」「油脂」などの天然高分子からの出題が予想される。特に、「糖」に関しては、構造の表し方(フィッシャー法、ハース法)について深く考察しておく必要がある。
④全体として
名古屋大学の化学の問題では、問題文の読み取りと実験の流れの把握がポイントになる。問題文の把握を必要とするような問題に数多くあたることを薦める。その際に、実験操作の目的を意識しながら、問題にあたってほしい。また、試験時間に対して、設問数が多いので、焦る受験生が多い。解答時間の短縮としては、「計算を速くする」「問題文を速く読む」などを考えそうだが、これではミスが増える。特に名古屋大学の化学では、問題にヒントや誘導があることが多いので、問題文はできるだけ時間をかけて読んでほしい。解答時間の短縮として、各項目についての処理方法をできるだけ簡潔にしておくこと、問題文のチェック項目をあらかじめ整理しておくことが重要になる。
これらのことを意識して、最後まで頑張ってほしい。成功を期待している。

特派員の声 ~合格の秘訣!!~

文学部 1年 しまりす特派員

特派員
英作文、漢文要約の対策
英作文が出されるようになったので、難しい英作文ばかり解くのではなく、基本例文を日本語から英語に直せるようにしておき、英作文の型を頭に入れて、すぐに日本語に合う表現を思い浮かべられるようにしました。
漢文は最後の問題で要約問題が出るため、それまでの細かい設問を踏まえつつ、文章の内容を図にして分かりやすくすることで、書く内容を一つのことに偏りすぎないようにしました。そして過去問を解く際にこの方法を試し、練習していました。

情報学部 1年 ロー特派員

特派員
名大二次攻略法
数学は、誘導がしっかりしているので、解ける部分を解ききる。英語は、英作文が特殊なので、重点的に勉強しておく。化学は、問題数が多いので、1問を深追いしすぎないようにする

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