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    公開日
  • 2024年02月26日

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高等教育エッセイ Vol.04「大学入試とIR-
カリフォルニア大学の入試改革を事例に」 (前編)

九州大学 木村拓也 先生

九州大学 木村拓也 先生


執筆者プロフィール

九州大学大学院 人間環境学研究院 教育社会計画学講座(教育学部)教授。独立行政法人 大学入試センター研究開発部 高大接続部門 教授(クロスアポイントメント)。2005年 東京大学大学院教育学研究科 修士課程修了。2007年東北大学大学院教育情報学教育部 博士後期課程中退。博士(教育学)。京都大学助教、長崎大学助教・准教授、九州大学准教授を経て、2022年1月から現職。一般社団法人 大学アドミッション専門職協会理事長。専門は、教育社会学、教育計画論。

1.エビデンスに基づいた」大学入試改革は可能?

「エビデンスに基づいた」教育改革は本当に可能なのであろうかという問いは、思った以上に深い問いであると考えている。単に、教育は「測定」できないところに価値があるといった、そんな浅薄な理由ではない。教育実践の固有性や即興性などは語られるまでもなく、大事なことだと考える一方で、先の考えについては、根拠のないことを根拠にして進める根拠は何かという早口言葉のような、トートロジーのような矛盾を指摘する必要性が頭をよぎる。また、我々が手にしたエビデンスが確かなエビデンス足りうるのか、という側面もあるだろう。統計学や経済学では、統計的因果推論を盛んに議論してきたし、その限界や有効性に首肯することも多い。ただ、それらとは別の第三軸から、冒頭の問いに向き合う必要があるのではないかと感じることが多々ある。

今回、私が紹介する、アメリカのカリフォルニア大学で行われた入試改革は、このことを如実に語ってくれる好例ではないかと考えている。大学入試改革は、その人の人生を決める一大事であるがゆえに(「ハイステークスなテスト」と呼ばれる)、社会的関心が著しく高く、その改革の一挙手一投足に世間からの耳目を集めることは言うまでもない。ともすれば、ポピュリズムに走る政治家たちの遊び道具にされがちな側面もある。そんな大学入試改革では、果たしてエビデンスが本当に採用されるのかという、教育の固有性や統計的因果推論とはまた違った(あるいは、それ以前の問題かもしれない)、側面を浮かび上がらせるのである。

大学入試に関するエビデンスとして、真っ先に思い浮かぶのが妥当性研究である。妥当性とは、測定しているテストが測定したい能力を本当に測定しているのかということを問う教育測定の概念である。この概念をもとに、大学入試の成績と大学入学後の成績の関係を測定する追跡調査が行われている。ただ、こうした調査では、入学者のデータしかないことが盲点であり、不完全なデータしか揃わない(「切断効果」と呼ばれる)。その結果、本来は、相関があるにも関わらず、合格者や入学者で切断された分布になっているがゆえに、相関がないという結果になる場合が往々にして起こりうる。それを知らずに、相関関係だけを見ていると、つまり、エビデンスに従えば、大学入試なんていらないというような改革案にもなりかねないのである。また、大学に入学してしまえば、学部や学科、コースにどんどん学生が細分化されていく。加えて入試区分までもが多様化しており、入試科目の選択が異なる学生もいるとなると、果たして大学入試の効果がどこまで追跡できるのか。場合分けしていくと、該当カテゴリーの学生が5人を切るという状況もあるので、追跡調査も容易ではなく、結果を検証できない場合も多いのである。

2.カリフォルニア大学の入試改革

こうした中で、最近、著者が関心を持っている、カリフォルニア大学の入試改革の事例を紹介したい。その中で、エビデンスがいかに用いられたのか、に焦点を当てて紹介する。

カリフォルニア大学の理事会は、2020年5月21日に、SAT/ACTからの離脱を決議した。それに先立つ2020年2月3日には、標準テスト・タスクフォース(STTF)が、225頁にわたる、多数の計量分析の記載が盛り込まれた報告書 (注釈1)を、J.ナポリターノ総長の諮問に対して上梓している。この経緯は、2018年7月にJ.ナポリターノ総長が、評議会に対して、大学入学における標準テストについての諮問を行ない、2019年1月カリフォルニア大学の評議会執行部がタスクフォースを招集したことに始まる。その後、2020年2月から3月にかけて教員に対して意見公募手続きを行い、2020年4月に総会が、J.ナポリターノ総長に勧告、2020年5月にカリフォルニア大学理事会に持ち込まれ、冒頭の決議が行われた。ただ、冒頭の決議も、あくまで段階的な離脱であり、2021年と2022年には、標準テストの利用を選択制(「テスト・オプショナル」という)にし、2023年と2024年にはカリフォルニア州の居住者の入学決定には、SATおよびACTのスコアを使用しない(「テスト・ブラインド」という)、としている。そして2025年までに、州内生徒は新しいテストのスコアを提出し、州外の生徒や留学生は新しいテストのスコアを提出するか、大学が決定した方針に従うこととした。また、2025年までに新しいテストが開発できなくとも、州は完全に入試における標準化テストを撤廃するとした。

こうしたカリフォルニア大学の大学入学方針をめぐる意思決定には、同州が人種という属性を大学入学決定に用いないとした、1996年11月に出された住民提案209号によるアファーマティブ・アクション(AA)の禁止が背景にはある。AAが逆差別問題を生じさせるとした1978年のバッキー判決以後、1996年のホッブウッド判決での否定、2003年のグラダー対ポリンジャー判決、2016年でのテキサス大学対フィッシャー判決での再支持などに見られるように、米国の大学入学におけるAAの扱いは常に揺れ動いてきた。現在では、SAT/ACTのスコアが高いアジア系に対する逆差別問題として、ハーバード大学やイエール大学が訴訟されたり、カリフォルニア大学も、2020年5月に段階的な離脱を表明したにも関わらず、同年8月31日にカリフォルニア州の裁判所からカリフォルニア大学が大学入学にSAT/ACTスコアの使用を禁止する仮処分が出されたりするなど、Covid-19の影響によるSAT/ACTの中止も伴い、米国社会を賑わす話題を提供し続けている。

一方で、上記の各種裁判や大学理事会での資料には、各大学における数多くの追跡調査の分析資料(冒頭で述べた困難を孕むのだが)が提出されている。そうした計量分析の結果を踏まえて、如何にSATやACTなどの標準テストが評価されてきたのかという論点は、カレッジボードや各大学、教育産業が行う調査結果も多く出される中、大学入学を舞台にした、大学と大学を巡るステイクホルダーの利害対立や葛藤という観点から見ても興味深い。

3.カリフォルニア大学の入学制度における前提

標準テスト・タスクフォース(STTF)に課されたミッションは、当初から、大学入学決定方法の代替案の提案をゴールに据えられていた。ダグラス(2006)が記しているように、カリフォルニア大学では何度も同じ議論が繰り返されおり、そもそも今回のSTTFのゴールミッションの設定も最初から政治的なものであると言わざるを得ない。

STTFの冒頭に添付された諮問文で、「大学の入学に標準化されていたテストを現在使用しているのかどうかを調査し、大学とその学生がカリフォルニア大学の現在のテストの実施方法、現在の実施方法の修正、別のテスト方法、またはテストの廃止によって最善の結果が得られるかどうかを検討する」ことが求められ、最終的には、「実行可能な勧告を開発する」とされていた。具体的には、「学問的な成功と多様性に関するカリフォルニア大学の目標を達成するために、より効果的な代替評価ツールや代替テストの可能性も検討」するよう求められていた。ここでいう最善の結果とは、カリフォルニア大学が、カリフォルニア州の移民が多い社会状況を鑑み、多様な背景を持つ州内生徒の同大学へのアクセスの確保と、世界有数の研究大学としての学問的エクセレンスの両立を目指すことを指す。そのために、「カリフォルニア大学の現在の包括的な審査と9×9の入試方針(注釈2)の有効性を検討し、試験要件を廃止するか、『受験任意』の方針に移行することの潜在的な利点と欠点を検討した」のである。

まず、カリフォルニア大学の標準テストのスコアの利用状況について確認しておきたい。カリフォルニア大学への入学は、「総合的な入学適格性の判定をおこない、次に総合的な審査を経て、特定のキャンパスによる選抜を行うと言う2段階のプロセスで入学を許可している」とされている。具体的には、州内の高校の上位9%の高校生を、SATなどの標準化テストのスコアの提出を求めることなく、高校成績のGPAだけでカリフォルニア大学に入学させることを行なっており、これを「ELCパスウェイ」と呼んでいる。この割合を拡大させることで、州内学生のアクセスと多様性を高めることを提案し、2010年以降、ELCの割合を増やし続け、2019年には、その割合が新入生の32%を占めるに至っている。さらに、各キャンパスでのスコアの取り扱いは一定ではなく、包括的審査と呼ばれる方法も千差万別である。出願書類の採点で標準化テストのスコアが41%、高校成績のGPAが50%を占めるとするリバーサイド校の事例と、データに基づいた複雑なシステムを採用し、最終的には専攻によって異なるもののスコアの20-25%になるサンタバーバラ校の事例とが紹介されているが、カリフォルニア大学の中で、こうした固定配点方式を採用しているのはこれら2校のみである。また、特に、「キャンパスによっては、奨学金の授与、クラス分け、特別な支援が必要な学生の特定、オナーズプログラムの履修許可など、入学試験以外の目的でも標準化テストのスコアを使用することがある」など、入学後に標準化テストのスコアが使用されることにも注意が必要である。

つまり、米国では、日本の国立大学の入学者選抜でよく見られるような、共通テストと個別テスト(あるいは各種成績資料)の合計点を用いた選抜ではないために、各種スコアの合計点に対する寄与率を単純に算出することはできない。この点は、標準化テストのスコアを選抜に用いる直接選抜ではないという意味で、米国の追跡調査の結果を解釈する際には踏まえておかなければならない。そして、このことは、米国における追跡調査研究が妥当性の枠組みの中で、入学後の何らかの指標を従属変数にした、回帰分析の手法しか取りようがないという検証データの構造的限界にも繋がってくる。

4.STTF報告書に見られた矛盾

STTFの報告書の結論に目を向ければ、まず、「標準化されたテストのスコアが、学部成績の平均(以下、Undergraduate Grade Point Average「UGPA」と略記)、歩留り率、非退学率、など、学生の成功を示す重要な側面を予測するのに役立つ」ことを発見し、高校成績の平均(以下、High School Grade Point Average「HSGPA」と略記)と同程度の予測精度を持っているとしている。更に、西海岸特有の「人口比率以下に処遇されたマイノリティ学生(Underrepresented Minority students:「URMs」と呼称される)や第一世代、または低所得者の家族を持つ学生の方が、テストのスコアによって成功をよりよく予測される」と述べている。また、「カリフォルニア大学は、テストのスコアを評価する際に、学生のコンテクストを考慮に入れている」と評価している。ここまで見れば、大学入学者の決定にSATやACTのような標準テストのスコアを使用しないという結論に何一つ繋がらないどころか、標準テストのスコアを使用する根拠が強力に得られたとも解釈できる。

それにも関わらず、STTFの報告書は、標準テストからの離脱へと結論を反転させている。つまり、カリフォルニア大学が「a. 統一的で定量的な方法で測定でき、b. カリフォルニア大学での成功を予測する可能性が高く、c. 人種、民族、及び経済状態に沿った現行の測定よりも格差が小さくなる可能性のあるスキルと属性のセット」を明らかにし、「多肢選択問題よりも幅広い知識、スキル、推論を志願者に修得させるために、技術の進歩をフル活用した」新しい入学試験を開発することを掲げ、冒頭で述べたように、カリフォルニア大学の理事会は、2020年5月21日に、SAT/ACTからの離脱決定を決議することになる。

ここで指摘できるのは、カリフォルニア大学の理事会の決議と報告書内の結論に、相反する矛盾した関係が存在していることである。その可能性としては、エビデンスに基づかない意思決定をした可能性があるということである。それがいかなる判断によってもたらされたのか、この点を次節以降で紹介していく。もちろん、「公立大学の役割は、単に頭の良い学生を見極めるだけではなく、共通の利益に貢献する情報に基づいた市民を育成することにある」といったカリフォルニア大学の公立研究大学である特殊な立ち位置も考慮に入れておく必要があるだろう。

5.STTF報告書の実証プロセスの検証

次に確認したいのは、標準テスト・タスクフォース(STTF)報告書の実証プロセスである。報告書の第3章で実証されているのは、A「テストスコアがHSGPA(High School Grade Point Average)以上に、学生の成功を予測する精度が高いのか」、B「SATスコアだけを重視した選抜を行なっているのか」、C「標準テストのスコアが人種格差を増幅させているのか」、D「標準テストのスコアがHSGPAの高校間のバラツキを相殺するのか」である。

まず、Aセクションでは、2年次までの歩留り率、初年次のGPA、非退学率、卒業時のGPAを、SATスコアとHSGPAとで、カリフォルニア大学の学生を、親の教育、家族の収入、人種・民族的アイデンティティ別に、スコア帯ごとの割合を棒グラフで示したり、独立変数がSATスコアのみ、HSGPAのみ、SATとHSGPAを投入したモデルでの回帰分析を行なったりしている。ここで得られた結論としては、①カリフォルニア大学での主要な成績指標が、どの属性別データを見ても標準テストであるSATの方が予測性がより高いこと(例えば、初年次のGPAで言えば、HSGPAの重決定係数が .16であるのに対して、SATのみは .21である)、②HSGPAは年収が高くなるほど説明率が上がるのに対して、SATは年収が低いほど決定係数が大きく、HSGPAにSATを加えたモデルの方が決定係数は大きくなることなどが挙げられている。

一方で、カリフォルニア大学では、2012年にELCパスウェイ(注釈3)を拡大する入試制度改革を行い、同大学やカリフォルニア州立大学が指定する高校の大学準備プログラムの履修クラス(A-Gコース)のGPAが3.0以上の全ての生徒に、各キャンパスでの総合的な審査が保証される新しい「入学審査資格」(「ETR」と呼称される)を開始した。そのため、従属変数である7年間の卒業率まで分析しようとすると、7年もの長期に渡って分析データを遡る必要が生じ、入試改革の検証は容易ではない。報告書では、この追跡調査のジレンマについて、「長期的な結果対策を優先することと、政策変更の結果を迅速に分析できることとの間には、トレードオフがある」と指摘する。

次に、Bセクションでは、キャンパスごとに、SATスコアとHSGPAを標準化して、それぞれの値を1標準偏差ごとに4段階にわけ、クロス表を作成し、入学率をセルごとに比較する検証を行なっている。例えば、一番上の段階のHSGPAで且つ、一番下の段階のSATの高校生でも、カリフォルニア大学全体では84%(全体の選抜率は58%)が入学しているなど、SATの点数が低いことを理由に入学を許可していないわけではないことを指摘している。また、この結果は、キャンパスごとの選抜性の高低の影響を受けるが、もっとも難関なバークレー校でも30%(全体の選抜率は16%)、中程度のサンタバーバラ校では42%(全体の選抜率は29%)、難易度の高くないマーセッド校では91%(全体の選抜率は68%)であり、その傾向は同じであるとしている。また、2018年のデータで、カリフォルニア大学の入学制度である9×9の入試方針である、カリフォルニア州内の高校の上位9%の高校生(ELCパスウェイ)と、州内の上位9%の生徒(彼らを入学審査資格「ETR」ありとする)のどちらにも入ることができなかった学生で、SATの点数が高いことで入学できた学生の割合が、アフリカ系40%、ネィティブ47.1%であることも明らかにしている。

Cセクションでは、まず、横軸にSATやHSGPAの数値帯ごとに、縦軸に全てのキャンパスで入学を許可された者の割合をとって折れ線グラフを描いている。グラフを見ると、明らかに低収入または第一世代(注釈4)、あるいは、その両方の属性を持つ生徒の合格率がどのレンジ帯においても高く、とりわけSATスコアでは、その差が大きいと指摘している。また、志願者と合格者のSATスコアの平均値について、アジア系と各エスニック集団との比較を面グラフで表しており、そこでは、アジア系の志願者と合格者が、どのエスニック集団よりも、一定の差を持って高いことを明らかにしている。このことから、「包括的審査の中で、出願者の文脈を無視せず、且つ、SATスコアも効果的に再編成が行われている」としている。また、これらの分析は、親の教育水準、家族の収入などの要素も投入して行い、「カリフォルニア大学全体の入学状況を見ると、入学者の人種・民族間の格差への影響は予想よりも小さくなっている」と結論づけている。一方で、カリフォルニア大学の入学要件となっているA-Gコースの履修率についても分析しており、カリフォルニア州における12年生(注釈6)かつURMs(注釈5)の生徒での履修率が59.09%であるのに対し、カリフォルニア大学の合格者かつURMsでの履修率になると37.01%と22.06%ptの落差があることを示している。そもそもカリフォルニア大学の入学要件となっているA- G要件を満たしていないURMs高校生の方が圧倒的に多く、当然のことながら、カリフォルニア大学の入学候補者にはそうした生徒は漏れることが「最も大きな要因」であり、標準テストの廃止だけでは「多様性を高めるために期待されるほどの効果がない」と述べている。こうした州の人口比率にカリフォルニア大学の選抜結果が大きく外れていることが、入試改革の大きな動機であることは明らかである。

Dセクションでは、A-Gコースの修得コース数やHSGPA、テストスコアを2008年から2018年まで並べており、カリフォルニア大学に入学した学生の高校時代の学力を示す指標が、全て向上していることを示している。ただ、カリフォルニア州の任意のある2つの高校のSATスコアとHSGPAのスコアについて、合格者と出願者の同時分布を比べた結果、両スコア間には顕著な差があることが示された。そしてこの結果に加え、HSGPAのインフレーションが高所得者層の学校に多い、富裕層の生徒の成績の上昇がそれ以外の生徒と比較して大きいなどという報告から、HSGPAを入試で使用することは「公平性の問題を抱えており、標準テストが高所得者層に有利であるとする懸念を解消する万能薬ではない」と述べている。

いずれのセクションでも、SATスコアの優位性を述べており、STTF報告書第3章の最後では、「コアテストであるSATとACTは、大学レベルのアカデミックな仕事に必要とされる最も基礎的なスキルである英語力と数学の習得度を測定することで、A-Gを補完する」と評価し、研究大学が提供する厳格な学問的機会を享受するために必要なものと強調している。

(大学入試とIR-カリフォルニア大学の入試改革を事例に(後編)に続く)


注)本文は、依頼の趣旨に合わせて、木村(2021)を改稿したものである。 また、カリフォルニア大学における入試制度の変遷については、ダグラス(2006)に詳しい。

注釈1

UC Academic Senate 2020 Report of the UC Academic Council Standardized testing Task Force(STTF), UC, pp.1-228.

注釈2

9×9の入試方針:カリフォルニア大学が新入生の入学を決定する方法である。カリフォルニア州の高校の上位9%の高校生(ELC:Eligibility in the Local Context)と、州内の上位9%の生徒(ETR:Entitled to Review)がUCへの入学を保証される(ただし、キャンパスの指定は必ずしも保証されない)。

注釈3

州内の高校の上位9%の高校生を、SATなどの標準化テストのスコアを提出することなしに、高校成績のGPAだけで入学させるカリフォルニア大学の選抜方式のこと

注釈4

第一世代(first-generation college student):両親が大学学位を有していない学生のこと。例えば、カリフォルニア大学バークレー校では、ダイバーシティの度合いを示す指標の一つとして、第一世代の学生の比率を公表している。

注釈5

URMs(underrepresented minority):アメリカの高等教育機関で学ぶ学生のうちの少数の民族のこと。

注釈6

12年生(12th grade):日本の高校3年生に該当。


    【参考文献】

  • Douglass, A.J. 2006, The Conditions For Admission:Access, Equity, And The Social Contract Of Public Universities, Stanford University Press=ジョン・A・ダグラス、木村拓也監訳2022:『衡平な大学入試を求めて--カリフォルニア大学とアファーマティブ・アクション』九州大学出版会

  • 木村拓也2021:「米国大学入学者選抜における大規模標準化テストSAT/ACTからの離脱決定の論理構造―カリフォルニア大学における標準化テスト・タスクフォース(STTF)報告書の分析」『九州教育学会紀要』48号、pp.25-32.

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