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    公開日
  • 2026年05月18日
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文部科学省が新たに設置 「高等学校振興課」が担う役割とは? 文部科学省が新たに設置「高等学校振興課」が担う役割とは?

文部科学省は2026年度、新たに「高等学校振興課」を設置した。少子化の進行や産業構造の変化、さらにはいわゆる高校授業料の無償化(以下、いわゆる無償化)の拡充など、高校教育を取り巻く環境が大きく変わる中での組織再編であり、関係者の関心を集めている。果たして新組織はどのような役割を担うのか。また、2026年2月に公表された「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)~2040年に向けた『N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想』~(以下、グランドデザイン)」とはどのように連動しているのか。「高等学校振興課」の課長に就任した寺島史朗氏に、再編の背景と今後の高校教育改革の方向性についてお話を伺った。

「高校生への修学支援」と「高校教育改革」を一体で進める「高等学校振興課」

これまで高校制度や産業教育振興など高校教育改革を担ってきた部門と、就学支援金など高校生への修学支援を所管してきた部門は、別組織として運用されていました。しかし、いわゆる無償化の議論が進む中で、「修学支援の拡充とあわせた高校教育改革の必要性」が広く認識されるようになり、組織の在り方そのものも見直しが求められていました。

こうした流れを受け、「高校生への修学支援」と「高校教育改革」を統合し、一体的に進める体制へと転換しました。実際、保護者の負担軽減によって進学機会が広がれば、高校の教育内容や学校選択の在り方も変化します。一方で、教育の質や魅力が伴わなければ、修学支援の拡充の効果も十分に発揮されません。「保護者の負担軽減と教育改革は両輪であり、同時に動かす必要がある」という考えが、今回の統合の出発点となっています。

また、高等学校振興課は約70人体制へと組織規模も大幅に拡大し、文部科学省内でも最大級の体制となっています。課内には、「産業教育振興室」「高校教育改革室」「高校修学支援室」の3室が設けられています。

1つ目の「産業教育振興室」は専門高校などを含む産業教育全般の振興を担当します。2つ目の「高校教育改革室」はグランドデザインや、高等学校教育改革促進基金(以下、基金)を活用した改革の具体化などを担います。3つ目の「高校修学支援室」は、2026年4月から始まった就学支援金の拡充など、高校生への各種修学支援を担当しています。

修学支援の拡充はグランドデザイン策定の契機とも位置づけられており、制度開始直後の現在、各学校での申請受付や自治体での審査が進められています。文部科学省としては、都道府県への資金配分はすでに完了しており、申請に応じて支払いが行われる仕組みが整っています。学校によって、授業料のうち支給上限額を超える額のみを納付する仕組みと、いったん全額を納付し後に還付する形とがあります。文部科学省としては、支給の早期化や、少しでも保護者の負担が軽減するように取り組みを進めているところです。

実行計画と基金で改革を展開

こうした新体制の下で、グランドデザインは中核となる政策です〈図〉。これを踏まえ、各都道府県では実行計画の策定が進められています。教育委員会にとどまらず、知事部局や産業界、市町村、さらには生徒や保護者の声も取り入れながら、幅広い関係者がかかわる形で検討を進めることが重要です。

<図>グランドデザインに基づいた高校教育改革の流れ
<図>グランドデザインに基づいた高校教育改革の流れ

※文部科学省資料を基に河合塾で作成

こうした実行計画と並行して展開されているのが、基金を活用した先導的な取り組みです。各都道府県が提案する拠点校の高校教育改革の取り組みについて国が審査・採択した後、各都道府県が基金を活用し、パイロットケースとなるような拠点校の改革を進める仕組みです。将来的にはその取り組みや成果を域内の高校に普及することが目的です。複数回の募集が行われていますが、この審査は一度却下されたとしても、再チャレンジできるよう柔軟な体制を整えていきたいと考えています。実際、審査を受けて初めて改善点が見えてくることもあると思います。そのような場合は、改善点をクリアできるのであれば採択する、といったふうに今後制度設計していきたいと考えています。

伴走支援で現場の改革を後押し

さらに、文部科学省も各都道府県を支える形で「伴走支援」にも力を入れていきます。具体的には、別途予算(補正予算額5億円)を計上し、「伴走支援事業」として改革先導拠点の実施にあたる都道府県の進捗確認・評価に加え、類型ごとにノウハウの共有や外部の専門家の活用を行い、カリキュラム改革や授業改善に関する助言を行う体制を整備するなど、各都道府県等の取り組みを支援する予定です。

こうした支援は、単なる資金配分にとどまるものではありません。今後、文部科学省の職員が個別の自治体に対して顔の見える形でかかわり、単にアドバイスするのではなく、共に動く形で課題の整理や方向性の検討を行っていくことも視野に入れています。都道府県の中には、実行計画や先導拠点校の取り組みについて、何から着手すべきか悩むケースもあるかもしれません。

そうした自治体に対しても、たとえば、「隣の県はこんなふうに工夫していますよ」といった情報を共有し、自治体同士のネットワーク形成も進めていきたいと考えています。今回の基金はどこの都道府県が勝ったとか負けたとか、そういう話ではありません。優れた実践を共有しながら、全体の底上げを図ることに意義があります。こうした取り組みを通じて、改革の広がりを後押ししていきます。

もっとも、こうした制度や仕組みの整備はあくまで出発点にすぎません。基金は3年間の事業期間を設けていますが、文部科学省としてはこれを一過性の取り組みに終わらせるのではなく、契機として高校教育全体の変革につなげていくことが重要だと考えています。だからこそ、知事、教育委員会、学校、産業界、保護者や生徒が同じ方向を向き、地域の高校の在り方を自分事としてとらえられるかが、改革の成否を左右します。文部科学省も現場と歩調をあわせながら伴走していく考えです。共に高校教育改革を盛り上げていきましょう。

寺島 史郎(てらしま・しろう)

文部科学省 高等学校振興課長 寺島史朗氏

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