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    公開日
  • 2026年06月15日
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新しい学びの拠点 東北大学ゲートウェイカレッジ

ポイント!
  • 約半数を留学生とする国際共修環境を実現
  • 分野横断的に学び3年次以降学部に所属
  • 大学院進学を前提として総合型選抜で募集
  • この記事は、進学情報誌Guideline2026年4・5月号大学をみる視点「国際卓越研究大学がめざすもの」掲載記事(2026年3月に取材)より作成しました。最新情報は、大学のWebサイトをご覧ください。

    東北大学 ゲートウェイカレッジ

    狙いはグローバルレディネスの育成

    東北大学が2027年4月に新たに設置する「ゲートウェイカレッジ」は、国際卓越研究大学に認定されたことを背景に、研究大学としての理念を学部段階から徹底するために構想された学部教育プログラムで、大学院進学を視野に入れ、留学生と一緒に学ぶ国際共修が大きな特長になっている。

    「本学は『研究第一』『門戸開放』『実学尊重』の3つの基本理念を掲げており、世界の課題に挑む人材の育成を目標としています。研究成果を社会に還元し、世界をより良くするという使命を果たすには、学生が早い段階から世界と接続し、多様な価値観に触れながら主体的に学ぶ環境が必要だと考えました」と滝澤博胤理事は国際共修の意義を語る。

    東北大学では2,000名以上の留学生を受け入れており、博士課程も約3割が留学生という環境を実現しているが、学部段階での留学生比率は約2%。そこで学部段階から世界に目を向け、多様な価値観の中で学ぶ準備ができた状態、すなわち「グローバルレディネス」をはぐくむことが重要との発想が、ゲートウェイカレッジ構想の出発点になった。

    ゲートウェイカレッジの教育理念は3つのキーワードに集約されている。

    世界最先端の研究環境に浸り、国際的な研究者や留学生と学ぶことで、日本の均質な教育環境では得にくい多様性を体得し、未知の課題に対して多角的に向き合う力を育てる「Immersion」、自ら問いを立てて主体的に学び、多様な背景を持つ学生と議論することで、自らの考えを深める「Inquiry」、学んだ知識や経験を社会課題の解決に結びつけ、新たな価値創造へとつなげる「Innovation」だ。

    「レイトスペシャリゼーション」を実現

    ゲートウェイカレッジのカリキュラム<図>における大きな特色の一つは「レイトスペシャリゼーション」だ。

    <図>ゲートウェイカレッジ カリキュラム
    <図>ゲートウェイカレッジ カリキュラム
    ①入学前教育
    4月または10月のいずれかで入学、入学前から英語力や日本語力などを伸長するプログラムを受講
    ②入学後は「英語に浸る」

    半年間の「英語イマージョン教育」

    外国人留学生との共修を体験

    グローバルな環境で活躍できる能力を身につける

    ③学生一人ひとりが自ら学びを計画

    世界や社会の課題に挑む国際共修科目

    AIリテラシーなど次世代の知をはぐくむ先端科目

    幅広い教養・分野横断的な基礎科目

    早期からの研究機会(プレラボ)

    ④高年次(3年次以降の所定の時期)に専攻分野を決定
    各分野の最先端の研究者からの深い学びで専門性を修得
    ⑤国内外の大学院に進学
    「革新的な専門性」を備え、国内外の大学院へ進学し、世界的な課題やイノベーションを創出する人材として社会に貢献

    ※東北大学提供資料を基に河合塾で作成

    学部・学科を決めずに入学し、さまざまな分野を幅広く学んだうえで、人文・社会科学系に進む学生は3年次から、理工系・生命科学系に進む学生は物理・化学・生物の基礎を共通で学んだ後、4年次から既存の学部・学科に所属して専門領域を深め、大学院に進学していくシステムを採用している(注記)

    「中高段階で文理分けが行われ、特定の科目を学ばないまま専門教育に入っていくような学び方で、研究を推進していく力をはぐくむことができるのかという疑問はだれもが持っているはずです。加えて大学4年次までに他分野を知らずに卒業してしまう学生もいます。」

    「そこで、大学院進学が前提であれば、高等教育の入り口で多くの学術分野に触れ、『総合知』を身につける時間を確保できるはずだと考えました。希望する学部に可能な限り進学できるような仕組みを整えたいと考えています。」

    現在、同大学の理工系学部では約9割の学生が大学院に進学しているが、文系学部は2割を切っている。ゲートウェイカレッジにはそうした現実を打破し、人文社会科学系を修めた専門人材を輩出していきたいとの狙いもある。

    入試は総合型、海外での入学前教育も実施

    東北大学は2000年度入試に「AO入試」を導入して以来、その規模を年々拡大し、現在は総合型選抜での入学者が3割を超え、国立大学の中で最大規模となっている。その過程で得た知見や、追跡調査の結果も踏まえ、ゲートウェイカレッジでは一般選抜は行わず、総合型選抜のみを実施する。

    ゲートウェイカレッジ|東北大学アドミッション機構

    「国際共修に必要な英語力は求めますが、検定スコアなどの出願要件は設けず(注記)、入学後の英語教育に力を入れる形にしたいと考えています。」

    入試は年2回行われ、4月入学(第Ⅰ期)は主に日本人、10月入学(第Ⅱ期)は主に留学生が対象だ。両方に出願することはできないが、東北大学の他の入学者選抜との併願は、試験日程が重ならない場合に限り可能だ(注記)。学部を決めない一括募集の形を取るが、高校教育の現状にかんがみ、入試区分は大きく文系と理系に分ける予定だ。

    4月入学(第Ⅰ期)の第1次選考は筆記試験、第2次選考は面接試験が課され、大学入学共通テストは課されない。

    「筆記試験では論理的な思考力や読解力、課題を発見する力、自分の考えを他者に伝える表現力などを測りたいと考えています。文系でも数理的な思考力を見るほか、理系では自然科学に関する基本的な素養を確かめるような出題を想定しています。」

    4月入学の場合、12月までに合格が決まるため、合格直後から英語に関する入学前教育がスタートする。その一環として、現在AO入試Ⅱ期の合格者に対して実施している入学前海外研修と同様の海外研修プログラムを実施する計画になっている。

    入学後の特に最初の半年間は、集中的な英語イマージョン教育により、多様な学問分野を学ぶのに必要な英語力を鍛え、10月からは留学生とともに英語で「総合知」を獲得していく、ゲートウェイカレッジならではの授業が本格的に始まることになる。

    国際共修を支える一つの柱として、入学後1年間は国際混住寮で留学生と一緒に寮生活をすることも決まっている。生活を共にすることが英語環境に慣れるためには最も効果的だと考えているからだ。

    「ゲートウェイカレッジの募集人員は約180名と少ないですが、2050年には学部教育全体を国際共修型に転換する将来構想を描いており、入試も全面的に総合型選抜に移行する計画です。その実現のためにもアドミッション機構を拡充し、国内外から多様性のある優秀な学生を迎えることで、研究大学としての基盤を強固にしていきたいと考えています。」


    滝澤 博胤(たきざわ・ひろつぐ)

    東北大学 理事・副学長(教育・学生支援担当)

    (注記)
    学部決定フロー、語学基準・入試時期は、東北大が「ゲートウェイカレッジ」を創設 2027年度から​ | 河合塾レポートをご覧ください。

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