教育関係者のための情報サイト

    公開日
  • 2026年08月03日
ホバー時に表示

東京都立大学 GLIDe(共創学部)

この記事のポイント!
  • 全授業を英語で提供し、文理複眼で学べるカリキュラム
  • 1年間の海外留学後に専門領域を決定
  • 一般選抜は大学入学共通テストと小論文(前期日程)・面接(後期日程)で選抜予定
    • この記事は、進学情報誌Guideline 2026年7・8月号掲載時点のものです。
    • 記載内容は構想中のものであり、今後変更が生じる可能性があります。

    進学情報誌Guideline 2026年7・8月号(電子書籍版)

    課題解決にとどまらず、新たな価値を創造できる人材を育成

    学部教育で国際化を実現

    2028年4月、東京都立大が国際系学部のGLIDe(共創学部)を開設する予定だ。近年、設置が目立つ学部名称だが、英語名称「Faculty of Global Innovation and Development」が先に決まり、後からその教育内容に見合う日本語を当てた経緯がある。そのため学内ではGLIDe(グライド)という略称で統一されている。

    「国際系学部の多くは文系に軸足があるため、差別化のため理系にも重点を置きつつ、文系と理系、日本人学生と留学生など、異なる文化や価値観を持つ人たちが互いを理解しながら課題解決をめざし、新たな価値を創り出していく、そんな学びを“共創”という言葉に込めました」と国際化担当の野口昌良副学長は振り返る。

    一般に大学教育は法学や経済学、工学、生物学といった既存の学問体系(ディシプリン)を基盤に組み立てられており、それらの専門性を課題解決に生かそうとする。GLIDeの発想は逆だ。まず現実の社会課題に目を向け、それを解決するのに必要な学問的アプローチを探るという流れになっている。

    「なぜなら都市問題や環境問題、人口問題といった現代の重要な社会課題は、単独のディシプリンだけで解決できるような単純なものではないからです。必要に応じて必要な学問を自ら学んでいく、これがGLIDeの基本的な考え方です。」(野口副学長)

    レイトスペシャライゼーションを採用

    カリキュラムは「地域社会」「国際政治」「開発経済」「都市科学」「生態保全」の5つの専門領域に分かれている<図>。前者3つは人間の行動にかかわる領域、残り2つは環境関連の科学技術にかかわる領域で、大都市や地球規模の課題解決に必要な視点でもある。

    <図>東京都立大学GLIDe(共創学部)概念図
    <図>東京都立大学GLIDe(共創学部)概念図

    興味深いのは、入学時点で専門領域を決めないレイトスペシャライゼーションを採用したことだ。学生は入学後1年半の間、これら5領域を一通り学ぶ。そして、1年間は海外留学が必須になっている(留学生は国内留学または企業実習)。現在、GLIDeの教育内容と親和性の高い海外大学との連携を拡大中だ。いと考えています。

    帰国後は、留学先での経験を踏まえて自分が専門とする領域を選択することになるが、その場合も、必ず別の領域と併せて学ぶことになっている。

    「育成したいのは、一つの専門領域に精通した人材ではありません。科学技術をきちんと学んだ政策立案者や、各種法令に精通したうえで開発を進められる技術者など、複数領域の素養を持ちながら課題解決に主体的に取り組める人材なのです。」(野口副学長)

    専門領域別の学修と並行して「国際教養科目」が4年間通して用意されている点も特徴と言える。哲学などのリベラルアーツ科目を通して、自己理解や他者理解、社会を見る目を体系的に身につけていくわけだ。

    「世界で活躍している若きグローバルリーダーが自分を語る言葉を持っているように、リベラルアーツ科目を通して個を確立する教育もきちんと行っていきます」と開設準備担当部長の宮林常崇氏は補足する。

    教員の国際化も進めている途中だ。英語で行われる授業と併せて、これまでの大学の授業のイメージが「劇的に変わる」(宮林氏)ことが予想される。

    「GLIDeは本学の中に別のカレッジができるようなものです。将来的にはフラッグシップファカルティに成長することが期待できますし、本学の教育を変える起爆剤になればと思っています。」(野口副学長)

    入試では英語資格・検定試験のスコアが必須

    入試については未確定の内容もあるが、現時点では一般選抜(前期日程・後期日程)のほか、総合型選抜や学校推薦型選抜など、複数の選抜方法で多様な学生を受け入れる方針で、初年度の入学定員は日本人学生50名、留学生25名になる予定だ。

    授業科目は原則英語で提供されるため、一般選抜ではCEFRのB1以上、その他の選抜ではB2以上に相当する英語資格・検定試験のスコアが出願条件となる予定である。

    東京都立大学校舎

    一般選抜では大学入学共通テストの受験を必須としたうえで、二次試験は学力試験ではなく、前期日程は小論文、後期日程は面接を行う予定である。テクニカルな学力試験の成績よりは、課題解決に対する姿勢の方が重要だと考えているからだ。

    「潜在能力を持った多様な学生が入り混じることが共創につながると考えているため、できるだけ入学生像を均質化しないような選抜を想定しています。文系でも理系でもいいし、数学が得意でなくてもいい。英語は嫌いだと困りますが、苦手科目は入学後のリメディアル教育で十分にカバーできると考えています。」(野口副学長)

    これまで経済的な理由で海外大学を断念していた高校生や、文系・理系の枠に違和感のある高校生、さらには既存の大学教育に物足りなさを感じている高校生にとって、GLIDeは低廉な学費や手厚い留学の経済支援とも相まって魅力的な選択肢を提供することになる。

    「GLIDeはグローバルな課題解決に取り組もうという人を本気で育てる覚悟を持って準備を進めています。数学や英語にそれほど自信がない人も、やる気があるのであれば、ぜひあきらめないで挑戦してほしいと思います。」(宮林氏)

    関連コンテンツ

    高校の先生方向けの情報誌です。高校教育・大学教育・大学入試に関する分析記事や、インタビュー記事を掲載しています。UTokyo College of Designや東北大学ゲートウェイカレッジなど、難関大の教育改革や入試改革について随時掲載しています。


    全科目を英語で提供し、秋入学や「学部等連係課程」による全学部の知の結集、必修の課題解決プロジェクトなど、多文化環境で世界とつながる新たな学びについて伺いました。

    ホバー時に表示

    PAGE TOP