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    公開日
  • 2025年08月18日

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高校教員アンケート次期学習指導要領
観点別評価の見直し賛成が8割 高校教員アンケート 次期学習指導要領観点別評価の見直し賛成が8割

 次期学習指導要領に向け、観点別学習状況の評価(以下、観点別評価)の見直しが検討されている。河合塾では高校教員アンケートを実施。多くの高校教員が観点別評価に課題を感じ、見直しを肯定的に見ていることが明らかになった。

PDFでご覧になりたい方はこちら(入試・教育トピックス)

次期学習指導要領に向け観点別評価の見直し進む

 中央教育審議会教育課程企画特別部会(以下、特別部会)では、次期学習指導要領に向けた検討が進められている。

 「豊かな学びに繋がる学習評価の在り方~過度な負担を生じさせない在り方との両立~」がテーマとされた第10回(7月4日)では、現行の「主体的に学習に取り組む態度」にあたる部分を評定には反映させない方向性が示された<図1>

<図1>新たな観点別評価のイメージ
<図1>新たな観点別評価のイメージ(中央教育審議会教育課程企画特別部会第10回資料より河合塾作成)

 そこで学校法人河合塾では、高校・中等教育学校の先生方を対象にアンケートを実施。観点別評価が高校にも本格導入された2022年度以降、3年間の実践を振り返るとともに、特別部会で示された方針について意見を聞いた。

観点別評価の見直し賛成が8割超

 まず、自校での過去3年間の観点別評価を振り返っていただいたところ、「うまくいった」と「うまくいかなかった」がそれぞれ約5割と、ほぼ拮抗した。一方で、回答者の9割が観点別評価に「課題を感じる」と回答。これらの割合は、2023年に河合塾が行った調査の結果とほぼ同様である。観点別評価の見直しの方向性については、「賛成」が8割を超えた<図2>

賛成理由としては、次のような課題を挙げるものが目立つ。

  • 評価方法の確立・評価規準の統一の難しさ
  • 公平・公正な評価の難しさ
  • 評定平均値の変動
  • 生徒の学力低下・学習意欲低下
  • 教員の業務負担
    一方、次の理由などから反対する先生方も見られる。
  • 評価方法を具体的に考えるべき
  • 主体性の育成への悪影響
  • 評定が下がると思われる生徒の存在
  • 評価の変質への懸念

具体的なコメントはPDF版(入試・教育トピックス)をご覧いただきたい。

<図2>主体的に学習に取り組む態度を評定に直接反映させないことへの意見
<図2>主体的に学習に取り組む態度を評定に直接反映させないことへの意見
(河合塾観点別学習状況の評価に関するアンケート2025より。2025年7~8月に実施。回答数158件)

「学びに向かう力、人間性」育成の重要性は変わらず

 観点別評価については、かねてから多くの課題が指摘されていた。見直しへの「賛成」の声の多さからも、今回の変更案は、学校現場の実態を踏まえた対応と考えられる。

 しかし、評定に反映させないこととなっても、「学びに向かう力・人間性」育成の重要性は変わらない。

 特別部会第6回(4月25日)では、「学びに向かう力、人間性等」自体も再整理する方向が示されている。

今後の検討の中で、「学びに向かう力、人間性」がわかりやすく再整理されるとともに、生徒の成長につなげられる個人内評価の在り方や、「知識・技能」「思考・判断・表現」と合わせた評価の方法について、教員の過度な負担を強いない形で、具体的に示されることを期待する。

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変わる高校教育 観点別評価

  • 観点別評価に関する高校教員の声を、2023年度実施アンケートから紹介
  • 観点別評価の意義について、京都大学・西岡加名恵教授の解説記事を掲載
  • 高校の観点別評価の実践事例を掲載

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