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ゼミ研究室を知ろう!ゼミ研究室ナビ

大学での学びは、高校までとは大きく異なります。高校までは、クラスの全員がほぼ同じ時間割で、ほぼ同じ内容の授業を受けることが多いでしょう。ところが大学では、受ける講義について選択の自由度が高く、カリキュラムに沿った、学びたいテーマを中心にした自分だけのオリジナルな学び方ができます。

ここでは、大学ならではの学びといえる「ゼミ」「研究室」を中心に、大学での学びの特徴を紹介しましょう。

1高校とは違う!大学での学び

自分だけの時間割を作成し、興味や関心のある講義を自由に選び受講する

高校と大学での学びは、授業を受ける教室、時間割、授業時間、授業の受け方・学び方など、あらゆる点で大きく異なります。それらを【一般的な高校と大学の学びの違い(例)】として下表にまとめました。多くの場合、高校では、一つのクラスの生徒全員が、決められた教科・科目を先生から教科書をもとに「教えてもらう」といった「受け身」の勉強スタイルが中心です。

一方、大学では、学部・学科ごとの授業内容がシラバス(講義概要)上に公開されており、学生はカリキュラムに沿って、学びたい内容や将来の目的に合わせた授業を自由に選択します。必ず受講しなければならない必修科目もあるものの、自分が学ぶ内容を自由に選択可能なのが大学での学び。幅広い教養や基礎的な専門知識をベースにして、高度な研究を進める方法や問題の解決能力を身につけ、新しい理論や解決策の創造に挑みます。大学では、自分から授業や実習・研究などに積極的に参加する「能動的・主体的な学びの姿勢」が強く求められます。

一般的な高校と大学の学びの違い(例)

内容 高校 大学
教室 ほぼ同じ教室 受講する授業によって異なる
時間割 ほぼクラス全員が同じ シラバス(講義概要)から各自が自由に選択する
1コマ
(授業時間)
50分 90〜105分
授業形態 一つの教室で授業を受講 講義、演習(実験)、ゼミ研究室
人数 40名前後で一定 数人から数百人で、授業ごとに異なる
クラスメイト ほとんどの授業で同じ 各講義や演習で異なる
ホームルーム
・朝礼
あり なし
教員 教科ごとに教員免許状が必須 専門の研究者(教員の資格は不要)
教養科目 特になし 専門の科目以外も幅広く学ぶ
単位認定 出席して、定期テストで評価され、認定されることが多い レポート提出、テスト、プレゼンなど、多様な評価の方法があり、評価次第で認定されない場合もある

2大学ではどんな問題に取り組むの?

正解のない問題に自分なりの結論を導き出す

高校までは、教科書を使い、「正解」がわかっている問題を扱います。教科書に書かれてある内容を正しく理解して、覚えることが基本的な目標です。

一方、大学では、「正解」がない課題、答えがわからない課題に取り組み、「いままで誰もやったことがない」研究に挑戦します。例えば、「地球環境保護」という課題は、現代の人類が直面する重要な課題のひとつですが、「ただひとつの正解」はありません。法律や経済、文化や宗教、理学や工学など、様々な研究分野から課題解決へのアプローチが可能です。学生自身が課題を見つけ出し、これまで身につけてきた知識や技術を応用して、課題の分析・解明、その解決への手法・技術などの創造をめざします。

Column「大学らしい学びのスタイル」
学生が積極的に参加する能動的・主体的学び「アクティブ・ラーニング」

最近の大学では、教員からの講義形式や実験・実習などのほか、学生が積極的に授業に参加する「アクティブ・ラーニング」を採用するケースが増えています。具体的には、発見学習、体験学習、グループ・ディスカッション、ディベート、グループワーク、フィールドワークなどです。学生自ら問題意識を高め、積極的に授業に参加することで、幅広い能力を習得できます。

そのひとつにPBL があります。PBL とは、課題解決型授業(Problem-Based Learning)あるいは、プロジェクト型授業(Project-Based Learning)の略です。与えられた課題に対して少人数のグループで、教員の助言を受けつつ、議論や検討を重ねて具体的な解決策を模索するなかで、能動的かつ主体的な学びの姿勢を身につけられます。

3Q&Aで「ゼミ」「研究室」に関する基本的知識を確認しよう

Q1.「ゼミ」「研究室」って?

A.学生が主役となる「大学らしい学び」のスタイル

少人数の学生が教員を囲んで発表や討論を行うゼミナール(ゼミ)。専門分野の研究テーマに学生が主役となって取り組む演習形式の授業で、自主性や積極性が求められる、大学らしい学びのスタイルです。専門的なテーマを扱うため、3年次または4年次からゼミ(専門ゼミ)を始める大学が一般的ですが、近年では、大学における基礎的知識や学生生活、学び方などを教える「導入ゼミ」、幅広い教養を学ぶ「教養ゼミ」、専門分野の基礎的な内容を学ぶ「(専門)基礎ゼミ」などを1、2年次から始める大学も増えています。

なお、先生が研究に携わる部屋を「研究室」と呼びます。文系の場合、実質的に「○○研究室=○○ゼミ」とされる場合が多いようです。理工系の場合では、学生は原則的に「研究室」に所属し、専門分野の研究に取り組みます。その研究室の活動のひとつとしてゼミがあります。

Q2.どんな授業形態なの?

A.少人数で多様な研究テーマに柔軟に取り組む

ゼミや研究室は、一般的に数名から20名程度という少人数で構成されます。文系の学部では、専門書や論文の輪読をはじめ、プレゼンテーションや質疑応答による双方向の討議・議論などを通じて、担当教官の指導のもとで課題解決に迫ります。理系学部の場合は、教員が開設した研究室に所属し、大学や研究室にある実験装置を駆使しながら、専門分野の研究に取り組み、研究スペースも与えられます。ゼミ研究室には、大学院生や留学生などが在籍するケースも多く、人的交流の輪も広がります。

教室のなかだけでなく、研究対象となる地域などを訪問するフィールドワーク(現地調査)も積極的に実施します。企業との共同研究を進めるゼミ研究室もあります。さらに、海外研修に出るゼミや、国内外での学会発表に参加する研究室など、活発な活動を展開させています。

Q3.何を学ぶの?

A.研究課題に対してその研究手順や分析・解決法を学ぶ

自らが選んだ分野を軸に、誰も解決したことのないような難しい問題や専門性の高い研究テーマに取り組みます。数年にわたって研究が続くテーマを先輩から引き継いで研究する場合もあります。ゼミ研究室の仲間とともに問題点を明確化して、その課題にどう対応し、どう研究するべきか、その具体的な解決策や研究手順などを探究します。様々なテーマや研究に取り組むことで、能動的に学び研究する姿勢を身につけ、実社会で役立つ「企画力」「対応力」「研究力」などの実践的な知識と技術を修得していきます。

Q4.どう発表する?

A.プレゼンテーションや論文で自分の考えをアウトプットする

調査や研究・実験の成果などをレジュメにまとめ、出席者の前でプレゼンテーションを行うスタイルが一般的です。発表した内容に対しては、教員や学生から突っ込んだ質問が浴びせられます。この厳しい議論・討論によって、自分だけでは見えなかった角度からの課題へのアプローチ、解決策への道筋など、新しい展開が開けます。専門分野のプロである教員からは、きめ細かで適切な指導も受けられます。これらの成果は、「卒業論文」「卒業研究」としてまとめたり、学会や国際会議などでの発表につながります。

Q5.先生の魅力とは?

A.研究分野の専門家であり、相談相手であり、実社会への起点でもある

ゼミ研究室で指導にあたる教員は、高い研究実績をもつ専門家です。しかも専門分野における研究に加えて、企業や組織で活躍した経験を持つ教員も少なくありません。多様な体験に基づくアドバイスは、学問の実社会への役立て方、社会人としての生き方など、貴重なヒントに溢れています。さらに教員の持つ人的ネットワークは、所属する学会、他大学、一般企業や国内外の研究機関などへと広がっています。産学連携による人材交流や共同研究の仲介役としてもゼミ研究室の教員が重要な役割を果たします。

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