2027年度 大学入試環境と最新入試動向全統模試から見る2027年度入試の志望動向

ここからは、この夏実施した第2回全統共通テスト模試の結果から見る2027年度入試の志望動向についてお伝えします。模試の受験者は前年比97%となりました。文理別に見ると理系が減少しています。文理比率の推移<図表7>を見ると、近年は理系の比率が高まっていましたが昨年から文系比率が増加に転じ、特に今年は目に見えて文系比率が高まっています。大学では理系シフトが進みつつありますが、受験生の志向は必ずしも合致していない状況です。

志望校登録状況を見ると、国公立大の志望者数は前年比96%で模試受験者の減少率とほぼ同じです。国公立大離れや、逆に国公立大の人気が高まるといった顕著な動向は見られず、昨年と大きく変わらない状況です。

一方、私立大では一人あたりの志望校登録数が増えています。この傾向が続くとすれば、入試本番で志願者数の増加につながる可能性があります。

<図表7>第2回全統共通テスト模試 文理比率の推移
<図表7>第2回全統共通テスト模試 文理比率の推移

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  • 第2回全統共通テスト模試より(以降、すべて同じ)

国公立大の動向

国公立大は難関大志向が鮮明

国公立大入試の中心である前期日程の志望者数は前年比96%となりました<図表8>。次いで、後期日程が前年比89%、中期日程が同89%となっています。8月の時点では中・後期まで志望校を絞り込めていない様子がうかがえます。

大学グループ別に見ると、旧帝大を中心とした難関10大グループは101%で前年並みです。準難関・地域拠点大グループは前年比96%となりました。2つのグループを除いた「その他大」グループは同93%です。難関大志向が鮮明となっています。

難関10大の志望者の内訳を見ると、既卒生は前年比105%で、現役生以上に難関大志向が強まっています。また、女子の増加率は文系よりも理系のほうが高く、理系女子の増加が目立ちます。このように人気を維持している難関10大ですが、大学により動向は異なります。東京大・一橋大・京都大はいずれも前年の志望者数を超えており、今年は難関10大の中でも最難関クラスの大学に志望者が集まっていると言えます。ただし、統合3年目を迎える東京科学大は同95%と志望者が減少しました。理系生の減少が影響していそうです。

<図表8>国公立大 志望動向(日程・大学グループ別)
<図表8>国公立大 志望動向(日程・大学グループ別)

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  • 数値は志望者前年比(%)
  • グループ大は前期日程で集計
  • 難関10大:旧帝大+東京科学・一橋・神戸
  • 準難関・地域拠点大:筑波・千葉・東京都立・横浜国立・新潟・金沢・大阪公立・岡山・広島・熊本

志望者減少は成績中・下位層で目立つ

各大学グループの成績層ごとの動きを示したものが<図表9>です。大学グループ別に、志望者の共通テスト模試得点率別の構成を昨年と今年で比較しています。成績層別に5つのグループに分け、右に行くにつれて高成績層になります。

①難関10大では、各成績層の志望者数に大きな変化は見られず、志望者の成績構成もおおむね前年並みとなっています。一方、②準難関・地域拠点大では志望者が減少しており、特に「得点率60%以上80%未満」の層で減少が目立ちます。「得点率60%未満」の層がほぼ前年並みであることを踏まえると、中間の成績層を中心に志望者が減少していることが特徴です。

③その他大では、ボリュームゾーンである「得点率60%未満」と「60%以上70%未満」の層で志望者の減少が目立ちます。特に「60%以上70%未満」は前年比88%と減少幅が大きくなっています。難関大志向により、この大学群への関心が低下している様子がうかがえます。

<図表9>共通テスト模試得点率別 志望者構成
<図表9>共通テスト模試得点率別 志望者構成

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国公立大は文系人気、医療系不人気

国公立大の系統別の志望状況を確認していきます。<図表10>の棒グラフは各学部系統の志望者前年比です。医・歯・薬・保健のみ系統内の分野の状況を抜粋しています。グラフ内の横線は、前期日程全体の前年比96%のラインを示しており、このラインより上なら人気、下なら不人気を示します。全体的な傾向としては、文系が人気で医療系が不人気という動向になりました。文系では「法・政治」「経済・経営・商」が前年比99%となりました。この2系統では成績上位層が増加しています。また「法・政治」系では女子志望者の増加も見られました。理系では「理」「工」が全体とほぼ同率となり、「農」は前年比99%となりました。理系のこれらの系統では、いずれも女子志望者が増加しています。医療系の分野別では「歯」「薬」は前年並みの志望者数ですが、その他は減少しました。特に「看護」は前年比90%と大きく落ち込んでいます。

<図表10>国公立大 学部系統別の志望動向
<図表10>国公立大 学部系統別の志望動向

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  • 前期日程で集計
  • グラフ内の数値は志望者前年比(%)、医療系のみ系統内の分野(抜粋)も表示

私立大の動向

私立大は都市部の大規模大が人気

次に私立大の志望動向を確認していきます。私立大全体の志望者数は前年比96%と減少しました。大学グループ別では、大学グループ計は前年比99%、それ以外の「その他大」は同91%となり、都市部の大規模大の人気が高いことがわかります。

国公立大では「その他大」の志望者の減少率が高く、また中・後期の志望者も大きく減少していました。難関・準難関大を除く国公立大よりも都市部の私立大を志望する受験生が増加していると想定されます。

なかでも注目したい点は首都圏の現役生と既卒生の動向です。現役生では、「早慶上理」「MARCH」の前年比が「日東駒専」「成成明國武」より高い一方、既卒生では「日東駒専」「成成明國武」の増加率が高くなっています。今春入試では、「MARCH」「日東駒専」「成成明國武」のグループで倍率の上昇が目立ちました。既卒生は今春の一般選抜難化を受け、幅広く併願を検討しているようです。

<図表11>私立大 志望動向(主要大学グループ別)

<図表11>私立大 志望動向(主要大学グループ別)

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  • 数値は志望者前年比(%)
  • 早慶上理:早稲田・慶應義塾・上智・東京理科
    MARCH:明治・青山学院・立教・中央・法政
    日東駒専:日本・東洋・駒澤・専修
    成成明國武:成蹊・成城・明治学院・國學院・武蔵
    首都圏理系10大学:千葉工業・北里・工学院・芝浦工業・東京工科・東京電機・東京都市・東京農業・麻布・神奈川工科
    首都圏女子13大学:大妻女・共立女・白百合女・実践女・昭和女・聖心女・清泉女・津田塾・東京家政・東京女・日本女・東洋英和女・フェリス女
    関関同立:関西・関西学院・同志社・立命館
    産近甲龍:京都産業・近畿・甲南・龍谷

入試科目の変化による志願者の増減に注意

少数科目で受験できる私立大では、科目の増減が動向に与える影響は小さくありません。入試科目が減少すると、受験のしやすさから志願者が増加する可能性が高くなります。2027年度は慶應義塾大の経済学部が小論文を廃止し、A方式・B方式ともに2科目入試となります。特にA方式では理系生の流入なども予想され、志願者の大幅な増加が見込まれます。今回の模試でも、すでに志望者が大きく増加しています。志望者の偏差値分布を見ると、偏差値60.0付近を中心に増加しています<図表12>。

<図表12>慶應義塾大(経済)A方式 偏差値分布
<図表12>慶應義塾大(経済)A方式 偏差値分布

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私立大は「法・政治」志望者が増 新設が目立つ「農」「環境」も人気

<図表13>は私立大の志望者について系統ごとに前年比を示したものです。医・歯・薬・保健のみ系統内の分野の状況を抜粋しています。グラフ内の横線は、私立大全体の前年比96%を示しています。

私立大では「法・政治」「農」「総合・環境・情報・人間」で志望者が増加しました。また、「経済・経営・商」「理」なども全体の前年比を上回っています。「法・政治」「経済・経営・商」「理」などは偏差値60.0以上の高成績層の増加が目立ちます。また「法・政治」、工学部を含む理系3系統は女子志望者が増加または前年並みに集まっており、系統の人気をけん引しています。「総合・環境・情報・人間」系では「環境」分野の志望者が増加しています。「農」学系とともに学部・学科の新設が目立つことも増加の要因となっています。同じく新増設が盛んな「情報」分野も前年並みの志望者が集まっています。

一方、志望者の減少が目立つのは、医療系の「看護」分野のほか、「生活科学」「芸術・スポーツ科学」です。いずれも国公立大でも減少幅が大きい系統となっています。

<図表13>私立大 学部系統別の志望動向
<図表13>私立大 学部系統別の志望動向

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  • グラフ内の数値は志望者前年比(%)、医療系のみ系統内の分野(抜粋)も表示

2027年度入試の展望

受験生の動向は国公立大・私立大ともに難関大志向が鮮明です。また、私立大では手厚い併願を検討する受験生が増加しています。総合型・学校推薦型選抜、年明けの一般選抜いずれも志願者の増加が見込まれます。

私立大入試で注意したい点は、一般選抜での合格者抑制です。定員超過が基準を超えた場合、助成金の減額などのペナルティが課されます。定員超過のルールが「入学定員」から「収容定員」へ変わってから、4年が経過しました。毎年の超過調整が不要になり、3月末に急に追加合格が出るケースは減少しています。ただし、過去4年間で入学者数が超過気味の学部では、在学者数を調整するため合格者を抑制する可能性があります。大学Webサイトに記載されている入学者数や在学者数から大幅な超過が起きていないか確認することができます。「修学支援新制度に関する情報」の「確認申請書」なら定員超過率も併せて掲載されています。収容定員8千人以上の大規模大では定員超過率110%が助成金減額の基準となります。ただし留学などによる留年者は除外されるため、実際には110%を超えていても問題にならないケースが多くあります。超過が直ちに合格者数の抑制に直結するわけではないため、データの見方には注意が必要です。志望順位の高い大学であれば、出願を取りやめるのではなく、併願校を丁寧に検討するなどの対応をしたいところです。

前年入試では一人あたりの受験校数が増加しました。2027年度入試もこの傾向は続くと見られます。ただし、出願校数を単純に増やすだけでは、経済的にも体力的にも負担が増加してしまいます。また、大学・学部研究が不十分なままの出願では大学進学後のミスマッチも起こり得ます。併願校を含め、直前ではなく早期から出願校を検討することが大切です。

大学は変化の時期にあり、社会のニーズも踏まえた新設や改革が進行しています。ただ、拡大傾向にある学部系統であっても、それだけで安易に選択するといった進路決定は考えものです。大学合格はゴールではありません。進学後や大学卒業後を見据え、個人の適性や興味関心に即した進路選択を行うことが肝要です。

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