2027年度 大学入試環境と最新入試動向2027年度入試を取り巻く環境

総合型選抜の出願が始まり、2027年度入試がスタートしました。ここでは、近年の大学入試環境、2040年に向けた高等教育施策、今夏実施した第2回全統共通テスト模試から見る受験生の志望動向をもとに、2027年度入試の動向をレポートします。

18歳人口と大学志願者数の見通し

2027年度の18歳人口(現高3生)は前年とほぼ同水準の約109万人です。近年、大学進学率も横ばいのため、大学志願者数も前年並みになると見込んでいます。

一方、大学入学定員は増加が続いていましたが、2025・26年度には減少しました。2027年度も、文部科学省の「理系人材育成」「私立大の規模適正化」政策により、理系では学部新設や入学定員の増加が見られるものの、私立大で入学定員が減少します。

<図表1>18歳人口・大学志願者数の推移
<図表1>18歳人口・大学志願者数の推移

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理系人材育成に向けた大学・高専機能強化支援事業

2040年に向けて文部科学省が進めている施策の一つに「理系人材育成」があります。「大学・高専機能強化支援事業」は2023年に開始しました。

将来の社会・産業構造の変化を見据え、成長分野の学部などへの転換と重点分野の人材育成を推進することを狙いとしており、採択された大学の学部再編や体制強化に必要な経費を支援するものです。2026年度までに300近い大学・大学院・高専が採択されています。

支援1・2に分かれており、理系学部への転換を支援する支援1には小規模大が採択されたこともあり、遅延や計画断念が散見されるようになってきました。<図表2>にあるように、2023~25年の3年間に採択された案件のうち、断念、開設年度延期はそれぞれ10件を超えています。

2026年度の募集分から支援1・2ともに新しい枠が設置されています。支援1の「大規模文理横断転換枠」は、大都市圏の大規模私立大を主眼にしており、すでに11大学※が基金活用の意向を表明しています。


  • 11大学:早稲田大・慶應義塾大・上智大・学習院大・明治大・青山学院大・中央大・法政大・関西学院大・関西大・立命館大
<図表2>大学・高専機能強化支援事業
<図表2>大学・高専機能強化支援事業

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デジタル、地域連携、文理融合-2027年度の新設

2027年度の国公立大の新設学部・学科などの顔ぶれを見ると、大きく3つに分けることができます<図表3>。

1つめはデジタル・先端技術人材の育成です。福山市立大、北九州市立大など地方大が中心となっています。

2つめは地域社会と協働する実践型教育を特徴とする学部などです。信州大、熊本県立大などがあります。熊本県立大は、地元企業で不足する人材を育成するとしています。学部系統としては「デジタル・先端技術人材の育成」にも該当するでしょう。

3つめは文理横断型の拡大です。近年、社会の課題解決のために、文系・理系の知識を併せ持つ人材が必要とされています。東京大が約70年ぶりの新学部 UTokyo College of Design を新設するほか、東北大ではゲートウェイカレッジを設置します。両大学とも国際学生の入学も念頭に置いた、グローバルな環境での教育が特徴です。

近年の新設学部などは学ぶ内容がイメージしにくいものが多く見られます。志望校決定の前に学部・学科研究にしっかりと取り組む姿勢が必要でしょう。

2027年度も後期日程の廃止・縮小は続きます。後期日程を廃止する大学には、東北大(理-生物)、筑波大(理工-化学)、東京都立大(健康福祉-理学療法)、鹿児島大(共同獣医-共同獣医)などがあります。後期日程の廃止は近隣の大学にも影響を及ぼすため、注意が必要です。

<図表3>国公立大 2027年度新設学部・学科などの類型

デジタル・先端技術人材の育成

福山市立大(情報工)、北九州市立大(情報イノベーション)など

地域社会と協働する実践型教育

信州大(サステナブル社会協創学環)、高知大(地域協働-パブリックイノベーション)、熊本県立大(半導体) など

文理横断型の拡大

東京大(UTokyo College of Design)
東北大(ゲートウェイカレッジ)※教育プログラム


国公立大入試の定員動向-公立大増員と選抜シフト

2027年度の国立大の定員に大きな変化はありませんが、公立大では入学定員の増加が見られます。今春公立化した東北公益文科大は2027年度入試から公立大として入学者選抜を実施します。また、名古屋市立大では理学部と看護学専攻で合計で100名以上の定員増になるほか、京都府立大などでも定員増があります。

選抜方法別の募集人員の変化を見ると、2027年度も一般選抜から総合型・学校推薦型選抜へ募集人員シフトが見られます。募集人員が減少する学部・学科では、志願者数が前年並みでも倍率が大きく上昇することがあります。注意しておきたい変更点です。

とはいえ<図表4>のように、募集人員の6割を占めるのは前期日程であり、国公立大の入学者選抜は一般選抜が主流です。国公立大を志望する低学年生は、一般選抜を念頭に置いた準備が必要です。

<図表4>国公立大 選抜方法別募集人員の割合(2027年度)
<図表4>国公立大 選抜方法別募集人員の割合(2027年度)

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私立大の新設学部の三類型-デジタル、グリーン、医療

私立大の新設学部・学科なども大きく3つに分けることができます<図表5>。

1つめは国公立大と同様に、デジタル・先端技術人材の育成です。中央大(スポーツ情報)では「データサイエンスコース」「スポーツビジネスコース」の2つのコースを設置し、文理横断の学びを深めるとしています。

2つめも理系人材育成です。農・グリーン系分野の拡大は私立大での特徴です。「食」「環境」をキーワードとした名称も見られます。

3つめは看護・医療技術人材の育成です。地方で「看護」系、「医療技術」系の大学・学部の新設が目立ちます。一方で注意したいのは、薬学部で入学定員の縮小や募集停止の動きが続いている点です。

<図表5>私立大 2027年度新設学部・学科などの類型

デジタル・先端技術人材の育成

東北学院大(未来探究科学)、青山学院大(統計データサイエンス学環)、上智大(理工ーデジタルグリーンテクノロジー)、中央大(スポーツ情報)、龍谷大(情報) など

「農・グリーン」分野の拡大

東洋大(環境イノベーション)、清泉大(農)、龍谷大(環境サステナビリティ)、広島修道大(農) など

看護・医療技術人材の育成

太田医療科学大[新設] 、中央医療大[新設]、昭和医科大(保健医療ー医療技術)、藤田医科大(医ー医工共創)、九州国際大(看護) など

申請増加と認可減少が示す学部・学科設置の現状

<図表6>は大学・学部などの認可申請数の推移です。2026・27年度の2年間、申請数が大きく増加しています。背景には国の理系転換政策があります。一方で、8月末時点の認可件数は減少傾向にあります。今年も途中で申請を取り下げる大学が目立ち、国が拡大を進めている情報系学部・学科も見られました。

多くの学部・学科が設置されていますが、計画段階や申請途中で延期したり新設を断念したりするケースも少なくありません。

<図表6>文部科学省 新設認可件数の推移(私立大)
<図表6>文部科学省 新設認可件数の推移(私立大)

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私立大は規模縮小と理系優先の時代へ

私立大では、2027年度も収容定員を満たしていない大学を中心に定員を減らす動きが見られます。河合塾の調査では、現時点で判明しているだけでも50大学以上で入学定員を減員します。この中には2年連続で減員する大学もあります。学部系統は文系が目立ちます。このほか、募集停止する大学は6大学にのぼります。

一方、幾つか入学定員を増員する大学もあります。学部系統は情報系、農学など、理系が主体です。私立大では全体として規模の縮小、文系から理系への構造変化が見られます。

令和9年度予算の概算要求では、私学助成を理系人材や地域を支える人材育成などに重点的に充てることがうたわれています。助成金は増額の見込みですが、助成を受けられる大学とそうでない大学との格差が広がっていきそうです。また、大学の撤退や合併を促進する旨も明記されました。そのための予算も新規に計上され、本格的な私立大の縮小に向けた取り組みが進められようとしています。今後も大学の廃止・縮小の動きは小規模大や文系学部を中心に加速する見込みです。

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2027年度 大学入試環境と最新入試動向

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