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    公開日
  • 2026年07月29日
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「県立高校魅力化ビジョン」をさらに促進/島根

文部科学省が打ち出した2040年に向けた「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」。各都道府県では、高等学校教育改革促進事業を活用して改革を先導する拠点を選定するとともに、高等学校教育改革実行計画の策定に向け、検討を進めています。島根県は、課題解決に向けて3校の改革先導拠点を申請しました。教育委員会のご担当の方に、人口減少対策と地域の存続をかけた教育改革の概要や、具体的な取り組み内容についてお話しいただきました。

  • この記事は、進学情報誌Guideline 2026年7・8月号「N-E.X.T.ハイスクール構想企画 高校教育改革のこれから 第1弾」掲載記事より作成しました。

進学情報誌Guideline 2026年7・8月号(電子書籍版)

人口減少対策と地域の存続に取り組む島根県

島根県では、国の高等学校等教育改革促進事業(基金事業)の活用に向けて5月中旬に申請を行い、このたび申請した3校の改革先導拠点の計画のうち2校が採択されました。不採択となった計画については、追加公募に申請する準備を進めており、島根県が抱える課題の解決に向け、この事業を最大限活用していきたいと考えています。

島根県が直面している最大の課題は、やはり人口減少です。将来に向けて、地域産業を担う専門職や現場人材、理系人材が不足することが危惧されます。

県外への人材流出も深刻な問題です。県内には島根大学と島根県立大学の2つの大学しかないこともあり、進学段階で県外へ出る生徒が多くいます。そして、就職等で県外から戻ってくる人の割合は決して高くありません。そこにも強い危機感を持っています。

2つ目の課題は、地理的要件です。本県は東西に長く、中山間地域や隠岐諸島もあります。19市町村すべてが過疎地域に指定されており、人口減少が進む中、他県では統廃合を進めているところもありますが、本県では、定住対策という意味でも、通える範囲に高校を残したいと考えています。

ただ、結果として小規模校が増え、教員配置が限られることで、物理や情報Ⅱなどの科目を十分に開設できなかったり、習熟度に応じた学習が難しくなったりしており、中山間地域や離島の高校での多様な学びの機会の確保が必要になっています。

3つの類型に込めた島根県の将来像

こうした課題意識を踏まえ、島根県は改革先導拠点校を選定し、申請しました<図>

<図>島根県が申請した改革先導拠点の概要
<図>島根県が申請した改革先導拠点の概要

類型①「アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援」では、島根県立江津高等学校と島根県立江津工業高等学校を統合して新設される高校を選定しました。背景には、製造業や建設業といった地域産業を支える人材不足への危機感があり、新設校設置のタイミングにあわせて工業教育の高度化を図りたいと考えています。

特徴的なのは、普通科高校と工業高校を統合し、学科横断的な学びをめざしている点です。工業科の専門的な学びを普通科系の生徒も履修できるようにしたり、「ものづくり」をテーマにした探究活動を共同で行ったりする構想も検討しています。

類型②「理数系人材育成支援」では、島根県立松江北高等学校を選びました。解決したい課題は理系人材不足です。県内の2大学のうち、島根大学では理系学部の定員が多い一方で、県内の高校生は文系志向が強く、理系進学者が少ないという真逆の現象が見られます。その結果、県内に進学しようと思ったとき、文系の競争率は理系より厳しく、生徒が県外へ流出しやすい状況も生まれています。

そのため、理数科を持ち、県内でも人口が集中する東部に位置する島根県立松江北高等学校を拠点校とし、大学や企業との連携も進め、理系進学の促進と、将来的な高度人材の育成につなげていきたいと考えています。

類型③「多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保」では、島根県立宍道高等学校を選定しました。同校は多様な学びのニーズに対応している定時制・通信制の高校であり、遠隔授業配信の体制整備を検討しています。

この島根県立宍道高等学校内に、「多様な学び支援部門」「通信教育充実部門」「遠隔授業配信部門」の3つからなる「学びのデザイン支援センター」を構築して、多様な背景を持つ生徒への対応、通信教育や遠隔授業の更なる充実を図り、学びを自らデザインできる人材の育成につなげていきたいと考えています。

一過性で終わらせない高校改革へ

改革先導拠点の取り組みは類型によって異なりますが、今回の改革でめざしているのは、「特定の学校だけが良くなること」ではなく、そこで生まれた成果やノウハウを県内全体へ広げていくことです。学科横断型の学びや、遠隔授業の仕組みや地域連携の在り方など、先導校で生まれた新しいモデルを他校にも波及させていきたいと思っています。

本県では、平成30年に「県立高校魅力化ビジョン」を策定し、すべての高校において「高校魅力化コンソーシアム」を設置し、地域と連携しながら高校魅力化に取り組んできました。

たとえば、地域課題をテーマにした探究学習や多様な人々との交流など社会とつながる学びを通じて、自ら課題を発見し解決に向かう人材育成を続けています。今回の基金事業の活用は、ビジョンの取り組みをさらに発展させるものです。

今後は、このビジョンを基にしながら、実行計画を考えていく予定ですが、通える地域に高校を残し、生徒一人ひとりに自らの人生と地域や社会の未来を切り開くために必要な「生きる力」を育み、それを通して魅力ある地域づくりを推進していくという考え方に変わりはありません。今回の改革を一過性のものにせず、県内全体へ広げながら、魅力ある高校づくりにつなげていきたいと思っています。

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