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    公開日
  • 2026年08月24日
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最速申請で全校採択・満額配分を実現/静岡

文部科学省が打ち出した2040年に向けた「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」。各都道府県では、高等学校教育改革促進事業を活用して改革を先導する拠点を選定するとともに、高等学校教育改革実行計画の策定に向け、検討を進めています。静岡県は、改革先導拠点として選定した4校すべてが採択されました。教育委員会のご担当の方に、事業創設以前から進めてきた教育改革の概要や、先導拠点校での具体的な取り組み内容についてお話しいただきました。

  • この記事は、進学情報誌Guideline 2026年7・8月号N-E.X.T.ハイスクール構想企画 高校教育改革のこれから 第1弾」掲載記事より作成しました。

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積み上げてきた改革構想を基に申請

今回、静岡県では国の基金活用に向けて3月下旬にいち早く申請を行い、4校すべてが改革先導拠点として採択されました。さらに、基金についても上限額となる62億円の配分を受けることができました。その背景には、静岡県が基金創設以前から議論を重ねてきた高校教育改革があります。

静岡県では、人口減少や若年層の県外流出、産業人材不足などを重要な課題としてとらえてきました。特に中山間地域や伊豆半島を中心に少子化が進み、将来的な労働力不足が大きな問題となっています。

また、製造業が盛んな一方で、建設業や医療分野では人材不足が深刻化し、専門学科の卒業生の多くは県内企業へ多く就職しているものの、水産分野や工業分野では地元就職率の向上が課題となっています。さらに、外国にルーツを持つ生徒が多い県であることから、多様な教育ニーズへの対応も求められています。

こうした課題を踏まえ、県では令和7年12月、2040年を見据えた高校教育改革の方向性として「2040年を見据えた県立高校の未来」を公表し、「グローバル・グローカルリーダー育成」「実学系教育の充実」「多様なニーズへの対応とエンパワーメント」「教育空白域の回避」の4つを公立高校の役割として再定義しました。

また、現在89校ある公立高校については、将来的に50~60校程度への再編を視野に入れ、県内を10の地域に分け、自治体や産業界、学校関係者らと共に地域ごとの将来像を議論する「高等学校の在り方に関する地域協議会」を設置しました。現在10地域中9地域でグランドデザインを示している段階です。

こうした改革を独自に進める中で今回の基金の公募があり、県では基金が掲げる3つの類型がこれまで進めてきた高校教育改革の方向性と高い親和性を持つと判断しました。すでに地域協議会などでの議論を重ね、改革の土台が整っていたこともあり、短期間の公募にも迅速に対応することができました。

地域バランスと将来構想に応える改革先導拠点

改革先導拠点として、これまで「産業成長戦略会議」や「産業教育審議会」などでの議論に加え、各校の実績や地域課題を踏まえ、4校を選定しました<図>

<図>静岡県の改革先導拠点の概要
<図>静岡県の改革先導拠点の概要

類型①「アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援」では、静岡県立浜松工業高等学校と静岡県立焼津水産高等学校を選定しました。静岡県立浜松工業高等学校が所在する県内西部地域は、世界的企業が集積する国内有数のものづくり地域です。工業高校卒業生に対する地元企業の採用ニーズも高く、地域を支えるスタートアップ人材の育成拠点として位置づけました。

一方、静岡県立焼津水産高等学校は、地域の基幹産業である水産業を支えており、静岡県の水産教育は全国的にも高い評価を受けていますが、地元就職率の向上は依然として課題です。AIカメラやデータ分析を活用した養殖技術の習得に加え、加工・流通・販売までを含めた水産業を産業ビジネスとして発展させる人材「マリン・テック・マネージャー」の育成を掲げ、全国の水産教育をリードするモデル校をめざします。

類型②「理数系人材育成支援」では、県東部を代表する進学校である静岡県立沼津東高等学校を選定しました。理数科を設置する同校では、従来の理数教育に加え人文・社会科学の視点も取り入れた学際的な探究学習を推進します。理系的思考力と幅広い視野を併せ持つ人材の育成を通じて、県内で課題となっている理系人材不足の解消につなげます。

類型③「多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保」では、定時制・通信制課程を併設する静岡県立静岡中央高等学校を選定しました。同校は県内の公立高校における学びのセーフティネットとして、多様な背景を持つ生徒への支援を担うとともに、探究的な学びの質の向上に向けた取り組みを進めます。

また、遠隔教育を活用し、地理的アクセス・在籍形態に左右されない学びの機会保障の仕組みを構築します。協力校には中山間地域の学校に加え、単位制・定時制高校、地区探究コンソーシアム連携校など多くの学校を含んでおり、それぞれの課題やニーズに応じた連携を進めていく考えです。

協力校との連携で成果を広げる

このように、静岡県では、改革先導拠点と協力校の連携を申請段階から具体化し、それぞれの学校の特色や課題に応じた連携体制を構築しています。

たとえば、静岡県立焼津水産高等学校と、その協力校の静岡県立静岡農業高等学校は、水産加工残渣を活用した堆肥の開発を共同で進める予定です。農業と水産業を結びつけることで、環境負荷の低減と地域産業の発展を同時にめざしています。

また、静岡県立沼津東高等学校が設定する「学際探究概論」のプログラムを協力校でも実践しながら文系・理系の枠を超えた「文理融合型」の探究学習を共同で発展させていく計画です。

こうした連携を通じて静岡県では、改革先導拠点を単独で改革するのではなく、協力校との実践や知見を共有しながら、取り組みを進めていきます。最終的には協力校にとどまらず、県内すべての公立高校へ改革の成果を波及させていきたいと考えています。

現在、静岡県では国が求める実行計画の策定に向けた議論が本格化しており、年内をめどに実行計画を取りまとめる予定です。その際には、これまで積み上げてきた2040年を見据えた高校教育改革の方向性を土台にしながら、静岡県の公立高校を「全国をリードする存在」として、元気に力強くお見せします。

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