- 2025年03月31日
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2025年度入試国立難関10大学志願状況レポート
国公立大志願状況
志願者数は準難関大で大きく増加
新課程初年度入試でもある2025年度入試は、国公立大では大学入学共通テストの必要科目数が7から8科目に増加することから敬遠も想定されたが、そういった動きは見られなかった。共通テストの平均点がさらに上昇したことから、国公立大の出願はむしろ好調だった。なかでも準難関大で志願者が大きく増加、難関大ではブレーキがかかった大学も見られた。

共通テストおよび国公立・私立大全体の概況などは、進学情報誌Guideline4・5月号をご覧ください。
国立難関10大学 大学別志願状況
北海道大学
前期志願者数は前年並み、後期は減少
前期日程の志願者数は前年比101%となった。
学部別にみると志願者は総合入試文系、文、水産、歯学部で増加が目立った。総合入試文系、文、歯学部は昨年志願者が減少しており、その反動もあるだろう。教育学部では昨年まで3年連続で志願者が減少したが、今年は前年並みの志願者数となり、減少に歯止めがかかった。
一方、志願者が減少したのは法、医学部である。医学部では医学科は前年並みの志願者数となったものの看護学専攻、放射線技術科学専攻で志願者が大幅に減少した。
後期日程の志願者数は前年比97%となった。法、経済、工学部で志願者の減少が目立った。なかでも工学部は前年比82%と大幅に志願者が減少した。反対に志願者が増加したのは、文、農、薬学部などであった。

東北大学
前期は2年連続の志願者増、後期は前年から大きく増加
前期日程の志願者数は前年比104%、2年連続の志願者増となった。大きく志願者を増やしたのは文、法、理、工、農学部である。法学部は5年ぶりの志願者増、理、工学部は2年連続の志願者増となった。また農学部は2020年度以降隔年現象を起こしており、今年は志願者増の年に当たった。
志願者が減少したのは、教育、経済、医、薬学部である。教育学部は2年連続の志願者減となった。また、薬学部は前年比88%と減少率が高いが、前年志願者が1割以上増加しており、一昨年並みの志願者数に戻った形だ。医学部では医学科で前年比80%、看護学専攻で同66%、放射線技術科学専攻で同79%となった。いずれも前年志願者が増加しており、今年は警戒されたようだ。
後期日程は経済、理の2学部が実施するが、大学全体で志願者は前年比108%、2年連続の志願者増となった。なかでも理学部の志願者は前年から1割以上増加した。

東京大学
第1段階選抜の変更で志願者大幅減
大学全体の志願者数は前年比89%となった。志願者数は9千人を下回り、1990年度の分離分割方式採用以降で最小となった。東京大では理科三類以外の5科類で第1段階選抜の予告倍率が引き下げられ、第1段階選抜の通過者数が絞り込まれることになった。これを警戒し、出願を断念した受験生が多かったものとみる。第1段階選抜は、今年は全科類で実施、7,503名が合格した。
科類別では、文科一類では前年並みの志願者数だったものの、文科二類で前年比94%、文科三類で同86%、理科一類で同88%、理科二類で同85%となった。なお、第1段階選抜の予告倍率に変更がなかった理科三類でも前年比93%と志願者は減少した。昨年まで3年連続で志願者数が4百人を超えており、こちらも警戒された形だ。

東京科学大学
理工系で志願者減少目立つ
昨年10月に東京医科歯科大と東京工業大が統合して誕生した東京科学大。大学全体の志願者数は前期日程で前年比93%と減少した(前年は東京医科歯科大、東京工業大の合計値)。理工系で前年比92%、医療系で同104%と、減少の要因は理工系学院であった。
志願者減少が目立ったのは、工、物質理工、生命理工、環境・社会理工の4学院で、物質理工を除く学院は2年連続の志願者減となった。なお、工学院では志願者は減少したものの、総合型選抜の拡大により一般選抜の募集人員が約50名減少したため、倍率は前年の4.6倍から4.8倍へと上昇した。また、情報理工学院では今年の志願者数は前年比98%と前年並みだが、昨年は前年から2百人以上減少しており、一昨年と比較すると志願者数は減少したままとなっている。
医学部では、医学科は前年並みの志願者数、看護学専攻で増加、検査技術学専攻で減少した。いずれも前年と反対の動向で、反動が出たものとみる。歯学部では歯学科で前年比133%、2年連続の志願者増となった。
後期日程は医、歯学部のみが実施する。志願者数は医学部で前年比104%、歯学部で同69%となった。医学科では2年連続の志願者減、歯学科は前年の高倍率から敬遠された。

一橋大学
前期志願者はやや減、後期は1割以上増加
前期日程の志願者数は前年比98%となった。志願者が増加したのは、法、ソーシャル・データサイエンス学部で、法学部では2年連続の志願者増となった。志願者が減少したのは、社会、経済、商学部である。経済学部では前年まで2年連続で志願者増となっていたこと、商学部では前年志願者が大幅に増加したことから警戒されたようだ。また、社会学部は2年連続の志願者減となった。
後期日程は経済、ソーシャル・データサイエンスの2学部で実施した。両学部とも志願者数は前年から1割以上増加した。経済学部は2年連続の志願者増で、3年ぶりに志願者数が1千2百人を超えた。ソーシャル・データサイエンス学部も志願者数は6百人を超え、倍率は24.5倍となった。

名古屋大学
前期は2年連続で志願者数増加
前期日程の志願者数は前年比103%、2年連続の増加となった。学部別にみると、文、法、理、農学部で志願者が増加した。文学部は4年ぶりの、法学部は3年ぶりの志願者増となった。理学部では前年比123%と志願者が大きく増加した。2次試験で課されていた国語がなくなるため、模試時から人気となっていた。なお、総合型選抜の導入により一般選抜の募集人員が減員となるため、倍率は前年の2.4倍から3.1倍に大きく上昇した。
志願者が減少したのは、教育、経済、医、情報学部である。教育学部では3年連続の志願者減となった。医学部の志願者数は、医学科では前年並みだったが、看護学専攻、理学療法学専攻、作業療法学専攻でそれぞれ1割以上減少した。情報学部では自然情報学科で志願者減少が目立った。前年志願者が大きく増加していたため、今年は警戒されたようである。
後期日程は医学科のみ実施する。志願者は昨年の90人から83人に減少した。旧帝大の医学科で唯一、後期日程を実施することから、高成績層が集まっていることが予想される。

京都大学
4年連続の志願者増
前期日程の志願者数は前年比104%と増加、4年連続の志願者増となった。教育、経済、総合人間学部を除くすべての学部で志願者が増加した。教育、経済、総合人間学部では、いずれも文系型と理系型の2つの選抜方法があるが、教育学部の理系型を除き、いずれも減少した。法学部の志願者は前年比117%と大きく増加した。前年も1割以上増加しており、この2年で志願者は2百人以上増加したことになる。理学部も3年連続の志願者増となった。倍率も2022年度の2.3倍から今春は3.0倍に上昇している。
医学部では人間健康科学科で前年から2割以上志願者が増加、倍率も前年の3.2倍から4.2倍に上昇した。医学科の志願者数は前年比105%と増加率は高くないものの、近年志願者は増加傾向で、志願者数が3百人を超えたのは2018年度以来7年ぶりである。

大阪大学
京大人気のあおりで志願者数はやや減
大学全体の志願者数は前年比99%だった。京都大の志願者が増加した影響からか、経済学部を除き志願者数は前年並み、もしくは減少と全体に低調だ。
文系学部では外国語、法学部で志願者が減少したほか、文学部の志願者数も前年並みに留まった。外国語学部では、前年最も倍率が高かったモンゴル語専攻の志願者が前年比28%と大きく減少、倍率も4.9倍から1.4倍にダウンした。志願者が増加したのは経済学部で、3年ぶりの志願者増となった。
理系学部では、工学部で志願者が減少、基礎工学部では前年並みとなった。両学部では入学定員増により、前期日程の募集人員が電子情報工学科で28名増、情報科学科で18名増となる。志願者は電子情報工学科で前年比85%、情報科学科で同106%となった。志願者が増加した情報科学科でも倍率は前年の3.2倍から2.7倍にダウンした。
医療系学部の志願者は、医学部医学科、歯、薬学部で増加した。医学科、歯学部は2年連続の志願者増となった。医学部保健学科の各専攻は、いずれも志願者が減少、看護学専攻と検査技術科学専攻の倍率は2倍を切った。

神戸大学
前期志願者数は前年並み、新設学部・学科は志願者集まる
前期日程の志願者数は前年比101%だった。学部別にみると、法、理、医、国際人間科学部で志願者が増加した。法、理学部では2年連続の志願者増となった。国際人間科学部は4年ぶりの志願者増で、志願者数が7百人を超えたのも4年ぶりである。医学部では医療機器開発を学ぶ医療創成工学科が誕生する。初年度は113人の志願者が集まり、倍率は4.5倍となった。このほか、医学科では3年連続、看護学専攻、検査技術科学専攻では2年連続の志願者増となった。また、11番目の学部として誕生するシステム情報学部には402人の志願者が集まり、倍率は3.7倍となった。
志願者が減少したのは、文、経済、経営、農学部などである。文学部は近年隔年現象が顕著で、過去6年の志願者前年比は121%→70%→158%→67%→133%→92%で推移している。経営学部は3年ぶりの志願者減となった。後期日程の志願者数は前年比104%となった。学部別にみると、文、法、海洋政策科学部などで志願者増となった。いずれも前年志願者が減少していた学部である。新設のシステム情報学部には347人の志願者が集まり、17.4倍となった。

九州大学
前期志願者数は前年並み、2段階選抜導入の学科では志願者大幅減
前期日程の志願者数は前年比99%となった。大学全体では直近の4年で志願者数の変化は小さい。学部別にみると、志願者が増加したのは、法、経済、理学部である。一方、減少したのは、教育、共創、芸術工、医、歯、薬学部などである。薬学部の臨床薬学科では2次で面接を導入するほか、2段階選抜を導入した(予告倍率3倍)。志願者は前年比69%と大きく減少、倍率も3.3倍から2.3倍にダウンした。
後期日程では、前年比92%と志願者が減少した。文学部で志願者が半減、農学部で前年比55%と、大きく減少した学部がみられた。一方で法、理学部では志願者が増加した。とくに法学部では前年比132%と大きく増加した。京都大(法)が後期日程を廃止しており、神戸大(法)ともども、志願者増となった。

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