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    公開日
  • 2025年04月07日

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2025年度入試主要私立大学志願状況レポート

私立大志願状況

出願校数を増やす動きがみられ、志願者数は大きく増加

私立大一般選抜の志願者数は全体で前年比107%と大きく増加した(3月14日時点、私立大179大学の集計)。難関大・有名大などを中心に幅広く出願した受験生が多かったものとみる。国公立大と同様、東西とも最難関よりその下の大学グループで増加率が高いのも特徴である。方式別にみると、共通テスト方式で増加率の高さが目立った。今春、共通テストの受験者数は増加したものの、私立大専願者と思われる3科目以下の受験者は減少した。共通テスト方式の志願者増の中心は国公立大併願者によるものとみる。

私立大 大学グループ別志願状況 私立大 大学グループ別志願状況 注釈

共通テストおよび国公立・私立大全体の概況などは、進学情報誌Guideline4・5月号をご覧ください。

2025年度入試結果速報(進学情報誌Guideline4・5月号)

主要私立大学 大学別志願状況

  • 2025年3月14日時点までの判明分で集計しており、2025年度の志願者数が未公表・確定前の方式は集計対象外としています。

早稲田大学

入試変更が盛んながらも、志願者数は増加

大学全体の志願者数は95,938人(前年比107%)と大きく増加した。今春、早稲田大は入試変更が盛んで、なかには共通テストを必須化する学部もあった。変更をマイナスに捉える動きは小さく、高い人気となった。

特徴のある学部の状況をみると、政治経済学部(前年比143%)、スポーツ科学部(同141%)と大きく増加した。両学部とも共通テストが必須となった2021年度以降、最大の志願者数となった。メイン入試である「一般選抜」の募集人員を減らし、「英語4技能テスト利用方式」を増員した文学部(前年比117%)、文化構想学部(同115%)も志願者が集まった。とくに文学部の「一般選抜」は募集人員が340→260名と大きく減員したにもかかわらず、前年比109%と前年に続き志願者増となった。ほとんどの学部が志願者増となった一方、人間科学部(前年比76%)、社会科学部(同85%)、基幹理工学部(同97%)の3学部は志願者減となった。人間科学、社会科学の2学部は今春より共通テストが必須になったことが要因。基幹理工学部は前年度入試で、3理工学部の中で唯一志願者が減少しており、志願者の増加が予想されていた。今春より募集する学系を再編したことが影響したものとみる。

早稲田大学 学部別志願状況(前年比)
早稲田大学 学部別志願状況(前年比) 全体107%,文117%,教育109%,文化構想115%,社会科学85%,国際教養109%,法117%,政治経済143%,商108%,基幹理工97%,創造理工103%,先進理工106%,スポーツ141%,人間科学76%

慶應義塾大学

志願者は増加、志願者減続くSFCの2学部も増加

大学全体の志願者数は40,132人(前年比107%)と大きく増加した。学部別にみても、医学部、薬学部を除き志願者が増加した。志願者減がしばらく続いていたSFCにある総合政策、環境情報の2学部も今春は増加に転じており、同大の人気の高さがうかがえる。このうち、理工学部(前年比105%)では4年連続の志願者増となっており、人気が続いている。志願者の増加率の高さをみると、文学部(前年比112%)が目立つ。文学部は今春入試より、英語資格・検定試験を利用すれば大学の外国語試験の受験が不要となるため、志願者の増加につながったかもしれない。

一方、志願者が減少した学部をみると、医学部(前年比95%)では前年まで3年連続で志願者が増加していたこと、第1次試験日が例年より1週間以上早まったことで他大との併願スケジュールが立てづらくなったことなどが要因とみる。薬学部(前年比92%)では今春入試より理系数学(数学ⅢC)まで求められるようになり、敬遠されたものとみる。

慶應義塾大学 学部別志願状況(前年比)
慶應義塾大学 学部別志願状況(前年比) 全体107%,文112%,法105%,総合政策111%,経済110%,商110%,理工105%,医95%,薬92%,看護医療104%,環境情報107%

上智大学

早慶上理で唯一の志願者減に

大学全体の志願者数は29,096人(前年比98%)と「早慶上理」グループの中では唯一志願者が減少した。方式別にみると、共通テスト方式で志願者が減少しており、とりわけ共通テストのみの方式(3教科型・4教科型)で減少が目立った。同方式は前年度入試で志願者が多く集まっており、警戒されたものとみる。一方で、一般方式(TEAPスコア利用入試)は志願者増となった。

学部別にみると、外国語学部(前年比84%)や総合グローバル学部(同87%)で志願者の減少が目立った。一方で、総合人間科学部(前年比115%)、理工学部(同110%)、文学部(同104%)の3学部は志願者が増加した。とくに文学部は前年度入試も志願者が増加しており、人気が続いている。

上智大学 学部別志願状況(前年比)
上智大学 学部別志願状況(前年比) 全体98%,文104%,神71%,外国語84%,総合人間115%,総合グロ87%,法95%,経済99%,理工110%

東京理科大学

経営学部や薬学部を中心に志願者が増加

大学全体の志願者数は57,039人(前年比109%)と大きく増加した。方式別では、共通テスト方式で前年比115%と増加率の高さが目立った。なお、共通テスト方式には今春から一部の学部で国語が必須ではなく情報との選択となったA方式と、共通テスト英語・国語の2教科で事後出願できるC方式(併用方式)があるが、両方式とも志願者は増加、動向に差はみられなかった。

学部別の動向をみると、全学部で志願者が増加した。前年唯一志願者が減少した経営学部は前年比130%と大きく増加した。全学科理系数学(数学ⅢC)が必須となるグローバル方式でも志願者数は増えており、文系生だけでなく理系生も今春は比較的多く集まったものとみる。次いで薬学部の志願者数が前年比122%と増加、薬学系の全国動向と異なり人気となった。薬学部は今春より現在の野田キャンパス(千葉県野田市)から葛飾キャンパス(東京都葛飾区)へ移転する。薬学系志願者を集めた一因とみられる。理工系では前年度入試で志願者の増加が目立った先進工学部が前年比102%とやや控えめとなった。

東京理科大学 学部別志願状況(前年比)
東京理科大学 学部別志願状況(前年比) 全体109%,経営130%,理107%,工105%,創域理工109%,先進工102%,薬122%,理(第二部)106%

明治大学

人気は継続、文理とも多くの学部で志願者増に

大学全体の志願者数は、114,821人(前年比106%)と大きく増加した。方式別では、一般方式で前年比103%、共通テスト方式で同112%と共通テスト方式で志願者の増加が目立った。

学部別にみると、国際日本学部の志願者数が前年比131%と大きく増加した。今春より共通テスト併用方式(3科目方式、英語4技能試験活用方式)が新設されており、志願者数は両方式あわせて1,216人となった。文系ではこのほか政治経済学部(前年比112%)も志願者の増加が目立つ。国公立大併願者が多数を占める共通テスト方式(前期7科目)でも志願者は大きく増加しており、厳しい入試となった。理系に目を向けると、今春より理工学部、総合数理学部の共通テスト方式では「国語」の範囲が選択ではなく全範囲となった。敬遠要素になりそうな入試変更であったが、共通テスト方式の志願者数は両学部とも減少には至らなかった。総合数理学部ではメイン入試である「学部別入試」で志願者が増加した。

志願者が増加した学部が多くみられる一方、文学部、情報コミュニケーション学部の2学部では志願者が減少した。

明治大学 学部別志願状況(前年比)
明治大学 学部別志願状況(前年比) 全体106%,文94%,国際日本131%,法106%,政治経済112%,経営104%,商108%,理工106%,総合数理114%,農105%,情報コミュ92%

青山学院大学

一般方式を中心に志願者が増加

大学全体の志願者数は50,672人(前年比108%)と志願者が大きく増加した。方式別にみると、一般方式が前年比112%、共通テスト方式で同103%となり、全国の動向とは異なる動きとなった。共通テスト方式では今春、文学部、教育人間科学部、国際政治経済学部で新方式(科目型)を設置したものの、文学部と教育人間科学部の共通テスト方式はむしろ減少した。他の方式や学部に流れたものとみる。

学部別にみると、国際政治経済学部(前年比137%)や法学部(同120%)などで志願者の増加率の高さが目立つ。国際政治経済学部は新方式の導入や一般方式で英語資格・検定試験の活用方法の変更などが志願者増の追い風となった。法学部は前年度入試も2割以上志願者が増加しており、高い人気が継続している。一方で、前年度入試で志願者が大きく増加した地球社会共生学部は前年比81%と大きく減少した。共通テストのみの方式に至っては前年の半数以下の志願者数となった。

青山学院大学 学部別志願状況(前年比)
青山学院大学 学部別志願状況(前年比) 全体108%,文99%,教育人間94%,総合文化97%,地球社会81%,国際政治137%,法120%,経済111%,経営106%,理工113%,社会情報88%,コミュ人間118%

立教大学

4年ぶりの志願者増となる

大学全体の志願者数は62,829人(前年比111%)と4年ぶりの志願者増となった。立教大は今年、2024年度一般方式の得点情報をHPに公開した。その中には「英語」の得点状況も含まれており、合格者の英語資格・検定試験の最低スコア(CEFR)や共通テスト「英語」の合格最低点などが明らかとなった。志願者の中には、これにより出願に踏み切った受験生もいたと推測する。方式別にみると、一般方式が前年比112%、共通テスト方式で同110%となった。

学部別にみると、コミュニティ福祉学部を除き志願者は軒並み増加した。なかでも設置3年目のスポーツウエルネス学部で前年比154%と大幅に志願者が増加した。このほか法学部や異文化コミュニケーション学部も志願者の増加が目立つ。一方で、唯一志願者減となったコミュニティ福祉学部は前年比98%となった。同学部にあったスポーツウエルネス学科が学部昇格して以降、志願者は減少が続いている。

立教大学 学部別志願状況(前年比)
立教大学 学部別志願状況(前年比) 全体111%,文102%,現代心理100%,異文化コミ128%,社会101%,コミュ福祉98%,観光112%,法132%,経済108%,経営122%,理114%,スポーツ154%

中央大学

志願者数は前年から1割以上増加

大学全体の志願者数は71,957人(前年比111%)と大きく増加した。前年度入試で志願者が減少したことによる反動とみる。方式別にみると、一般方式の志願者数が前年比108%、共通テスト方式で同115%となった。一般方式はこれまで「6学部共通選抜」を実施していたが、今春より国際経営学部が同方式を廃止し、名称も「5学部共通選抜」となった。一般方式の中でも同方式の志願者数は5学部全体で前年比102%と増加率は小幅となった。

学部別にみると、国際情報学部(前年比137%)、経済学部(同119%)などで志願者が大きく増加した。国際情報学部では共通テスト方式で志願者の増加率の高さが目立つ。入試科目をみると、前年と比べ選択科目を増やすなどして科目の自由度が高まっている。受験のしやすさから志願者が増加したものとみる。

増加した学部が目立つ一方、総合政策学部(前年比98%)では志願者が減少、また全国的に人気系統である法学部(同101%)は前年並みにとどまった。

中央大学 学部別志願状況(前年比)
中央大学 学部別志願状況(前年比) 全体111%,文110%,国際情報137%,法101%,総合政策98%,経済119%,国際経営110%,商110%,理工114%

法政大学

志願者数は10万人超えも、増加率の高さは控えめ

大学全体の志願者数は105,107人(前年比103%)と増加した。方式別にみると、一般方式が前年比100%、共通テスト方式で同109%となった。

学部別にみると、グローバル教養学部が前年比57%と大きく減少した。同学部は前年度入試で合格者数を絞り込んだことで倍率がアップ、警戒されたものとみる。とくにB方式(共通テスト方式)では実質倍率が23年度から24年度にかけて2.1→32.7倍と極端に難化しており、今春のB方式の志願者数は前年比32%となった。このほか、同様に前年度入試で倍率がアップした人間環境学部(前年比77%)や国際文化学部(同81%)も志願者が減少した。一方で、法学部(前年比118%)や現代福祉学部(同117%)などは志願者が増加、デザイン工学部(同114%)や理工学部(同109%)といった理工系学部も高い人気を示した。

法政大学 学部別志願状況(前年比)
法政大学 学部別志願状況(前年比) 全体103%,文104%,国際文化81%,グローバル57%,社会105%,現代福祉117%,法118%,経済92%,経営104%,理工109%,生命科学107%,デザイン工114%,スポーツ87%,キャリア104%,情報科学104%,人間環境77%

関西大学

学部新設などにより今春は志願者増に転じる

大学全体の志願者数は78,183人(前年比110%)と近年続いていた志願者の減少から一転、増加した。前年度入試の反動に加え、ビジネスデータサイエンス学部新設の影響が大きい。方式別でみると、一般方式で前年比105%、共通テスト方式は同121%となった。

学部別にみると、文学部(前年比123%)、商学部(同118%)、政策創造学部(同117%)などで志願者が大きく増加した。このうち政策創造学部は前年度入試でも志願者が増加しており人気が継続している。また、総合情報学部の志願者数は前年比109%と増加した。ビジネスデータサイエンス学部ができたことで志願者の流出も考えられたが、その影響はみられなかった。一方、社会学部(前年比84%)、外国語学部(同87%)、システム理工学部(同97%)、人間健康学部(同99%)の4学部は志願者が減少、このうちシステム理工学部と人間健康学部では前年度入試でも志願者が減少している。

関西大学 学部別志願状況(前年比)
関西大学 学部別志願状況(前年比) 全体110%,文123%,外国語87%,社会84%,社会安全101%,法111%,政策創造117%,経済104%,商118%,システム理97%,環境都市工104%,化学生命工110%,人間健康99%,総合情報109%

関西学院大学

地方試験会場の拡大も影響し、一般方式を中心に志願者増

大学全体の志願者数は54,227人(前年比106%)と志願者の増加が続く。方式別にみると、一般方式では前年比107%、共通テスト方式では同104%となった。同大では今春入試より共通テスト方式1月出願に8科目型を新設した。国公立大併願者の受験を見込んだものとみられるが、既存の7科目型も存在していることから志願者が分散したとみる。一方で今春の一般方式は地方試験会場を拡大。静岡(浜松)や三重(津)で新規実施したほか、京都会場では試験日を延長しており、受験のしやすさが志願者増につながったものとみる。

学部別にみると、人間福祉学部の志願者数が前年比131%と増加が目立つ。一般方式、共通テスト方式とも今春入試より方式の新設や変更などをしており、その効果が出たとみる。このほか、総合政策学部(前年比112%)、工学部(同111%)、法学部(同109%)、生命環境学部(同109%)などでも志願者の増加が目立った。

関西学院大学 学部別志願状況(前年比)
関西学院大学 学部別志願状況(前年比) 全体106%,文104%,教育102%,神74%,社会103%,人間福祉131%,国際105%,法109%,総合政策112%,経済98%,商105%,理107%,工111%,生命環境109%,建築104%

同志社大学

大学全体の志願者数は増加も、共通テスト方式では減少

大学全体の志願者数は52,729人(前年比103%)となった。方式別にみると、一般方式(前年比105%)で増加、共通テスト方式(同98%)で減少となった。

学部別では、心理学部、政策学部、文化情報学部を除く全学部で志願者が増加した。今春入試より共通テスト方式を新規実施したグローバル・コミュニケーション学部では志願者数が前年比110%と増加した。ただし、共通テスト方式の志願者数は99人と他学部と比べてやや少ない状況である。このほか、志願者の増加が目立つのは文学部(前年比114%)、スポーツ健康科学部(同114%)などである。一方、志願者減となった学部をみると、政策学部(前年比75%)は前年度入試で志願者が大きく増加、加えて一般方式では合格者が減少しており、難化を警戒した受験生が避けたものとみる。なお、志願者減となった3学部のうち心理学部と文化情報学部では、一般方式で文系・理系の2方式で選抜が行われる方式があるが、どちらも志願者は減少しており、差はみられなかった。

同志社大学 学部別志願状況(前年比)
同志社大学 学部別志願状況(前年比) 全体103%,文114%,心理97%,神102%,グローコ110%,グロー地域107%,社会101%,法112%,政策75%,経済103%,商113%,理工101%,生命医科学106%,スポーツ114%,文化情報87%

立命館大学

志願者数の増加率は控えめ、理工系学部で顕著に

大学全体の志願者数は88,733人(前年比102%)と「関関同立」グループのなかでは増加率は小幅にとどまった。一般方式、共通テスト方式ともに志願者数は前年比102%となった。共通テスト方式では今春入試より、併用方式において「情報活用型」を新設した。一部の学部が対象で、共通テスト「情報」と独自試験を組み合わせた入試であり、出願締切日も共通テスト後に設定されている。今春の共通テスト「情報」は平均点が約7割と高かったものの、志願者数が既存の併用方式を上回る学部はなかった。ただし学部により差が出ており、情報理工学部では既存の併用方式の志願者数が389人、情報活用型が362人と、情報活用型にも志願者が集まった一方、産業社会学部では既存方式の志願者数1,680人、情報活用型が185人と大きく開いた。

学部別にみると、全国動向と同様、法学部では志願者数が前年比117%と増加率の高さが目立った。前年度入試で志願者が減少しており、その反動によるものである。このほか経済学部(前年比114%)や薬学部(同112%)などで志願者が増加した。一方、政策科学部、経営学部、理工学部などでは志願者が減少した。理系学部は理工学部のみならず、生命科学部や情報理工学部といった学部も志願者数は前年並みにとどまっている。

立命館大学 学部別志願状況(前年比)
立命館大学 学部別志願状況(前年比) 全体102%,文102%,総合心理100%,産業社会111%,国際関係105%,法117%,政策科学90%,経済114%,経営83%,食マネジ111%,理工98%,生命科学101%,情報理工101%,薬112%,映像105%,スポーツ103%
そのほかの大学の出願状況はこちらでご確認ください。
2025年度(新課程)入試 出願状況
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