教育関係者のための情報サイト

    公開日
  • 2026年09月07日
ホバー時に表示

2027年度入試変更点とトピック解説ユニークな
学部・学科新設が相次ぐ

今年も各大学の次年度入試概要が出そろった。ここでは次年度入試における受験環境や大学の動き、主な入試変更点について、注目すべき点をお伝えする。

PDFでご覧になりたい方はこちら(入試・教育トピックス)

2027年度入試における国公立大の動き

独自性のある学部・学科新設の動きが進む

<図表1>は、現在判明している2027年度の国公立大の主な学部・学科の新設・再編の動きである。学部の動きで目立つのは東京大のUTokyo College of Design である。こちらについては、河合塾レポート「東京大 UTokyo College of Designの入学者選抜の詳細を発表」で詳細をまとめているので、あわせてご確認いただきたい。なお、東京大ではUTokyo College of Designの新設等に伴い、各科類の前期日程の募集人員が計102名減となる。

東京大以外では、信州大のサステナブル社会協創学環の新設のほか、福山市立大で情報工学部を設置する動きや、熊本県立大では全国的に珍しい半導体学部の新設の動きがある。また、福島大では学群制から学部制へと移行する。特に人文社会学群は政経学部と教育学部に分かれ、より教育内容が前面に出る形となった。

東京大 UTokyo College of Designの入学者選抜の詳細を発表(河合塾レポート)

<図表1>国公立大 学部・学科等の新設・再編の動き(抜粋)
<図表1>国公立大 学部・学科等の新設・再編の動き(抜粋)

学科の動きを見ると、高知大では地域協働学部にパブリックイノベーション学科を新設。豊橋技術科学大や佐賀大(経済)では1課程・1学科体制への改組を予定している。公立大では「デジタル」「グリーン」などを意識した学科の新設・改組の動きが見られる。

このように近年は独自性のある学部・学科名称や教育内容を取り入れる大学が増えている。これらの学部・学科では文理双方の受験生が受験できるような科目設定になっているケースが多いのが特徴である。2027年度新設の学部・学科でも、信州大や高知大などがこれにあたる。

一般選抜の縮小続く、
総合型・学校推薦型選抜へ

国公立大では近年、一般選抜の募集人員を縮小し、総合型・学校推薦型選抜へシフトする大学が見られる。<図表2>は全学的に一般選抜の前期日程の募集人員を減らす大学である。

東北大では新たに「ゲートウェイカレッジ」を新設する。こちらも詳細は「東北大が「ゲートウェイカレッジ」を創設 2027年度から」でまとめている。総合型選抜のみでの実施となり、募集人員は計178名となる。これに伴い、各学部の既存の選抜は募集人員減となる。特に前期日程では理系学部を中心に計128名減となるため、注意が必要だ。

東北大が「ゲートウェイカレッジ」を創設 2027年度から(河合塾レポート)

<図表2>国公立大 全学的に一般選抜を縮小する大学(抜粋)
<図表2>国公立大 全学的に一般選抜を縮小する大学(抜粋)

また、全学的ではないものの、一般選抜を縮小する大学がいくつか見られる。千葉大(教育)では前期日程の募集人員を26名減員、その分を総合型選抜にシフトさせる。広島大(経済-昼)も前期日程の募集人員を15名減らし、学校推薦型選抜へシフトする。国公立大では一般選抜の募集人員割合は7割以上となっているが、縮小の動きは今後も続くものとみる。

後期日程廃止の動きは継続

一般選抜の中でも後期日程廃止の動きは続いている。<図表3>は2027年度入試で後期日程を廃止する大学をまとめたものである。教育学部や看護学科を中心に多く見られるほか、筑波大(情報-知識情報・図書館)ではこれまで一般選抜では後期日程のみ実施していたが、前期日程での実施にシフトした。

<図表3>国公立大 後期日程を廃止する大学(抜粋)
<図表3>国公立大 後期日程を廃止する大学(抜粋)

また、廃止だけでなく後期日程の募集人員縮小の動きも一部で見られる。九州大(工)の後期日程では、これまでの学科群別(Ⅰ~Ⅵ群)から学科別募集へ変更となった。これに伴い、後期日程の募集人員を102名→20名へと大きく減らし、前期日程や総合型選抜の拡大のほか学校推薦型選抜も新設する。

このように廃止・縮小した分の募集人員は他の選抜へ充てられる場合がほとんどである。近年では総合型・学校推薦型選抜に多く募集人員が充てられるケースが多く見られる。

国立大の授業料値上げが相次ぐ

国立大の授業料は文部科学省が定める「標準額(年額535,800円)」を基本としている。ここから20%までの増額を大学の裁量により認められているが、少し前まで国立大では全大学がこの標準額で授業料を設定してきた。

2019年度に東京工業大(現:東京科学大)と東京芸術大が授業料の値上げを発表して以降、首都圏の大学を中心に授業料値上げの動きが緩やかに進んでいたが、2026年度から全国的に広がっている。

2027年度では岡山大、香川大、熊本大が授業料の値上げを発表、お茶の水女子大は8月時点で値上げを検討している。授業料は岡山大、香川大、検討中のお茶の水女子大で20%増、熊本大で約11%増(2028年度以降は物価動向を踏まえ定期的な確認を行う)となる。背景には物価高騰などによる影響があり、今後も値上げを発表する国立大は増えるそうだ。なお、公立大では国際教養大も授業料を値上げする。

<図表4>国立大 近年の学費値上げの動き
<図表4>国立大 近年の学費値上げの動き

理系学部を中心に入学定員を増やす動き

2027年度は入学定員を変える動きが見られる。名古屋市立大では2027年度より総合生命理学部より名称変更する理学部で入学定員が37名増(43→80名)となる。また、医学部保健医療学科の看護学専攻では蒲郡市に校舎を開設、これにより看護学専攻全体の入学定員が90名増(120→210名)となる。

このように、大学全体の入学定員を増員するケースは珍しいが、一部の学部の入学定員を減らし、別の学部を増やす動きはいくつか見られる。

横浜市立大では国際教養(270→240名)、国際商(260→230名)の2学部の入学定員をそれぞれ30名ずつ減らし、データサイエンス学部の入学定員を増やす(60→120名)。兵庫県立大も国際商経学部の入学定員(280→220名)を60名減らし、社会情報科学部を拡大(100→160名)する。同様に福島大や北九州市立大なども学部間における入学定員シフトの動きを見せているが、これらも理工系や情報系の定員を増やしている。

2027年度入試における私立大の動き

情報系・グリーン系の学部新設が目立つ

<図表5>は、現在判明している2027年度の私立大の主な学部の新設・再編の動きである。2027年度も学部新設・改組の動きが盛んであり、特に情報系やグリーン系の学部新設が目立つ。

情報系では表中にある北星学園大(情報科学)、東北学院大(未来探究科学)、青山学院大(統計データサイエンス)、中央大(スポーツ情報)、愛知大(社会情報)などをはじめ、多くの大学で「情報」「デジタル」が名称につく学部・学科等の新設が多く見られる。

グリーン系では清泉大、明治国際医療大、広島修道大での農学部新設や、東洋大(環境イノベーション)、龍谷大(環境サステナビリティ)などの環境系の新設が見られる。こうした分野の学部新設は近年の傾向であり、2027年度も同様の動きが続いている。

<図表5>私立大 主な学部の新設・改組の動き(抜粋)
<図表5>私立大 主な学部の新設・改組の動き(抜粋)

また、ユニークな名称の学部・学科も見られる。表中にある千葉工業大(宇宙・半導体工)や目白大(韓国)は既存の学科を学部昇格する形での学部新設しており、他の大学にはない学部名称になっている。学科・専攻名称も、大谷大(国際-京都文化)、埼玉工業大(工-機械-鉄道・アトラクション機械)のようなユニークなものが見られ、いずれも特定の分野を想起しやすい名称となっている。

一方で募集停止や学部・学科の縮小も進む

学部・学科の新設が盛んである一方、募集を縮小する私立大も見られる。<図表6>は現在判明している2027年度の私立大の募集停止・縮小の動きである。

2027年度以降の学生募集停止を発表した大学は6大学がある。近年募集停止を発表する大学は都市部近郊に所在するケースが多い。いずれの大学も学生数が収容定員を満たしておらず、経営判断による学生募集の停止とみる。なお、図表には掲載していないが、短大の学生募集停止は現時点で14校と大学以上に加速している。

<図表6>私立大 廃止・縮小の動き
<図表6>私立大 廃止・縮小の動き

私立大全体では入学定員の減員も進行中である。今後も18歳人口の減少が見込まれる中、学生数が収容定員を満たしていない大学を中心に2027年度も入学定員を減らす大学が見られる。とりわけ、収容定員が1千人未満の小規模大で目立つ。中には前年の入学定員の半数以下に減らす大学もある。

藤女子大や西南女学院大のように一部の学部・学科を募集停止するケースや、十文字学園女子大のように学部の改組に伴い定員の見直しをするケースなどがある。先日、日本私立学校振興・共済事業団の調査で2年連続で定員割れが改善したことが判明したが、定員減が改善の主要因である。

2026年4月末、財務省は2040年までに全国の私立大のうち少なくとも250校、人数にして14万人分の学部定員を削減すべきと提言している。文部科学省も、再編・統合などで規模縮小・経営改善に取り組む大学への支援を行っており、今後も大学の廃止・縮小の動きは小規模大を中心に加速する見込みだ。

現に、8月末に文部科学省より公表された開設予定大学等一覧では、学部の設置を申請した19大学のうち認可されたのは8大学、学科の設置を申請した5大学のうち認可されたのは3大学と、例年以上に認可された大学数は少なくなっている。今後、継続審査を経て新たに認可されるケースもあるが、近年の中では厳しい印象だ。

総合型・学校推薦型選抜は
ルール変更も
都市部の大学に大きな変更はなし

文部科学省は2027年度入試から総合型・学校推薦型選抜(公募)において面接を必須とすることを決定した。ルールなどの詳細は「公募型年内入試で面接必須に 2027年度入試から」にまとめている。これを受け、2027年度より学科試験型の総合型選抜を実施する文教大、松山大などでは学科試験に加え新たに面接を課す。なお、文教大、松山大は後から面接必須の追記をしている。

一方で、学科試験型の新規実施を予定していた大学が今回のルール変更に伴って新選抜の実施自体を取りやめる、といった動きも起きており、大学にとって想定外の変更だったことがうかがえる。なお、既存の選抜については面接の追加に2年間の猶予があるということから、すでに学科試験型の選抜を行っている大学については2027年度から選抜に面接を追加するといった大きな動きは見られなかった。

公募型年内入試で面接必須に 2027年度入試から(河合塾レポート)

学科試験型の選抜の中には、一般選抜受験者の併願を狙った、いわゆる「0期入試」として機能していたものもあった。こうした選抜も含め、面接が必須になった場合、受験生の動向も変わる可能性がある。

一般選抜では
複数校・学科を併願しやすい環境へ

一般選抜では受験生が複数大学・学科を受験しやすいような環境が強まっている<図表7>。受験料割引を導入するケースは2027年度入試でも見られる。

<図表7>私立大 受験料や併願制度を見直す大学
<図表7>私立大 受験料や併願制度を見直す大学

東京農業大では学内で1学科出願すれば生物産業学部の受験料が免除になる。また、併願制度の導入や同時併願数を増やす大学もある。このほか、獨協大では一般選抜において全国的に珍しいイブニング入試を導入。試験時間が遅く、他大学の入試をしてから同日に受験できる場合がある。

大学側は受験料の割引や併願制度の導入・拡大をすることで、複数受験してもらうことを狙っていると推測する。実際、直近の2026年度入試では延べ志願者数は昨年から大きく増加。18歳人口は前年並みであったことから、1人あたりの受験校数も増加したと推測する。今後も、こうした動きは広がりそうだ。

なお、受験料割引のほか、入学金を値下げする大学もいくつか見られる。首都圏では青山学院大や高千穂大、近畿圏では関西外国語大などがそれぞれ入学金を大幅に値下げする。ただ、入学金の値下げがある一方で、授業料を引き上げる大学が多くなっており、学費全体の値下げという動きではない。

入試トピックスー慶應義塾大では
経済学部の一般選抜が学科試験2教科に

志願者数の多い大学を中心に動向に影響がありそうな私立大の一般選抜について紹介する。青山学院大(経済)ではメイン入試である個別学部日程A方式で新たに数学を必須で課す。これにより、英語・数学・地公の3教科入試となる。一方、慶應義塾大(経済)では小論文が廃止となる。A方式、B方式ともに2教科入試となり、志願者の増加が見込まれる。早稲田大(国際教養)はこれまで一般選抜は1方式のみだったが、2027年度入試より「共通テスト+英語4技能テスト利用方式」を新規実施する。募集人員は少ないものの、受験の選択肢が増える形となる。

近畿圏では、関西大(社会安全、システム理工、総合情報)で共通テスト併用方式の試験日が1日増えることになり、受験機会が増える。また、政策創造学部を除く全学部において共通テスト方式に8科目型が追加される。

以上、2027年度入試の変更点やトピックについて紹介した。10月には、河合塾が実施する共通テスト模試からみた入試動向の分析記事を掲載する予定である。また、河合塾の進路・大学入試情報サイト「Kei-Net」では最新の入試情報について随時、更新・掲載をしていく。ぜひそちらもご参考いただきたい。

関連コンテンツ
ホバー時に表示

PAGE TOP