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大学入試の仕組みを理解しよう!共通テストについて理解しよう

共通テストの概要

日本最大規模の試験「共通テスト」

「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」は各大学が独立行政法人「大学入試センター」と共同で実施する試験です。毎年1月中旬の土・日曜の2日間に全国で一斉に実施される、日本最大規模の試験です。

国公立大学の一般選抜受験者は、原則共通テストを受験しなければなりません。また、多くの私立大学でも共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」を設定しています。大学進学を考える受験生にとって、この共通テスト対策は必須といっても過言ではありません。

出題はマーク式、思考力・判断力を重視した作問の工夫がみられる

共通テストの解答方法は「マーク式」のみですが、思考力・判断力・表現力等を一層重視した評価ができるよう、作問や出題形式の工夫がみられます。全体的に知識や解法の暗記のみで解答できるような問題は減少し、より理解の質が問われ、「思考力」「判断力」を発揮して解くことが求められる問題が出題されています。また、グラフ・地図・文章など読み取る資料の分量が多いことが特徴で、授業における学習場面、日常生活の中から課題を発見して解決方法を構想する場面、資料やデータをもとに考察する場面など、学習過程を意識した場面設定が教科・科目を問わずみられます。

出題科目は6教科30科目

共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目で構成されます。この中から、最大8科目(理科①を選択した場合は9科目)を受験できます。受験生は、志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。 それぞれの試験時間帯で受験できる科目は、地理歴史・公民と理科は最大2科目(理科①を選択した場合は3科目)、そのほかの教科は1科目となっています。

2023年度大学入学共通テスト 出題教科・配点・試験時間一覧
教科 科目 配点 試験時間 選択方法
国語 『国語』 200点 80分
地理歴史 「世界史A」「世界史B」
「日本史A」「日本史B」
「地理A」「地理B」
1科目
100点
 
2科目
200点
1科目選択
60分
 
2科目選択
130分
(うち解答時間120分)
10科目から最大2科目を選択解答する(同一名称を含む科目の組合せは不可)
受験科目数は出願時に申請
公民 「現代社会」「倫理」「政治・経済」
『倫理,政治・経済』
数学 「数学Ⅰ」『数学Ⅰ・数学A』 100点 70分 2科目から1科目を選択解答する
「数学Ⅱ」『数学Ⅱ・数学B』
『簿記・会計』『情報関係基礎』
100点 60分 4科目から1科目を選択解答する
理科 「物理基礎」
「化学基礎」
「生物基礎」
「地学基礎」
2科目
100点
2科目選択
60分
8科目から下記のいずれかの選択方法により科目を選択解答する
  • 理科①から2科目
  • 理科②から1科目
  • 理科①から2科目及び理科②から1科目(同一名称を含む科目の組合せも可)
  • 理科②から2科目
選択方法は出願時に申請
「物理」
「化学」
「生物」
「地学」
1科目
100点
 
2科目
200点
1科目選択
60分
 
2科目選択
130分
(うち解答時間120分)
外国語 『英語(リーディング、リスニング)』 各100点
計200点
英語
リーディング80分
リスニング60分
 
その他
80分
5科目から1科目を選択解答する
『ドイツ語』『フランス語』
『中国語』『韓国語』
200点
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次へ
  • 「国語」は「国語総合」の内容を出題範囲とし、近代以降の文章(100点)、古典(古文50点、漢文50点)を出題
  • 「地理歴史および公民」「理科②」の2科目選択者の試験は、解答順に第1解答科目・第2解答科目に区分し、各60分で実施する。試験時間130分には第1・第2解答科目間の答案回収等の時間10分を含む
  • 「英語リスニング」の解答時間は30分、試験時間60分には機器の動作確認等の30分を含む

外国語の「英語」の受験者は、「リーディング」と別時間に実施される「リスニング」の受験が必須となっています。「リーディング」と「リスニング」の配点はそれぞれ100点で、配点比率は1:1となっています。ただし、各大学が成績を利用する際には、配点比率を自由に決めることができるため、そのまま1:1で利用する大学のほか、センター試験時と同じ4:1で利用する大学もあるなど、大学により対応は分かれています。

なお、2023年度高校2年生が受験する2025年度大学入学共通テストからは、新しい学習指導要領に対応した教科・科目で実施されます。「新課程入試のポイント」で具体的な内容を確認できます。

次に、共通テストの出願や受験の際に注意すべき点について確認してみましょう。

出願・受験時に気を付けたいこと

どの科目を受験すればよいの?

共通テストでどの科目を受験すればよいのか?これはみなさんが受験する大学によります。合否判定に用いる共通テストの教科数や指定教科(科目)は大学により異なるのです。

受験に必要な教科数は、国公立大学では多くの大学が5教科以上、私立大学の共通テスト利用方式では2~3教科が一般的です。指定教科(科目)も、大学により異なりますが、理科や地理歴史・公民などは受験生の勉強科目に応じて受験できるよう複数科目から自由に選択できる場合が多くなっています。ただし、学部・学科の性質上、特定科目を必須とするケースもみられます。

科目選択時に注意しなければならない科目は、「英語以外の外国語」「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」「簿記・会計」「情報関係基礎」「地歴A(世界史A・日本史A・地理A)」です。これらを出題科目として指定しない大学が多くみられるためです。また、公民の「現代社会」「倫理」「政治・経済」も、旧帝大などの難関大学では受験できないケースがみられる科目です。

なお、前述のうち数学②の「簿記・会計」「情報関係基礎」は、受験科目として指定されていても、「高等学校においてこれらの科目を履修した者のみ選択可能」といった制限が設けられている場合が多々みられます。

とくに注意が必要な理科の選択方法

理科についてはとくに注意が必要です。受験科目は共通テスト当日に問題を見てから決めることもできますが、A~Dのどのパターンで受験するかについては出願時に申請する必要があります。国公立大学の理系学部では、理科①を認める大学はほとんどみられません。また、理科を2科目必要とする大学も多いため、国公立大学の理系学部を志望するならDパターン、つまり理科②を2科目選択しておくべきでしょう。一方、国公立大学文系学部では、理科①2科目または理科②1科目で受験できる大学がほとんどです。ただし、東京大学や京都大学などのように、理科①、理科②のいずれを選択した場合も2科目を必要とする大学があります。このため、Aパターン、つまり理科①2科目を選択しておくべきでしょう。私立大学に関してもやはり、理系は理科②、文系は理科①と考えておけばよいでしょう。

共通テスト 理科の選択方法
共通テスト 理科の選択方法
  • 大学によっては「物理基礎」と「物理」のように同一名称を含む科目での受験を認めていない場合がある

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第1解答科目指定とは?

地理歴史・公民、理科②において、教科内で1科目のみを合否判定に利用する大学では、2科目受験した受験生の成績は高得点の科目ではなく、第1解答科目(地理歴史・公民、理科②で1科目めに受験した科目)を指定するケースがあります。

とくに、国公立大学では多くの大学が第1解答科目を利用するほか、私立大学でも難関大学を中心に第1解答科目を利用します。どの順番で解答するかは共通テスト当日に自由に選べるため、得意科目を第1解答科目で解くのが基本です。ただし、なかには特定の科目を第1解答科目に指定する大学もあります。志望校が特定の科目を設定している場合は、それに従って受験しなければなりません。志望校の利用方法について確認しておきましょう。

難関国立大学 地歴・公民、理科②成績利用方法例(2023年度入試)
大学 地歴・公民 理科②
第1解答科目 高得点科目 第1解答科目 高得点科目
北海道
東北
東京
東京工業
一橋
名古屋
京都
大阪 ◯*
神戸
九州
  • 大阪大学経済学部は地歴を第1解答科目に指定

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