大学入試の仕組みを理解しよう!共通テストについて理解しよう

共通テストの概要

日本最大規模の試験「共通テスト」

「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」は各大学が独立行政法人「大学入試センター」と共同で実施する試験です。毎年1月中旬の土・日曜の2日間に全国で一斉に実施される、日本最大規模の試験です。

国公立大学の一般選抜受験者は、原則共通テストを受験しなければなりません。また、多くの私立大学でも共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」を設定しています。大学進学を考える受験生にとって、この共通テスト対策は必須といっても過言ではありません。

出題はマーク式、思考力・判断力を重視した作問の工夫がみられる

共通テストの解答方法は「マーク式」のみですが、知識や解法の暗記のみで解答できるような問題は少なく、「思考力」「判断力」を発揮して解くことが求められる問題が出題されています。また、グラフ・地図・文章など読み取る資料の分量が多いことが特徴です。授業における学習場面、日常生活の中から課題を発見して解決方法を構想する場面、資料やデータをもとに考察する場面など、学習過程を意識した場面設定が教科・科目を問わずみられます。

出題科目は7教科21科目

共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語・情報の7教科21科目で構成されます。この中から、最大9科目を受験できます。受験生は、志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。 それぞれの試験時間帯で受験できる科目は、地理歴史・公民と理科は最大2科目、そのほかの教科は1科目となっています。

国語は「近代以降の文章(いわゆる現代文)」「古文」 「漢文」が出題されます。「近代以降の文章」が3問で計110点、「古文」が1問で45点、「漢文」が1問で45点となっています。地理歴史および公民は、地理歴史から3科目、公民から2科目、そして地理歴史、公民それぞれの必履修科目からなる「地理総合/歴史総合/公共」の合計6科目が出題され、最大2科目まで受験できます。数学は①と②があり、それぞれ1科目を受験できます。数学①は「数学Ⅰ,数学A」と「数学Ⅰ」のどちらかを選択します。数学②は「数学Ⅱ,数学B,数学C」のみが出題されます。試験時間はそれぞれ70分です。理科は計5科目が出題され、最大2科目まで選択できます。外国語は計5科目が出題され、この中から1科目を選択します。試験時間は80分、「英語」受験者には別にリスニング試験が課されます。配点は、リーディング、リスニングそれぞれ100点となっています。情報は「情報Ⅰ」が出題され、試験時間は60分です。

2026年度大学入学共通テスト 出題教科・配点・試験時間一覧
教科 科目 配点 試験時間 選択方法
国語 『国語』 200点 90分
地理歴史 『地理総合,地理探究』
『歴史総合,日本史探究』
『歴史総合,世界史探究』
『公共,倫理』
『公共,政治・経済』
『地理総合/歴史総合/公共』
1科目
100点
 
2科目
200点
1科目選択
60分
 
2科目選択
130分
(うち解答時間120分)
6科目から最大2科目を選択解答する(2科目同時に選択できない組み合わせあり)
『地理総合/歴史総合/公共』は3分野から2つ選択解答
受験科目数は出願時に申請
公民
数学 『数学Ⅰ,数学A』『数学Ⅰ』 100点 70分 2科目から1科目を選択解答する
『数学Ⅱ,数学B,数学C』 100点 70分
理科 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』
『物理』
『化学』
『生物』
『地学』
1科目
100点
 
2科目
200点
1科目選択
60分
 
2科目選択
130分
(うち解答時間120分)
5科目から最大2科目を選択解答する
『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』は4分野から2つ選択解答
受験科目数は出願時に申請
外国語 『英語(リーディング、リスニング)』 各100点
計200点
英語
リーディング80分
リスニング60分
 
その他
80分
5科目から1科目を選択解答する
『ドイツ語』『フランス語』
『中国語』『韓国語』
200点
情報 『情報Ⅰ』 100点 60分
前へ
次へ
  • 『地理総合/歴史総合/公共』や『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』にある“/ ”は, 一つの出題科目の中で複数の出題範囲を選択解答することを表す
  • 『国語』は「現代の国語」および「言語文化」の内容を出題範囲とし、近代以降の文章(110点)、古典(古文45点、漢文45点)を出題
  • 「地理歴史および公民」「理科」の2科目選択者の試験は、解答順に第1解答科目・第2解答科目に区分し、各60分で実施する。試験時間130分には第1・第2解答科目間の答案回収等の時間10分を含む
  • 「英語リスニング」の解答時間は30分、試験時間60分には機器の動作確認等の30分を含む

次に、共通テストの出願や受験の際に注意すべき点について確認してみましょう。

出願・受験時に気を付けたいこと

どの科目を受験すればよいの?

共通テストでどの科目を受験すればよいのか?これはみなさんが受験する大学によります。合否判定に用いる共通テストの教科数や指定教科(科目)は大学により異なるのです。

受験に必要な教科数は、国公立大学では多くの大学が6教科、私立大学の共通テスト利用方式では2~3教科が一般的です。指定教科(科目)も、大学により異なりますが、地理歴史・公民や理科などは受験生の勉強科目に応じて受験できるよう複数科目から自由に選択できる場合が多くなっています。ただし、学部・学科の性質上、特定科目を必須とするケースもみられます。

科目選択時に注意しなければならない科目は、「英語以外の外国語」「数学Ⅰ」です。これらを出題科目として指定しない大学が多くみられるためです。また、国公立大学の理系学部では、理科の「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」を認めていない大学が多くみられるほか、旧帝大などの難関国立大学を中心に地理歴史・公民の「地理総合/歴史総合/公共」を認めていない大学があります。上記の科目で受験を検討するなら、志望校の科目設定状況は確認しておきたいところです。

地理歴史・公民を2科目受験するなら科目の組み合わせに注意

共通テスト 地理歴史・公民2科目受験時に選択可能な組み合わせ一覧
共通テスト 地公の選択方法
  • ○:選択可能、×:選択不可

[表をクリックで拡大]

地理歴史・公民を2科目受験する場合、特定の科目の組み合わせは選択できないため、注意が必要です。まず、「公共,倫理」「公共,政治・経済」は同時に選択することができません。2科目受験するなら少なくとも1科目は地理歴史の科目を選択することになります。また、「地理総合/歴史総合/公共」では3分野のうち2つを選択解答しますが、もう一方の科目については「地理総合/歴史総合/公共」で選択した2分野と同一名称を含む場合、選択することはできません。例えば、「地理総合/歴史総合/公共」で「地理総合」と「公共」を選択した場合、もう一方の科目で「地理総合,地理探究」「公共,倫理」「公共,政治・経済」を選択することができません。いずれも科目の名称に「地理総合」または「公共」が含まれるからです。この場合は「歴史総合,日本史探究」または「歴史総合,世界史探究」のみ選択することができます。

第1解答科目指定とは?

地理歴史・公民、理科において、教科内で1科目のみを合否判定に利用する大学では、2科目受験した受験生の成績は高得点の科目ではなく、第1解答科目(地理歴史・公民、理科で1科目めに受験した科目)を指定するケースがあります。

とくに、国公立大学では多くの大学が第1解答科目を利用するほか、私立大学でも難関大学を中心に第1解答科目を利用します。どの順番で解答するかは共通テスト当日に自由に選べますが、得意科目を第1解答科目で解くのが基本です。ただし、なかには特定の科目を第1解答科目に指定する大学もあります。志望校が特定の科目を設定している場合は、それに従って受験しなければなりません。志望校の利用方法について必ず確認しておきましょう。

前へ

次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
大学入試の仕組みを理解しよう!

PAGE TOP