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2020年度入試を振り返る私立大 全体概況

志願者数は14年ぶりに減少

5月20日時点で判明している全国546私立大学の延べ志願者数は、前年比97%と減少しました<図表1>。実に14年ぶりの減少です。大学志願者数自体の減少が、私立大の志願者数にも影響しました。また、大学入学共通テスト導入に代表される新入試を翌年に控え、推薦入試やAO入試などを活用し早期に進学先を決めた受験生が例年以上に多かったことも志願者減少の要因です。

方式別にみると、一般方式では前年を上回る志願者数だったのに対し、センター方式では前年から1割減と高い減少率となりました。2019年度入試ではセンター方式の志願者数が増加し倍率が上昇したため、警戒されたようです。また、今春のセンター試験の主要科目(英語・数学・国語)で平均点がダウンした影響で、センター試験後に出願可能なセンター方式では、志願者が大きく減少した大学が散見されました。

合格者数に目をむけると、私立大全体では前年比108%と前年から7万人増加しました。2017・18年度入試では入学定員超過是正を目的として都市部の大規模大を中心に合格者数を減らす動きがみられましたが、2019年度入試では入学定員の適正化を済ませた大学も多く、合格者数は3年ぶりに増加しました。今春は、前年をさらに上回る合格者数となり、倍率(志願者÷合格者)は4.2倍から3.8倍までダウンしました。期別の合格者数をみると、二期(後期)で大きく増加しました。

<図表1> 私立大 入試結果
志願者数(A) 合格者数(B) 倍率(A/B)
2019 2020 前年比 2019 2020 前年比 '19 '20
全体 3,873,922 3,766,416 97% 921,587 991,624 108% 4.2 3.8
方式別 一般 2,550,364 2,572,164 101% 554,626 622,672 112% 4.6 4.1
センター 1,323,558 1,194,252 90% 366,961 368,952 101% 3.6 3.2
期別 一期 3,521,264 3,431,771 97% 844,281 898,929 106% 4.2 3.8
二期 352,658 334,645 95% 77,306 92,695 120% 4.6 3.6
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※5/20現在、河合塾調べ(546大学判明分)

社会科学系の人気低調、理・工・農で増加

<図表2>は学部系統別の志願・合格状況です。文系の各系統では志願者が軒並み減少しました。とくに、文系のなかでも最も志願者を集める社会科学系では、「社会・国際」「法・政治」学系が前年から1割減と高い減少率となりました。一方、理系学部では「理」「工」「農」学系で志願者が増加し、堅調な人気を示しました。医療系では、医学科の志願者は前年比98%と前年に続いて減少しましたが、国公立大医学科と比べると減少率は小幅です。一方、歯、薬では高い減少率となりました。2019年度入試で志願者が大きく増加した「学際(総合・環境・情報・人間)」系では、前年倍率が上昇した反動からか警戒された様子がみられました。

合格状況に目をむけると、すべての系統で前年を上回る合格者数となりました。「社会・国際」「法・政治」「経済・経営・商」学系では、前年から1割以上増加しました。これらの系統では、志願者減少・合格者増加にともない倍率が前年から大きくダウンしており、競争が緩和されました。「理」「工」学系では、志願者数の増加率同等に合格者数も増加しており、倍率に変化はありませんでした。

<図表2> 私立大 学部系統別の志願・合格状況
<図表2> 私立大 学部系統別の志願・合格状況

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都市部も競争緩和が明確に

大学の所在地区別に状況をみると、首都圏、近畿地区では志願者が減少した一方、北海道、東北、九州などの地区では志願者が増加しました<図表3>。首都圏、近畿地区では、定員規模の大きい難関大を中心に厳しい入試が続いたため、警戒されたようです。一方、合格者数は北陸地区を除く全地区で増加しました。志願者の増加率が高い北海道、九州地区などでは倍率はややアップしましたが、首都圏、近畿地区では4倍台前半までダウンしており、競争が緩和された様子がみられました。

<図表3>私立大 地区別の志願・合格状況
<図表3>私立大 地区別の志願・合格状況

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<図表4>は、都市部の主な私立大の志願者・合格者数の前年比を大学グループごとに並べたものです。これらの大学では、日本大、立命館大、京都産業大を除き志願者が軒並み減少しました。前述したように今春は受験生の安全志向が高まり、例年以上に有名大の挑戦に消極的な受験生が多かった様子が見られました。また、前年志願者が減少し倍率がダウンした大学・学部では志願者増加が目立ち、有名大のなかでも狙い目にうつったところに受験生が集中しました。

一方、合格者数は慶應義塾大、関西大、関西学院大では減少したものの、その他の大学では前年並みまたは増加しました。前年から1割以上合格者数を増やした大学も少なくなく、このうち志願者が大きく減少した大学などでは、倍率も大きくダウンしました。

個別の大学をみると、「早慶上理」グループでは、とくに上智大の増加率の高さが目をひきます。上智大では、正規の合格者数は減少しましたが、追加合格者数を前年から約1千人増やしたことが総合格者数の増加につながりました。

「MARCH」グループでは、立教大の志願者が最も高い減少率となりました。一方、合格者数は増加したことから、大学全体の倍率は前年の6.1倍から5.0倍へダウンしました。明治大、法政大では、志願者が減少したものの今春も10万人を超える志願者を集めており、高い人気を維持したといえます。

「日東駒専」グループでは、日本大学で志願者が前年から1割以上増加しました。日本大では2019年度入試で志願者が大きく減少しており、その揺り戻しです。ただし、合格者数の増加率も高く、大学全体の倍率は3.3倍(前年:3.5倍)と概ね前年並みとなりました。駒澤大では、志願者減少率の高さが目をひきますが、とくにセンター方式で大きく減少しました。2019年度入試では、センター方式に志願者が集まり倍率が8.8倍まで高騰し難化したため、多くの受験生に警戒されたようです。結果として、今春入試ではセンター方式の倍率は3.3倍までダウンし、2018年度入試並みの難易度に戻りました。

西の大学グループに目をむけると「関関同立」グループでは、グループ内で唯一の志願者増となった立命館大では、今春の志願者数は16年ぶりに10万人を超えました。関西学院大では、他の大学と異なり合格者数が大きく減少しましたが、志願者は合格者以上に減少率が高かったため、倍率に大きな変化はありませんでした。

「産近甲龍」グループでも同様に、京都産業大を除いて志願者が軒並み減少しました。京都産業大では、2019年度入試で倍率が大きくダウンした反動で志願者が増加しました。2014年度以降、全国で最も志願者を集めている近畿大では、今春の志願者数は前年から9千人減少したものの、14万人を超えています。近畿大では合格者の増加率が高く、倍率は前年の5.5倍から4.3倍へダウンしました。

<図表4> 主な私立大 志願・合格状況
<図表4> 主な私立大 志願・合格状況

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