化学

共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

河合塾講師からの学習アドバイス

化学学習アドバイス

共通テストでは、化学の基本的な知識を問う問題とともに、問題の意図に沿って必要な情報を抽出し、基本的な知識と組み合わせて思考を組み立てていく問題が出題されます。また、2024年度までと同様、2025年度も教科書には記載されていない反応や現象などを考察する問題が出題されました。

1.基本事項を確実に身につけよう
教科書に記載されている基本事項、知識、計算を確認する問題が多く出題され、これらは確実に得点したいところです。また、思考力を要する問題も、基本的な知識を組み合わせて解いていきます。したがって、基本事項を確実に身につけることが何よりも重要です。共通テスト形式の問題にこだわる必要はなく、教科書の問題や教科書傍用問題集などを使うとよいでしょう。
知識が必要な分野では、教科書などで基本事項を確認、暗記したうえで、問題演習により知識を定着させましょう。計算問題では、計算式の立て方や考え方を理解しながら学習を進めましょう。
2.知識を組み立てる力をつけよう
初見の内容に関する問題文の中から必要な情報を抽出し、教科書で学んだ基本知識や法則と照らし合わせて、解法の道筋を組み立てていく力も問われます。また、公式に数値を当てはめるだけでは太刀打ちできない複数の思考過程を要する計算問題も出題されます。60分という限られた時間の中で思考力を要する問題に対処するためには、複数の知識、基本事項をどのように組みわせていくかの解法パターンをある程度もっている必要があります。
このような問題の対策としては、全統共通テスト模試、国公立大二次試験や私立大の入試問題の演習があります。特に、全統共通テスト模試ではこうした思考型の問題が必ず出題され、解法の道筋が解説に記載されるので、ぜひ活用してください。
3.教科書の「探究」や「実験」を活用しよう
思考力を要する問題に対応する力を養うための方法の一つとして、教科書の「探究」や「実験」の活用があります。「探究」や「実験」では、原理や法則を確認するために、実験計画を立案し、具体的に起こった現象を考察し、データから必要な情報を取り出すプロセスが提示されています。学校で実験の授業があれば積極的に取り組み、その機会がない場合でも、目標、仮説、操作、考察などの項目に目を通しておきましょう。

2025年度共通テスト「化学」問題構成と設問別分析

問題構成

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 20 6 結晶、気体、気体の溶解度、コロイド、希薄溶液の性質
2 物質の変化 20 6 化学反応と光、電池、電離平衡、化学平衡
3 無機物質、物質の変化 20 8 無機物質、化学反応と量的関係
4 有機化合物、高分子化合物 20 8 脂肪族化合物、芳香族化合物、高分子化合物
5 【新課程生必答問題/旧課程生等選択問題】
物質の構成、物質の変化、有機化合物
20 6 原油の分留、有機化合物、高分子化合物、化学反応と熱、化学反応と量的関係
6 【旧課程生等選択問題】
物質の構成、物質の変化、有機化合物
20 6 原油の分留、有機化合物、高分子化合物、化学反応と熱、化学反応と量的関係
合計 100 34
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設問別分析

第1問
結晶の分類、理想気体と実在気体、気体の溶解度、コロイド、希薄溶液の性質が出題された。
問1は、イオン結晶を選択する問題であった。
問2は、理想気体と実在気体に関する正誤問題であった。
問3は、気体の溶解度に関する計算問題であった。気体の発生量が、溶解量の減少量に相当することに着目するとよい。
問4は、コロイドに関する正誤問題であった。
問5は、海水から塩化ナトリウムや淡水を得る方法に関する問題であった。aは、海水の減圧蒸留に関する内容で、与えられた沸点上昇度を考慮して、蒸気圧曲線を読み取る点に注意する必要があった。bは、逆浸透を利用して塩化ナトリウム水溶液から水を得る内容で、浸透圧が装置の両側の圧力の差であること、塩化ナトリウムは水溶液中で電離することに注意して解答する問題であった。
第2問
化学反応と光、電池、電離平衡、化学平衡が出題された。
問1は、化学発光に関する選択問題であった。
問2は、ニッケル・カドミウム電池に関する計算問題であった。
問3は、弱酸の水溶液の希釈によるpH変化のグラフを選択する問題であった。10倍に希釈するとpHが0.5大きくなることから正答を判断できる。
問4は、ハーバー・ボッシュ法に関する化学平衡の問題であった。aは、圧平衡定数と濃度平衡定数の関係が問われた。bは、平衡状態に達したときのアンモニアの体積百分率を求めたうえで、反応温度を図から読み取る問題であった。cは、アンモニアの体積百分率の時間変化のグラフを選択する問題で、温度上昇による反応速度とアンモニアの生成量の変化を考えるとよい。
第3問
無機物質に関する大問であり、遷移元素の化合物、ケイ酸ナトリウムと水ガラス、気体の生成と性質、ヨウ素を題材とした問題が出題された。
問1は、遷移元素の化合物の反応に関する正誤問題であった。
問2は、ケイ酸ナトリウムと水ガラスに関する正誤問題で、二酸化ケイ素からシリカゲルに至る反応の経路の知識を要する。
問3は、気体の性質、捕集、保存、検出に関する正誤問題で、与えられた反応式から気体を決定したうえで解答する内容であった。
問4は、ヨウ素の生成・製造に関する問題であった。aは、反応式中の物質の酸化還元および溶解性に関する正誤問題、bは、化学反応式の係数を決定する問題であった。cは、与えられた二つの化学反応式から地下水に含まれていたヨウ化ナトリウムのモル濃度を求める問題であった。化学反応式の係数、地下水の体積に着目すると正答に至る。
第4問
有機化合物に関する大問で、天然有機化合物・合成高分子化合物を含めて出題された。
問1は、酸素を含む有機化合物の反応に関する正誤問題であった。
問2は、アクリル酸メチルとアニリンの反応で生成する化合物を選択する問題で、与えられた三つの条件を一つずつ吟味することで正答を判断できる。
問3は、天然有機化合物に関する正誤問題であった。
問4は、アセチレンとその利用に関する問題であった。aは、アセチレンに関する正誤問題であった。bは、アセチレンを原料としたビニロンの合成経路に関して、反応名および中間生成物を選択する問題であった。cは、ブチルアルデヒドを用いたポリビニルアルコール(PVA)のアセタール化(ポリビニルブチラールの合成)において、アセタール化されたヒドロキシ基の割合を求める問題であった。ホルムアルデヒドを用いたビニロン合成の計算と同様の考え方を適用できるかがポイントであった。
第5問
【新課程生必答問題/旧課程生等選択問題】
原油を分留して得られた物質に関する総合問題であった。
問1は、原油の分留による留出物に関する問題で、高校の教科書では参考として扱われているナフサ、灯油、軽油の沸点の順の知識を必要とした。
問2は、ベンゼンからナイロン6を合成する反応経路に関する問題であった。
問3は、バナジウムを題材とした問題で、aは酸化数、bはナフタレンの空気酸化による生成物が問われた。cは与えられた生成エンタルピーを用いて、酸化バナジウム(V)からバナジウムを生成させる2つの経路の反応エンタルピーの大小を比較する問題であった。dはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いてバナジウムの量を求める問題であり、必要としたEDTAの物質量とバナジウムの物質量が等しいこと、溶液を取り分けしていることに注意して解答する内容であった。
第6問
【旧課程生等選択問題】
原油を分留して得られた物質に関する総合問題であった。
問1は、原油の分留による留出物に関する問題で、高校の教科書では参考として扱われているナフサ、灯油、軽油の沸点の順の知識を必要とした。
問2は、ベンゼンからナイロン6を合成する反応経路に関する問題であった。
問3は、バナジウムを題材とした問題で、aは酸化数、bはナフタレンの空気酸化による生成物が問われた。cは与えられた生成熱を用いて、酸化バナジウム(V)からバナジウムを生成させる2つの経路の反応熱の大小を比較する問題であった。dはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いてバナジウムの量を求める問題であり、必要としたEDTAの物質量とバナジウムの物質量が等しいこと、溶液を取り分けしていることに注意して解答する内容であった。

共通テスト「化学」平均点の推移

年度 2025年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度
平均点 45.34 54.77 54.01 47.63 57.59
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  • 2023年度は得点調整後の平均点
  • 2021年度は大学入学共通テスト第1日程の平均点(得点調整後)
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