物理基礎
共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
河合塾講師からの学習アドバイス
物理基礎学習アドバイス
2025年度共通テストは、日常で観察する物理現象に関する実験を題材とする問題が2024年度同様出題され、毎年出題されているやや複雑な数値計算や文字計算も出されています。また、2024年度同様実験データのグラフや正しい図の選択問題も問われました。2025年度は会話文形式の問題は出題されませんでしたが、熱と電気の融合問題が出題されました。この5年間の出題形式はさまざまな形をとっており、2026年度もまた、会話文形式での問題や融合問題などが出題される可能性もあります。以上のことから、次のようなポイントを意識して、学習していくとよいでしょう。
- 1.実験を行う/実験の方法を学ぶ
- 学校などで実験する機会があれば、実験器具や実験データの取り扱いを学ぶことができます。実際に経験すれば、理解もしやすく、印象にも残ります。特に、教科書に記載されている探究活動は積極的に取り組みましょう。さらに、実験結果の誤差の原因を考察し、まとめておくことも大切です。
実際には実験できなかったという場合もあるでしょう。物理基礎では、問題の難易度は抑えてあるので、意識的に学習すれば、過去5カ年の共通テストのような実験を題材にした問題からも十分に学ぶことができます。 - 2.論理的思考の訓練をする
- 「会話文における考察の空所補充問題」などでは、考察の論理の流れをつかむことが重要です。もし受験生が詳しくない内容を扱っていても、文章を読むことによってその場で理解できるようにつくられているはずです。日々の学習においても、ただ知識を覚えて、それをもとに答える単純作業だけでなく、「論理的に、順を追って考える」ことや「いま成り立つことと成り立たないことを、しっかり認識する」ことを、心掛けましょう。
- 3.根幹は、これまで通りの基本を大切にした学習
- 新傾向の問題でも、解くときに用いるのは物理基礎の法則や公式です。また、これまでもよく見られた各分野の法則・公式を満遍なく理解しているかを確認する問題も出題されています。まずは基本法則・公式をしっかり学習しましょう。教科書の探究活動にある実験は出題の可能性が高いので積極的に取り組み、そのデータをノートに記載し解析する練習が大切です。その際の数値計算では有効数字を意識した計算練習もしておきましょう。また、教科書を読むだけでは力になりません。基本~標準レベルの典型問題を演習し、理解を深め定着させましょう。
2025年度共通テスト「物理基礎」問題構成と設問別分析
問題構成
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
---|---|---|---|---|
1 | 小問集合 | 16 | 4 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 16 | 5 | アトウッドの装置による重力加速度の測定の探究課題 |
3 | 熱とエネルギー | 18 | 6 | 熱量計を用いた比熱の測定 |
合計 | 50 | 15 |
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設問別分析
- 第1問
- 原子1題・力学1題・波動2題の小問集合。
問1は、放射線の性質と利用に関する問題。
問2は、3物体について力学的エネルギー保存則を用いた最高点の高さを比較する問題。
問3は、うなりに関する基本問題。
問4は、縦波に関する組み合わせ問題。 - 第2問
- 滑車と2つのおもりを用いて重力加速度の大きさを測定するという探究課題についての出題。運動方程式から加速度を求める過程は省略され、結果が与えられている。
問1は、等速直線運動をする2つのおもりを繋ぐ糸の張力を求める問題。力のつり合いから容易に求められる。
問2は等加速度直線運動に関する基本問題である。
問3は、実験装置の構造をしっかり認識し、おもりBが等速直線運動をすることから、速さが求まる。
問4は、横軸に距離、縦軸に速さの二乗のグラフ選択問題で、初速度が0から判断する。
問5は、運動方程式と問4のグラフの傾きから重力加速度を表す文字計算問題。 文字計算問題で、苦戦した受験生も少なからずいたであろう。 - 第3問
- 問1は、熱容量の意味を問う4つの語の組合せ問題。
問2は、抵抗で発生する熱量と熱容量を用いて物体の温度上昇を求める文字計算の問題。
問3は、実験回路における電圧計・電流計の接続に関する問題で、戸惑った受験生もいたと思われる。
問4は、抵抗で発生した熱量を数値で求める問題。スイッチの開閉の時刻をしっかり読むことが大切となり、その時間で液体の温度上昇をデータから読み取り、比熱を数値で求める問題。
問5は、実験誤差の原因を考える語句の組合せ問題。液体以外に吸収された熱量に関してしっかり考える必要がある。
共通テスト「物理基礎」平均点の推移
年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 24.78 | 28.72 | 28.19 | 30.40 | 37.55 |
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