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物理基礎

共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

河合塾講師からの学習アドバイス

物理基礎学習アドバイス

2024年度共通テストは、グラフの選択問題や日常で観察する物理現象に関する実験を題材とする問題が2023年度同様出題され、毎年出題されているやや複雑な数値計算や文字計算も出題されました。また、2023年度には出題されなかった会話文形式で総合的に考察する問題が復活しました。この4年間での出題形式はさまざまなかたちをとっています。2025年度もまた、会話文形式の融合問題などが出題される可能性もあります。以上のことから、次のようなポイントを意識して、学習していくとよいでしょう。

1.実験を行う/実験の方法を学ぶ
学校などで実験する機会があれば、実験器具や実験データの取り扱いを学ぶことができます。実際に経験すれば、理解もしやすく印象にも残ります。特に、教科書に記載されている探究活動は積極的に取り組みましょう。
実際には実験できなかったという場合もあるでしょう。物理基礎では、問題の難易度は抑えてあるので、意識的に学習すれば、今回の共通テストのような実験を題材にした問題からも十分に学ぶことができます。
2.論理的思考の訓練をする
「会話文における考察の空所補充問題」などでは、考察の論理の流れをつかむことが重要です。もし受験生が詳しくない内容を扱っていても、文章を読むことによってその場で理解できるようにつくられているはずです。日々の学習においても、ただ知識をつけてそれをもとに答える単純作業だけでなく、「論理的に、順を追って考える」ことや「いま成り立つことと成り立たないことを、しっかり認識する」ことを心掛けましょう。
3.根幹は、これまで通りの基本を大切にした学習
新傾向の問題でも、解くときに用いるのは物理基礎の法則や公式です。法則や公式が正しく理解できていなければ、すべてを正解することはできません。また、これまでもよく見られた従来型の問題も出題されています。まずは基本法則・公式をしっかり学習しましょう。教科書の探究活動にある実験は出題の可能性が高いので積極的に取り組み、そのデータをノートに記載し解析する練習が大切です。その際の数値計算では有効数字を意識した計算練習もしておきましょう。教科書を読むだけでは力になりません。問題演習を通じて、理解が深まり定着していきます。基本~標準レベルの典型問題を演習し、学んでいきましょう。

参考:2024年度共通テスト「物理基礎」問題構成と設問別分析

問題構成

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 小問集合 16 4 各分野の基本問題
2 力学 18 5 浮力に関する探究活動
3 波動 16 8 3つの異なる方法での音速の測定
合計 50 17
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設問別分析

第1問
熱、力学、電気、エネルギー変換からの小問集合。基本法則・基本知識から正解を得ることができる。
問1は、熱量の保存の典型問題で数値計算。
問2は、仕事と力学的エネルギーの関係についての文字式選択問題。
問3は、電流の大きさの定義の確認問題。1Aが1C/sであることを用いる数値計算問題。
問4は、白熱電球およびLED電球の光エネルギーへの変換効率についての数値の組合せ問題。
第2問
ジャガイモを用いた探究活動を通して、浮力について考察する問題。
問1は、浮力に関する知識問題。浮力がはたらく物体の体積を、与えられた密度と質量から表すことに気づく必要がある。
問2は、水中で静止しているジャガイモにはたらく力のつり合いと、実験データを用いて浮力の大きさを求める問題。
問3は、実験で得られたデータを正しくグラフ化したものを選ぶ問題。実験データをいくつかプロットして、それらを通る形のグラフを選べばよい。
問4は、物体の形状と浮力の大きさの関係についての問題。図3の直線的な変化から、物体が水に沈んでいく間、沈んだ深さに比例して浮力が大きくなっていくことがわかれば、高さと体積が比例する円柱が正答と選べる。
問5は、計量カップの底で静止しているジャガイモにはたらく力を考察する問題。張力ははたらいていないことに注意する。
第3問
三つの異なる方法で音速を測定する問題。
問1は、気温が高いと音速が大きくなるという関係と、波の基本式を確認する問題。
問2、3は、ストップウォッチで音速を測定し、その誤差の原因を考える問題。測定値が本来の値より小さいことから、ストップウォッチの操作にどのような原因があるかを考える。測定時間が長くなる可能性のある操作の組み合わせを選ぶ問題だが、題意の把握が難しい。
問4は、二つの電子式メトロノームを用いて、音速を測定する問題。題意を理解し、複数のステップで求めていくため、やや難しい。音の周期を求めることがポイント。
問5は、気柱の共鳴実験から音速を求める問題。内容は典型的。
問6は、これまでの計算から音速が約340m/sであることがわかるので、それを用いて超音波の波長を求める計算問題。音速が約340m/sであることは、覚えている受験生も多いであろう。

参考:共通テスト「物理基礎」平均点の推移

年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
平均点 28.72 28.19 30.40 37.55 33.29
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