歴史総合,日本史探究
共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
河合塾講師からの学習アドバイス
歴史総合,日本史探究学習アドバイス
- 1.共通テストを解くうえで必要な学力
- 2025年度本試験や2022年に公表された試作問題を基に考察すると、「歴史総合,日本史探究」で基本的に要求される学力は、出来事の因果関係を正しく理解する力、歴史名辞の意味を正確に理解する力、史料や統計表などの資料を読解できる力などが中心といえます。
- 2.史料・図版・グラフ・統計表など資料を利用した設問が出る!
- 「歴史総合,日本史探究」では、史料・図版・略系図・地図・グラフ・統計表など諸資料を利用した設問が多く出題されます。受験生に思考力・判断力を求める共通テストでは、資料重視の傾向が強く、上述した諸資料の読解力・分析力の養成は、高得点を取るためには不可欠です。
- 3.問題を解くことからすべてが始まる!
- 2026年度共通テスト受験生には、とにかく問題演習量の確保を徹底してほしいと思います。過去問が1年分しかない科目ですので、まずは2025年度本試験や先述した試作問題に取り組み、次に旧課程の共通テスト日本史A・Bの問題も解きましょう。実際の問題を解くことで、思考力・判断力を求める共通テストの問いの立て方を感じることができます。そのうえで本格的な学習計画を立ててください。
そして、学習を進める際、市販の共通テスト「歴史総合,日本史探究」対策問題集を利用するなどして問題演習量を確保することを忘れないようにしましょう。特に、全体の4分の1(配点25点)を占める「歴史総合」は要注意です。2025年度本試験の「歴史総合」では、世界史の知識が必要な設問も全8問中3問ですが出題されました。
高得点が必要なら、歴史総合教科書の世界史分野の学習にも丁寧に取り組む方がよいでしょう。また、当然ながら思考力・判断力を育成する前提として知識を身につけることも重要です。多くの過去問がある旧センター試験日本史A・Bの問題なども積極的に解くなどして知識面の強化をはかりましょう。とにかく、多くの問題を解いて実戦力を高めていってください。
2025年度共通テスト「歴史総合,日本史探究」問題構成と設問別分析
問題構成
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
---|---|---|---|
1 | 歴史上の境界(歴史総合) | 25 | 8 |
2 | 菓子に着目した探究活動(日本史探究) | 15 | 5 |
3 | 古代の外交と文化の関わりについての探究(日本史探究) | 15 | 5 |
4 | 中世の武士についての探究(日本史探究) | 15 | 5 |
5 | 「近世の村」の探究(日本史探究) | 15 | 5 |
6 | 「松本清張」の探究(日本史探究) | 15 | 5 |
合計 | 100 | 33 |
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設問別分析
- 第1問
- 歴史上における境界をテーマとする探究活動を素材に、18世紀末から20世紀後半までを総合的に問うている。問1は、設問文の「18世紀末」という時期をヒントに解答したい。問2は、資料中の「一昨年に台湾出兵が発生した」から時期を判断して解答したい。問3は、「穀物法」からイギリスと判断したいが、世界史の知識が要求されるため、受験生は苦戦しただろう。問7も、世界史の知識が必要であり、特にメモIとメモIIIの時期の前後関係の判断が難しい。<歴史総合の第1問と共通問題>
- 第2問
- 菓子をテーマとする探究活動を素材に、古代から近代を総合的に問うている。問1は、会話文の内容から、資料1を受け取った人物を田沼意次と判断して解答したい。問2の「あ」は、資料2中の「欧州製菓の輸入途絶」から第一次世界大戦を想起して正誤を判断したい。問4は、下線部の「禅宗寺院」に着目して解答したい。問5は、授業で学んだ知識だけでなく、会話文の内容をヒントに解答したい。
- 第3問
- 大宰府跡などの遺跡や近くの博物館の見学をテーマとする探究活動を素材に、古代の外交を中心に問うている。問1は、新羅の成立が4世紀であることから判断したい。問3は、渤海が7世紀末から10世紀前半に存在した国であることを踏まえた上で、資料中の「宋」「聖武天皇」「隋の煬帝」「雄略天皇」などから時期を判断して解答したい。
- 第4問
- 中世の武士についての探究活動を素材に、中世を総合的に問うている。問1は、会話文や資料1の内容を踏まえて解答したい。問2は、「い」については図に石築地がみえること、「Y」については会話文の「1324年」と資料2の内容から判断して解答したい。問4は、近世の統一権力による貨幣鋳造という文脈に合致するものは何かを判断したい。
- 第5問
- 近世の村についての探究活動を素材に、近世の社会経済を中心に問うている。問3のIIIは、「耕地の喪失や細分化を規制」から田畑永代売買の禁令・分地制限令を想起したい。問5は、知識のほかメモ3・グラフの内容を組み合わせて解答したい。
- 第6問
- 松本清張についての探究活動を素材に、近代・戦後を総合的に問うている。問1の「あ」「い」は、資料1中の『読売新聞』の記事の内容と『朝日新聞』の記事の日付に着目して正誤を判断したい。問3のIIIは、大正時代のことであるが、判断に迷った受験生もいただろう。問4は、破壊活動防止法が独立回復後初のメーデーにおいてデモ隊と警官隊とが衝突した事件(血のメーデー事件)を契機に制定されたことを想起したい。問5の「Y」は、「規制緩和・構造改革」が政治課題として掲げられたのは2000年代の小泉純一郎内閣の時であることから誤りと判断したい。
共通テスト「歴史総合,日本史探究」平均点の推移
年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 56.99 | 56.27 | 59.75 | 52.81 | 64.26 |
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- 2024年度までは「日本史B」の平均点
- 2021年度は大学入学共通テスト第1日程の平均点