数学Ⅱ,数学B,数学C
共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
河合塾講師からの学習アドバイス
数学Ⅱ,数学B,数学C学習アドバイス
- 1.知識をつけて、理解する
- まずは、数学の知識をつけることが必須です。共通テストの『数学II,数学B,数学C』においては、二次・私大の入試でよく問われるような問題や、数学の定理・公式を導くような問題も出題される可能性があります。
とくに現役生の中には「見たことのある問題には手をつけられるが、少し見た目が変わると何をしていいかわからなくなる」という方がいますので、マーク型という形式にとらわれず、授業や自学などで幅広い知識を得るようにしましょう。
また、論理的に考える力や、数学の根本的な原理を確実に理解していることも非常に重要です。答えや解法を単に覚えるのではなくしっかり理解すること、証明問題に取り組むことなども共通テスト対策として有効です。 - 2.読解力をつける
- 共通テストの数学では、多くの文章を読まなければならない問題もあります。こうした問題を解くためには、問題文から出題者の意図を正しく読み解く必要があります。このような読解力をつけるために、参考書や問題集の解答を読んで、自分の力でそれを理解するところから始めるとよいでしょう。自分以外の人が書いた解答に触れることが大切で、他人の答案を読むことや他人と数学の問題について議論することも効果的です。
- 3.速く、正確に解く計算力をつける
- 共通テストには煩雑な計算をしなければならない問題も出題されます。計算力をつけるためには、急いで計算するのではなく、ミスが少なくなるような自分の計算スピードを把握することが重要です。計算スピードが遅いと感じている人は、自ら手を動かして計算しないことには計算力が身につきません。計算練習は毎日しましょう。
- 4.共通テスト対策問題に取り組む
- 『数学II,数学B,数学C』の試験時間は70分であり、『数学II』から出題される3単元は必答問題で、『数学B,数学C』では4単元のうちから3単元を選択する形式となっています。大問数が多いので、70分間の使い方に十分注意しながら共通テストの対策問題集に取り組むようにしましょう。日常生活の問題や、それまでの解法を参考にして自力で解く問題、および会話文を含む問題など共通テスト特有の問題については、ある程度の演習・経験が必要です。
2025年度共通テスト「数学Ⅱ,数学B,数学C」問題構成と設問別分析
問題構成
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
---|---|---|---|
1 | 三角関数 | 15 | sinA=sinB の形の方程式を誘導に従って解く |
2 | 対数関数 | 15 | 水草が水面を覆う面積、常用対数とその表 |
3 | 微分法・積分法 | 22 | 極大、極小、グラフ、積分、面積 |
4 | 数列 | 16 | 領域内の格子点の個数 |
5 | 統計的な推測 | 16 | 正規分布、二項分布、平均(期待値)、信頼区間、仮説検定(片側) |
6 | 空間ベクトル | 16 | 座標、内積を含む座標計算 |
7 | 複素数平面 | 16 | 垂直条件、軌跡 |
合計 | 100 |
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設問別分析
- 第1問
- 三角関数に関する方程式の問題。(1)では sinA=sinBの形の方程式を丁寧な誘導に従って解くことになる。この形の方程式を解いたことがある受験生にとっては、解きやすい問題であったと思われる。(2)ではcosA=cosBの形の方程式を誘導なしで解くことになる。(1)と同様に考えればよい。
<『旧数学II』、『旧数学II・旧数学B』の第1問と共通問題 > - 第2問
- 「1日ごとに一定の倍率で増える水草」が水面を覆う面積についての計算を、常用対数表を利用して行う問題。
(1)倍率rの3乗の値と常用対数表から、log10rの値を求める。
(2)14日後の水草の量が60%を超えないための最初の水草の量を、指数の式で表し、常用対数表を利用して求める。
(1)、(2)ともに、対数の式変形は複雑ではなく、計算の分量も多くない。
常用対数表を利用する練習をしておこう。
<『旧数学II』、『旧数学II・旧数学B』の第2問と共通問題> - 第3問
- いくつかの条件を満たす関数を考える問題。F(x)とG(x)の導関数は等しいので、二つの関数の差が定数であることを見抜ければ難しくない。
(1)は具体的な関数で考える問題。(2)(i)は(1)を踏まえて関数のグラフを考える問題で計算がほとんどない。(ii)は関数や極大値を定積分を用いて表す問題であり、やや難しいと思われる。
<『旧数学II』、『旧数学II・旧数学B』の第3問と共通問題> - 第4問
- 与えられた図形の内部に含まれる格子点の個数を求める問題。小問ごとに図形が異なるが、方針は同じであるので、それぞれの図形に応じた計算を行うとよい。各小問ごとのテーマは
(1)等差数列とその和の公式
(2)等比数列とその和の公式
(3)Σk、Σk2の公式
である。 境界線上の点が含まれていないことに注意しないといけないが、丁寧な誘導がついている。
<『旧数学II・旧数学B』の第6問と共通問題> - 第5問
- (1)は正規分布と二項分布に関する問題、(2)は母平均の信頼区間に関する問題で、標準的な問題である。 (3)は仮説検定に関する問題。片側検定で考える問題なので慣れていない受験生は少し戸惑ったかもしれないが、誘導が丁寧なので、誘導に沿って解くと容易に解ける。標準的な問題である。
教科書の内容を十分に理解することが大事である。 - 第6問
- 球面上の3点が正三角形をなす条件を内積を含む座標計算によって求める問題。丁寧な誘導がついており、これに従えば、計算を進めるのに必要な式は(1)で立式される。(2)でaに具体的な値を代入して計算をし、(3)では文字aのまま計算を進める。
<『旧数学II・旧数学B』の第7問と共通問題> - 第7問
- 与えられた複素数α、β、γに対し、A(α)、B(β)、C(γ)とし、直線ABと直線ACが垂直となる条件を(γ-α)/(β-α)が純虚数となる条件としてとらえる問題。「半直線のなす角」というテーマで教科書でも扱われているが、多くの受験生にはやや難しかったと思われる。
共通テスト「数学Ⅱ,数学B,数学C」平均点の推移
年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 51.56 | 57.74 | 61.48 | 43.06 | 59.93 |
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- 2024年度までは「数学Ⅱ・数学B」の平均点
- 2021年度は大学入学共通テスト第1日程の平均点