歴史総合,世界史探究

共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

河合塾講師からの学習アドバイス

歴史総合,世界史探究学習アドバイス

1.2025年1月実施の共通テストから科目が変わった!
これまでの「世界史B」から変わり、「歴史総合,世界史探究」元年となりました。「歴史総合」は日本史のみの小問はなく、世界史の比率が高いものでした。
2.「世界史探究」はどうだった?
「世界史探究」は、人名をはじめとする固有名詞が減少するなど、「世界史B」に比べると情報量が少なくなっています。したがって、共通テスト「世界史探究」で出題される「用語」量は、共通テスト「世界史B」より少なくなります。ただし、それは学ぶべき知識量が減ったということではありません。
用語そのものを問うのではなく、出来事の内容や因果関係、背景、影響などを問う問題や、出来事の時期を知っていないと解けない問題が多いのです。したがって、教科書などを利用して理解する学習が必要であり、用語の暗記だけでは対処できません。
3.「歴史総合」はどうやって勉強しよう?
「歴史総合」は、18世紀以降の日本を含む世界の歴史を扱います。したがって、「歴史総合」には世界史の内容が多く含まれているため、「歴史総合」の問題の半分以上は「世界史探究」の知識を活用すれば解くことができます。日本史部分の攻略は、普段の「世界史探究」の学習の際、同時期の日本がどのような状態であったか確認したり、また世界の動きが日本にどのような影響を与えていたか確認したりするクセをつけておくとよいでしょう。
4.さあ、始めよう!
共通テストでは、古代から現代まで幅広く出題されており、第二次世界大戦後の歴史からも出題されます。また、政治だけでなく、社会・経済や文化からの出題も多くあり、その社会経済史や文化史で差がつく傾向にあります。非常に広い範囲の学習が必要ですので、早めに取り組みましょう。その際、「タテのつながり」「ヨコのつながり」を意識した学習、とくに出来事の時期の把握を心がけるとよいでしょう。

2025年度共通テスト「歴史総合,世界史探究」問題構成と設問別分析

問題構成

大問 分野 配点 マーク数
1 装いの歴史(歴史総合) 25 8
2 世界史上の都市の歴史(世界史探究) 20 7
3 資料の持つ文脈や背景の理解(世界史探究) 21 7
4 大陸を越えた諸地域の結び付き(世界史探究) 16 5
5 特定の主題についての班別学習(世界史探究) 18 5
合計 100 32
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設問別分析

第1問
装いの歴史をテーマに、19世紀から第二次世界大戦後までの世界の政治・社会・経済について幅広く問うている。問1.図版から清と日本の服装を読み取らせる問題。問4.帝国議会開設が1890年であることを把握できれば、グラフの読み取りでYが正答と判断できる。問5.選択肢1は、図版などでモダンガールがどのような姿をしていたかを理解している必要がある。パネルから選択肢2の独立国が日本、植民地が京城のある朝鮮半島、租界が上海を指すと判断したいが、上海がやや難しい。問8.男女雇用機会均等法の制定が1980年代(1985年)であることを想起できるかがカギ。 <歴史総合第2問と共通問題>
第2問
Aは14世紀半ばのカイロの状況、Bはペテルブルクの歴史、Cは近代のバンコクの変容を扱った問題で、Aのカイロ、Bのペテルブルクは空欄となっており、伏せられている。問1.資料中の「アズハル゠モスク」は、カイロに建設されたアズハル学院に付属するモスクであり、これを手がかりとして、空欄アに当てはまる都市がカイロであることを確定させる。空欄イに関して、ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の間の本格的な交流にともなう「コロンブス交換」が始まるのは15世紀末からであり、14世紀のヨーロッパには、梅毒はまだアメリカ大陸から伝わっていない。問2.アズハル゠モスクとアズハル学院が建設されたのはファーティマ朝時代であるが、資料は14世紀の状況を示しているため、当時のカイロを支配していた王朝は、13世紀に成立し16世紀に滅亡したマムルーク朝である。問3.準備メモ中の「血の日曜日事件」から、空欄ウにはペテルブルクが当てはまると判断する。選択肢3の「臨時政府」は、ロシア二月革命(三月革命)をうけて成立し、ロシア十月革命(十一月革命)で倒れた臨時政府を指している。問6.い.会話文と図2から運河が建設されていたことが読みとれるので、水上交通路は発達していたといえる。
第3問
Aはアクティウムの海戦に関する記録を、Bは五経の注釈書に関する文字資料や図を、Cは19世紀後半にイギリス人が述べたインド研究の見解に関する文章を、それぞれ扱った問題。問4.あ.「註」が書かれた時期は、鄭玄が漢代の人物であるという知識で判断できるが、図の「漢鄭氏」という部分も手がかりになる。問6.Y.カニンガムがインド古代史研究のためにインドの人々が記した文献ではない資料を用いる研究手法を提示していることを読み取り、他の地域の人々によって書かれた記録を用いる選択肢を選ぶ。問7.Z.「資料4が書かれた時期」を、8か国連合軍が都を占領した時から30年後であることを読み取り、義和団戦争から30年後の1930年頃と判断する。その上で、その時期の「政治的背景」としては、1920年代に進められた北伐に関する選択肢を選ぶ。
第4問
Aは綿花の貿易を、Bは北米に到達したヴァイキングを扱った問題。問1.会話文の「1850年と1880年とを比べると」という情報を基にグラフの数値を読み取りつつ、産業革命と第1次囲い込みの時期を考えて解答する必要がある。問4.会話文の「家畜を飼っていた形跡がない」という情報を読み落とすと正解を絞れない問題であった。問5.コロンブスのサンサルバドル島への到達が15世紀末、ポルトガルのアフリカ西岸への進出が15世紀、スペインのアカプルコ貿易が16世紀後半であると判断する必要がある。ただし、ポルトガルによるアフリカ西岸への進出は、ヨーロッパ人によるアジアへの新航路開拓の一環であり、新航路開拓はポルトガルが始めたこと、これに対抗するスペインがコロンブスの航海を支援したこと、コロンブスがアメリカ大陸に到達しないとアメリカ大陸の銀を利用したアカプルコ貿易が始まらないことを考えると、時期が分からなくても解ける問題である。
第5問
試作問題の第5問同様、生徒が特定の主題について学習している設定で、小問の最後(問5)にその主題を答える形式。問1~問4はいずれも生徒が提示した資料から読み取れる内容と世界史の知識を組み合わせて各選択肢の正誤を判定する。問1は解説シートの地図が7世紀前半の状況を示していることから、まだ新羅が朝鮮半島を統一しておらず、地図中の扶余が百済の版図であると判断する。問1は百済の穀物貸付制度、問2はイングランド王国における肉食禁止の布告、問3はアメリカ合衆国の西漸運動にともなう先住民への食料支援政策、問4は第一次世界大戦中のドイツにおける配給制を扱っていることから、問5で問われている特定の主題αは「政治権力が食料事情や食生活に与えた影響」が適当であると考える。

共通テスト「歴史総合,世界史探究」平均点の推移

年度 2025年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度
平均点 66.12 60.28 58.43 65.83 63.49
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