国語

共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

河合塾講師からの学習アドバイス

現代文学習アドバイス

1.問題の概要
第1問は評論、第2問は小説から出題されました。それぞれ複数文章からの出題ではなくなり、第2問では2024年度に復活した語句の意味を問う知識問題も出題されませんでした。
2025年度から新たに出題された第3問は、外来語の使用をめぐる問題について、複数資料(生徒が書いた【文章】やグラフなど)を読み解き、【文章】の加筆修正として正しい内容の選択肢を選ぶという形式の問題でした。それぞれの資料の内容を整理しつつ、設問や出題者の意図と照らし合わせながら、正解選択肢を選ぶ練習が必要となります。
2.根拠に基づいて選択肢を選ぶ練習をしよう
まずはさまざまな文章に触れ、どのような内容でも読みこなせるように練習しましょう。また、選択肢を正確に読み、正解以外の選択肢の間違い箇所を指摘できるようにしてください。本文の根拠を把握したうえで確実に選択肢を見極められる力を身につけることが重要です。
3.多様な文章の問題演習を重ねよう
共通テストでは複数の文章や図表・グラフなどを組み合わせた問題が出題される可能性があります。授業や問題集などを利用して複数の題材を比較し、関連づける問題にも取り組んでおいてください。多様な問題に取り組んでおけば、新傾向の問題が出題されたときにも冷静に対応できるようになります。

古文学習アドバイス

1.問題の概要
鎌倉時代の擬古物語【文章Ⅰ】と、それに影響を与えた物語【文章Ⅱ】からの出題。二つの文章の共通点と相違点について問う設問が出題されました。共通テストにおいて新傾向の設問として定着していた「語句の表現と内容」について問う設問がなくなり、センター試験でよく出題された「敬語の種類と敬意の方向」を問う、敬語単独の設問が出題されました。例年同様、和歌の内容について問う設問も出題されています。
2.学習した単語・文法の知識をもとに、文章を読む訓練をしよう
共通テスト対策としては、単語をたくさん覚えること、古典文法を一通り覚えることが、まずは大切になってきます。そのうえで普段から古文を読むときに、その文章の中に覚えた単語や文法事項が出てきたら、それらがどのように使われているかに気をつけましょう。そのためには、文章を正確に現代語訳する練習をすると良いでしょう。そして、問題演習を行うときには、共通テストの傾向に沿った演習問題を、時間を計って、1題20分程度で解く練習をしましょう。

漢文学習アドバイス

1.問題の概要
出題頻度の高かった漢詩は出題されず、日本漢文で二人の漢学者についての評論が出題されました。基礎知識だけで正解できる問題が2024年度よりも減少した一方で、説明問題については紛らわしい選択肢が少なくなりました。問6は各文章の結論部分を問う趣旨説明の問題で、それぞれの文章について正しく趣旨を捉え、二つの文章を関連づける力が求められました。
2.読解力養成のために、句形・重要語の習得に努めよう
共通テストは複数の文章を関連づける問題となっていますが、十分な読解力があれば解答することができます。したがって、対策も単独の文章からの出題と変わりなく、句形・重要語・頻出表現等に習熟し、読解力を養うという地道な作業が最も効果的です。また、いったん学習した文章は機会を見つけて、繰り返し声に出して読んでみるのもよいでしょう。音読は読解力の養成や書き下し文の錬成等に極めて有効です。

2025年度共通テスト「国語」問題構成と設問別分析

問題構成

大問 分野 問数 マーク数 出典
1 論理的文章 6 10 高岡文章「観光は『見る』ことである/ない――『観光のまなざし』をめぐって」
2 文学的文章 7 7 蜂飼耳「繭の遊戯」
3 図表・資料 3 5 外来語の使用をめぐる提言に関する問題(以下の資料を使用)
・生徒の書いたとする文章
・図1~3(国立国語研究所『外来語に関する意識調査(全国調査)』をもとにしたもの)
・用語解説(国立国語研究所「外来語」委員会編『分かりやすく伝える外来語言い換え手引き』をもとにしたもの)
・図とそれについての「メモ」(NHK放送文化研究所『放送研究と調査』2022年12月号をもとにしたもの)
4 古文 3 7 【文章I】『在明の別』
【文章II】『源氏物語』若菜下の巻
5 漢文 6 9 【文章I】皆川淇園『論語繹解』
【文章II】田中履堂『学資談』
合計 38
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設問別分析

第1問
問1の漢字問題は、昨年同様、傍線部と同じ漢字を選ぶ従来型の設問だけが出題された。問2以降の設問は、すべて本文中の傍線部についての説明を求めるものであった。解答の根拠を本文から正しく読み取り、選択肢を的確に判断することが重要である。
第2問
問2、問4、問6、問7は「わたし」の心情や心境を問う問題。問1、問3は他の登場人物のありようについての問題。問5は本文における表現に関する問題。問5や問6のように正解の根拠がわかりやすい設問があった一方で、問7のように設問の意図自体がわかりにくい設問もあった。設問の意図を正確に読み取り、選択肢を本文内容と照らし合わせて、迅速かつ的確に吟味する練習を重ねることが重要である。
第3問
第3問は2022年に大学入試センターが発表した試作問題のうち、Bの問題に類似したところがある。外来語の使用をめぐる問題について、複数の資料(生徒が書いたという体裁の文章や、グラフなど)をもとに考察させるというもの。用いられている文章や資料の著者が曖昧であるという点で、一般的な「現代文」の入試問題とは異なる。問3(i)など解答を選ぶのにやや迷う設問もあるが、全体に試作問題と比べれば情報が整理されており、受験生に大きな負担を与えるような問題ではないと考えられる。
第4問
問1は、短い語句の解釈問題で、基本的な古語の意味が問われた(選択肢四択)。問2は敬語の種類と敬意の方向が問われたが、敬語の種類だけで正解が選べるものになっていた(選択肢五択)。最後の設問は、例年三箇所の空欄補充の問題が出題されており、今年も同様であった。昨年の問4は、本文中の一語に注目して本文を解説した現代語の文章の空欄を埋める問題であったが、今年の問3は、一昨年の問4と同じように生徒の話し合いの場面での空欄補充の問題であった。(i)は、【文章II】の物の怪が言った内容(選択肢四択)、(ii)は、【文章I】の物の怪が詠んだ和歌の内容(選択肢四択)、(iii)は、【文章I】の和歌の前後の内容(選択肢四択)の三点が問われた。
第5問
江戸時代の二人の漢学者の評論が出題され、主題は「学問論」であった。基礎知識だけで正解できる問題が昨年よりも減少した。問1は語句の意味の問題で、文意にふさわしい意味を判断する。問2は理由説明の問題で、傍線部直前の「是故」に注目したい。問3は解釈の問題で、比較形の構造を正しく捉える。問4は返り点の付け方と書き下し文の問題であった。否定詞「莫」の意味がどこまでかかるかを、文脈を踏まえて考える必要がある。問5は「また」と読む語の意味の相違に注意する。問6は趣旨説明の問題で、各文章の結論部分を正しく捉える。

共通テスト「国語」平均点の推移

年度 2025年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度
平均点 126.67 116.50 105.74 110.26 117.51
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